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愛三工業:トヨタ系の自動車部品メーカー、配当利回り4%超えかつPBR0.7倍台で推移

*14:52JST 愛三工業:トヨタ系の自動車部品メーカー、配当利回り4%超えかつPBR0.7倍台で推移
愛三工業<7283>は、トヨタ系の自動車部品メーカーであり、燃料系・吸排気系部品に強みを持つ企業である。主力製品である燃料ポンプモジュール(FPM)などのパワートレイン製品を中心に、次世代モビリティやクリーンエネルギー分野に対応する製品の開発・量産にも注力している。事業セグメントは地域別で構成されており、日本・アジア・米州・欧州などの各拠点で生産・販売。売上構成比ではアジア地域が全体の約43%を占めており、最大市場となっている。ビジネスモデルは、パワートレイン事業を柱とし、多様化する動力源に対応可能な製品の製造・販売である。成長戦略として、制御やソフトウェア技術を取り込み、エンジン全体でのシステム提案力を高めることに加え、モビリティの電動化においても制御技術の取り込みを図っている点が特長である。また、顧客・仕入先全体を巻き込んだサプライチェーン全体の改善活動「MMK(もっとものづくり強化)活動」を通じて、コスト競争力と品質向上を実現している。

2025年3月期時点の得意先別売上高比率はトヨタ自動車グループ55%、現代自動車11%、日産自動車6%、ヤマハ発動機5%、ホンダ5%、スズキ2%、そのほか16%。製品別売上高比率は燃料ポンプモジュール52%、スロットルボデー13%、EGRバルブ8%、キャニスタ12%、動弁系製品(エンジンバブル)3%、その他の自動車部品9%、その他3%となっている。

同社はデンソーから燃料ポンプモジュール事業を譲受し、世界シェアNo.1を実現している。競合他社が電動化シフトに追従する中で、愛三工業はエンジン搭載車の継続的な需要を前提としつつ、電池パックやモーター制御技術といった電動化製品領域への展開も進めており、両輪戦略により業界変動に柔軟に対応できる点が強みである。

2025年3月期の業績は、売上高3,372億円(前期比7.3%増)、営業利益183億円(同18.3%増)と過去最高を記録した。地域によっては市場動向の厳しさがあったが、前期第2四半期から燃料ポンプモジュール譲受事業による数量増加や円安影響などが増収に寄与している。中国は為替による増収影響があったが、市場でのEV台頭による数量減などの影響により前期比で減収となった。営業利益率の向上の影響でROIC8.1%(前期7.4%)と向上した。2026年3月期の売上高は3,100億円(前期比8.1%減)、営業利益は185億円(同0.9%増)を計画。これは為替の円高や販売数量の減少を見込みつつも、収益改善の継続を図り、研究開発および設備投資への先行投資を通じた将来の成長に向けた布石である。研究開発費は140億円と過去最高水準を維持し、パワートレイン・電動化事業にそれぞれ投資する。

同社は市場環境として、2030年時点においても世界の自動車市場の約7割がHEV・PHEVを含めたエンジン搭載車と予測する一方で、BEVは着実に増加してエンジン非搭載車は市場の3割まで拡大すると想定している。様々な燃料の特徴を理解し、燃料を効率的に供給・制御する技術を有しており、既に多様なパワートレイン部品を供給中。同社の主力製品領域の需要は今後も一定程度継続すると見込まれる。また、環境規制や各国のエネルギー政策の影響により、HEV・PHEV・FCEV(燃料電池車)向け製品の需要拡大も想定され、同社にとっては多様な製品群の投入による成長機会が広がっている。ものづくりの強みを活かし、2輪BEV・4輪HEVをターゲットに電池パック市場への新規参入も目指す。

中期的な見通しとして、2030年までに売上高5,500億円を目指しており、そのうちパワートレイン分野は既存領域で3700億円。M&Aやアライアンスを活用し、技術向上・事業拡大を推進し、エンジンシステム設計やサブシステム設計領域への拡大も図っていく方針で、1500億円の売上を想定している。電動化製品では、300億円(2024年実績5億円)の売上を掲げている。さらに、インドやアセアン地域での事業拡大、エンジン技術の高度化、ゼロエミッション対応製品の開発も推進中である。ROICは2027年には9.5%の達成を目標としている。

そのほか、株主還元では、安定配当を維持しつつ株主還元を強化していく。連結配当性向35%以上と機動的な自己株式取得を行う方針。同社はエンジン系製品における強固な基盤を活かしつつ、着実に電動化など次世代モビリティへの対応を進めている。収益基盤の多角化を図る中、早期のPBR1倍以上達成に向けた施策も進行しており、同社の動向には今後も注目が集まる。



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