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ミライトワン Research Memo(3):通信建設会社3社の経営統合により発足。M&A等により事業領域拡大図る

*14:03JST ミライトワン Research Memo(3):通信建設会社3社の経営統合により発足。M&A等により事業領域拡大図る
■沿革

ミライト・ワン<1417>は、通信インフラ設備の構築を中心に半世紀以上にわたり事業を展開してきた、大明(株)、(株)コミューチュア、(株)東電通の3社経営統合により、(株)ミライト・ホールディングスとして2010年10月に発足した。同社グループの源流となる3社は、いずれも戦後復興や高度経済成長期における電話需要の拡大のなか、日本電信電話公社(現 日本電信電話<9432>。以下、NTT)との取引を中心に成長することで、経営資源と事業基盤を拡充してきた。経営統合に至ったのは、国内通信建設市場の緩やかな縮小を見据え、事業構造改革へのシフトを加速することが目的であった。同社設立と同時に、東京証券取引所及び大阪証券取引所の市場第一部に上場した(現在は東京証券取引所プライム市場に移行)。

経営統合以降、M&A等により事業領域を補完・拡大し、「総合エンジニアリング&サービス会社」への構造転換を推進してきた。2012年10月に大明が東電通と合併し、(株)ミライトに商号変更するとともに、コミューチュアが(株)ミライト・テクノロジーズに商号変更したことに伴い、事業会社3社体制から2社体制へ移行した。2016年6月にはシンガポール企業のLantrovision(S)Ltdを子会社化し、グローバル事業を拡大した。2018年10月にTTK、2019年1月にソルコム、四国通建との経営統合を実施し、事業基盤の拡大を図った。さらに2022年3月には西武建設を子会社化し、フルバリュー型モデルへの転換に向けて拍車をかけると、2022年7月にミライト・ホールディングスを存続会社として、ミライト、ミライト・テクノロジーズと3社合併によりミライト・ワンを発足。併せて傘下にあるグループ会社のSI事業組織並びに5社のSI事業会社を再編し、ミライト・ワン・システムズを設立した。2023年12月には国際航業並びにその連結子会社10社を子会社化し、事業シナジーの発揮によりフルバリュー型モデルを加速する「縦の統合」の実現を目指す。



■企業特徴

三位一体アプローチによるフルバリュー型モデルに特徴

1. ビジネスモデル
相次ぐ統合や再編により、「超・通建」を目指して事業領域の拡大や事業ポートフォリオの変革に取り組んできた同社ビジネスモデルの特徴は、通信、電気、ICT、土木、建築等の様々な技術分野を複合的に組み合わせる「横の統合」と、企画・提案から保守・運用まで一気通貫で行う「縦の統合」を同時並行で推進するフルバリュー型にある。本モデルの確立により、従来の通信(個別の発注に対応)だけでなく、幅広い社会インフラ領域における様々な社会課題の解決に貢献し続ける企業グループへの進化を遂げる考えだ。

2. 強み
(1) 三位一体アプローチによる付加価値向上
「フルバリュー型モデル」の価値をさらに高める取り組みとして、西武建設及び国際航業との統合による三位一体アプローチを挙げることができる。西武建設との統合によって、土木・建築という分野が大きく強化され、フルパッケージで展開する「横の統合」を強化できた。特に、西武建設の有するゼネコンとしての総合力や現場を仕切るリーダーシップは、大型物件を受注するうえで大きな武器となる。また、国際航業との統合は、「縦の統合」の強化につながるものである。国際航業は、宇宙から海底まであらゆる地理空間から様々な測量技術により取得した空間情報と様々なデータを掛け合わせることで、新たな情報価値を提供している。多数の技術士を中心とするエキスパート集団が、自治体や企業向けに国土開発・地域開発の企画・コンサルティングを展開しており、その顧客基盤は、国や県など約1,700の自治体の3分の2以上に広がっている。同社の通信、IoT、電気、エネルギーといった幅広いエンジニアリング分野と西武建設による「横の統合」、そして国際航業との「縦の統合」を融合させることで、同社グループならではの付加価値を創出する体制が整った。

(2) キャリア事業で培ってきた技術力や安定収益基盤
フルバリュー型モデルへの進化においても、同社がキャリア向け通信建設事業で長年培ってきた技術力や品質が重要な強みとなっていることに変わりはない。キャリアグレードの技術力や品質は成長分野への展開にも活かされている。また、通信建設事業そのものは緩やかに縮小する傾向にあるものの、一定の規模を維持しているうえ、事業特性として3社のシェアが確立されており、安定した収益基盤となっている。



■業績推移

事業領域の拡大とともに増収基調を継続、特殊要因により一旦低下した収益性も回復傾向

過去8年間の業績を振り返ると、売上高は総じて右肩上がりに成長しており、2025年3月期は8期連続の過去最高水準を更新した。特に、2023年3月期以降は「企業/環境社会基盤ドメイン」(非通信)の伸びが顕著であり、2件の大型M&A(西武建設、国際興業)も手伝ってトップラインの伸びをけん引している。一方、「通信基盤ドメイン」の売上高は頭打ちとなっているが、安定的な事業特性により業績の下支えをしているとの見方が妥当である。

利益面でも、2022年3月期までは売上高の拡大とともに増益基調で推移してきた。2022年3月期の営業利益は過去最高水準となり、営業利益率もピークとなる7.0%に達した。ただ、その後2期連続で減益となったのは、コロナ禍後の市場環境の悪化(半導体不足の影響など)と不採算案件の発生が主因である。もっとも、直近の2025年3月期は不採算案件の減少及びミックスの改善等により、本来の収益力が戻ってきた。キャッシュ創出力を示すEBITDAでは過去最高を更新した。

財務面では大型M&Aに伴い総資産は大きく拡大してきたが、財務の安全性を示す自己資本比率はおおむね50~60%の範囲内で安定推移してきた。また、資本収益性を示すROEは、特殊要因(経営統合に伴う特別利益)で大きく上昇した2019年3月期を除くと、ほぼ営業利益と連動する動きをたどってきた。2021年3月期から2022年3月期にかけては10%を超える水準に達したが、その後は一旦低下し、直近では回復に転じている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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