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トレンダーズ Research Memo(4):2025年3月期は美容カテゴリに特化した戦略により増収増益(1)

*12:04JST トレンダーズ Research Memo(4):2025年3月期は美容カテゴリに特化した戦略により増収増益(1)
■トレンダーズ<6069>の業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高6,191百万円(前期比9.1%増)、営業利益988百万円(同25.3%増)、経常利益991百万円(同28.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益600百万円(同25.2%増)と増収増益を確保した。通期業績予想の達成率は、売上高は96.0%、営業利益は98.9%、経常利益は99.2%、親会社株主に帰属する当期純利益は96.9%とほぼ達成と言える水準での着地となった。売上面は主力のマーケティング事業が堅調に推移し増収となり、利益面はマーケティング事業の堅調さに加えて、インベストメント事業において営業投資有価証券の売却益が発生し、さらに販管費を相対的に抑えたことで営業利益以下の各利益を押し上げた。(株)電通「2024年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費は総広告費(7兆6,730億円)の47.6%(3兆円6,517億円)にまで成長し、社会のデジタル化を背景に市場規模を拡大している。インターネット市場を拡大させ、かつ影響力の大きいSNSを軸に、同社はマーケティング事業を展開しており、特に業績が堅調な美容マーケティング領域のターゲット市場は今後も拡大が予想され、追い風となるだろう。

マーケティング事業について、美容マーケティング領域では美容カテゴリへ注力し、売上高は前期比8.1%増の5,994百万円となった。インフルエンサーマーケティングにおいてはブランド当たりの受注額が増加しており、売上高が同22.0%増と大幅に成長し、事業のけん引役となった。インベストメント事業については同52.5%増の196百万円となった。従来非上場会社をはじめとする成長企業等への投資を行っているが、第1及び第3四半期において営業投資有価証券の売却が発生したことで大きく増収となった。利益面では、売上総利益は前期比増益であったが、売上総利益率は52.8%と前期比1.2ポイント低下した。販管費は2025年3月のzenplusの子会社化に伴う業務委託費の発生(約70百万円)があったものの、広告宣伝費の減少や従業員の生産性向上等により前期比0.3%の増加に留まったことで、営業利益率は前期比2.1ポイント増の16.0%となった。ちなみにマーケティング事業では、従業員(正社員及び契約社員数から産休・育休中の者を除く)1人当たりの粗利は前期比で8.4%増加し、美容カテゴリに限れば同10.0%増と生産性向上の効果が現れた。

2. 事業別業績
(1) マーケティング事業
売上高は5,994百万円(前期比8.1%増)、売上総利益は3,130百万円(同4.7%増)、セグメント利益は963百万円(同13.6%増)となった。注力領域である美容マーケティング領域は、インフルエンサーマーケティングの推進とMimi Beautyの業績が堅調に推移した。インフルエンサーマーケティングの売上高は同22.0%増、Mimi Beautyは同9.6%増となった。また粗利ベースでの伸び率は、インフルエンサーマーケティング(美容カテゴリ)で同20.8%増、Mimi Beautyでは同2.7%増となった。Mimi Beautyの伸び率が低いのは前期のMimiTVのTVCMでの広告による受注増の反動によるものである。この結果、業界別では美容カテゴリの粗利の比率がさらに高まり、87%(前期比1ポイント増)となった。

2025年3月期は従業員1人当たりの粗利の伸びが目立った。要因は、社員の多くが元々美容好き・SNS好きで、普段の生活においても情報収集等を自発的に行っていることが挙げられる。加えて、入社時の研修を手厚くしたことも効果が現れている。また、同社では日常的にAIを業務に活用しており、社内にAIポータルを設けて社内ナレッジの検索やSNSのモニタリング、SNSでの広告効果予測、SNS熱量分析等のシステムが利用可能で社員が有効活用していることも要因の1つだ。このような仕組みで業務効率の向上と、新たな価値創造を実現している。

インフルエンサーマーケティングでは、「LIN」を活用して、TikTokなどあらゆるSNSプラットフォームを網羅した、商材やターゲット特性に応じた最適なソリューションを提供することで業績向上に寄与している。「LIN」はミドル~マイクロインフルエンサーを中心に13,000名規模のインフルエンサーネットワークを有するサービスで、高度なディレクションやプランニングに加え、ソリューションに最適なインフルエンサーをキャスティングするといった提供力の高さが強みである。インフルエンサーもオーディション形式で選出するため、モチベーションが高く、サービス提供後の振り返りを徹底し、改善策を図るなど、顧客への次回提案への強みも有している。また「Mimi Beauty」は、美容に特化したメディアとして各SNSの特性に応じて最新の美容情報を発信しており、公式アカウントの総フォロワー数は2025年4月時点で約587万人を数える。SNS上でのUGC(SNS上で一般ユーザーが自発的に作成・投稿したコンテンツ)創出や、「美容オタク」向けのオンラインイベント、UGCを活用したSNS広告施策等、様々なソリューションを展開している。最新の美容情報をSNSに適した形で発信することから、「美容オタク」をはじめとするSNSユーザーの関心を惹きつけ、得られた知見をマーケティング支援の提案に生かしている。

メディカルマーケティング領域は毛髪再生と医療アートメイクに特化する方針の下、2026年3月期の収益化を目指していたが、クリニックでのスタッフ採用の遅れによる影響が生じている。クリニックへのマーケティング支援や運営DX支援としてのサイト制作、オンライン予約システム導入、LINE公式アカウント導入といった施策によりレベニュー・シェアの効果は現れており、同社としては引き続き必要な投資を継続することで、2027年3月期での収益化を図る。

(2) インベストメント事業
売上高は196百万円(前期比52.5%増)、売上総利益は138百万円(同89.4%増)、セグメント利益は136百万円(同91.8%増)となった。営業投資有価証券の売却が2件あったことで増収増益となった。主にマーケティング事業向け投資原資の獲得を目的に利益を創出しているため、社債については期間のリスクを考慮し、事業の資金需要に応じて柔軟に対応可能な半年程度で償還期日を迎えるものを中心に運用する。このほか、投資事業有限責任組合の持分投資やスタートアップ企業への投資を実施している。いずれも同社が詳しい業界や、協業が期待できる企業を対象に運用を行っている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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