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クラレ:独創性の高い技術で世界トップシェア多数、高機能・高付加価値品に特化し今後も需要は続くが、株価は割安

*10:42JST クラレ:独創性の高い技術で世界トップシェア多数、高機能・高付加価値品に特化し今後も需要は続くが、株価は割安
クラレ<3405>は、1926年に設立された化学メーカーである。「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命のもと、独創性の高い技術と原料からの一貫生産体制にこだわって成長を遂げてきた。同社の事業は、ビニルアセテート、イソプレン、機能材料、繊維、トレーディングの5つのセグメントで構成されており、セグメント別売上高構成比は、ビニルアセテートが約50%、機能材料が約25%、イソプレン、繊維、トレーディングがそれぞれ10%弱となっており、利益面でもビニルアセテートが中核を担っている。
同社は、主力であるビニルアセテート関連製品において、原料の酢酸ビニルモノマーから、川下の樹脂・フィルム・繊維製品に至るまでを一貫して手掛ける強固なバリューチェーンを構築している。この体制により、コスト競争力と供給安定性を両立している。また、世界シェアトップの製品も多く、例えば、液晶ディスプレイに不可欠な光学用ポバールフィルムは世界シェア80%、水溶性などの性質を持つポバール樹脂は40%(中国除く)、食品包装などに使われるガスバリア材「エバール」は60%、高強度の建築用中間膜「セントリグラス」は70%のシェアを誇る。さらに耐熱・耐水性に優れ、自動車や電気用のコネクタに用いられる「ジェネスタ」やイソプレンケミカル製品の一部などは、世界で同社のみが製造している。また、資源配分を最適化する方針のもと、収益性の高い高付加価値製品に経営資源を集中させる戦略を徹底し、事業構造の強化を図ってきた。高い技術力を背景に、顧客であるメーカーと共同で製品開発を行うなど、独自の地位を確立している点も特徴である。
さらに、欧州のリサイクル関連規制の強化や、飲料水中のPFAS(※)除去に対する活性炭需要の高まりといった外部環境の変化も同社の製品群にとっての追い風となっている。いずれも成長分野での用途が多く、かつ代替が難しいため、安定的な需要が続くと見られる。

(※)有機フッ素化合物の総称。一部については発がん性リスクなど、健康被害が懸念されている

2024年12月期は、売上高826,895百万円(前期比5.9%増)、営業利益85,081百万円(同12.7%増)、当期純利益31,724百万円(同25.3%減)であった。売上高は、イソプレンの自動車用途、機能材料の歯科材料や活性炭の販売が伸びたことなどにより増収となった。利益面では、原燃料価格の変動に合わせて販売価格を調整したものの、数量の伸びなどにより営業利益の増益を確保した。一方で、事業ポートフォリオ高度化に伴う減損損失や固定資産廃棄損などを計上し、当期純利益は減益となった。
2025年12月期第1四半期は、売上高194,804百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益18,650百万円(同35.2%減)、当期純利益12,007百万円(同44.4%減)であった。売上高は、「エバール」の食品包装用途や「ジェネスタ」の電気・電子用途の需要が回復し増収となった。一方、利益面では、在庫評価が損益に与える影響である在庫評価差額のマイナス影響などを受けて減益となった。同社では、2024年後半に在庫数量のコントロールを目的として一時的に生産数量を減らしたが、これにより製品の単位当たり固定費が高くなり在庫評価額が上昇していた。評価額が高い在庫を販売したことによる利益へのマイナス影響が、在庫評価差額の主因である。
2025年12月期通期は、売上高860,000百万円(前年比4.0%増)、営業利益90,000百万円(同5.8%増)、当期純利益45,000百万円(同41.8%増)を予想している。各セグメントの販売数量が増加する見通しであり、下期にかけて売上高・利益とも増加し、増収増益を確保する見込みである。

2022年12月期からスタートした5ヶ年の中期経営計画「PASSION 2026」では、社会・環境価値、経済的価値、市場成長性を軸とした事業の評価、選択と集中を進めており、事業ポートフォリオの高度化を図っている。最終年度となる2026年12月期には、売上高9,000億円、営業利益1,100億円、当期純利益660億円を見通している。原燃料費上昇に対応した販売価格の改定や販売構成の改善により、当初の目標値を上回る増収増益となる見込みである。また、将来の利益に貢献する成長投資についても、当初計画を1,200億円上積みし、総額5,000億円の投資を行う計画である。

株主還元については、2025年12月期より総還元性向50%以上、1株当たり年間配当金の維持・増額、ならびに自己株式取得の継続的実施を目指すことを基本方針とし、株主還元を拡充した。2024年12月期には、年間配当金54円(配当性向56.1%)を実施し、2025年12月期も同額の54円(同38.9%)を予定している。自己株式取得については、2024年に200億円(総還元性向118.7%)を実施し、2025年には上限300億円(同 約104%)を決定、実行中である。これらの施策は、社債格付、資本コスト、株主還元のバランスを考慮した資本政策の一環として行われている。一方、株価については、PBR0.8倍程度で推移しており、割安感がある。



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2025/07/07 15:30 現在

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