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アイカ工 Research Memo(7):中期経営計画達成の確度は高い
2025/07/14 15:07
*15:07JST アイカ工 Research Memo(7):中期経営計画達成の確度は高い
■アイカ工業<4206>の中長期の成長戦略
(1) アイカ10年ビジョン
同社は創立90周年となる2027年3月期を最終年に据えた長期指針「アイカ10年ビジョン」を掲げ、「化学とデザインの相乗効果で新たな価値を創出するグローバル企業像」を描いている。化成品セグメントでは建設分野向け樹脂でアジアトップメーカーを目指しつつ、自動車・電子材料など非建設分野にも領域を拡大するという内容だ。建装建材セグメントでは、外壁を含む建材市場全体に領域を広げ、住宅・非住宅の生活空間に快適と安全を提供する「空間デザインメーカー」としての事業拡大を図る。
2027年3月期の経営指標として、以下の数値を掲げている。
1) 連結売上高3,000億円
2) 連結経常利益300億円
3) ROE10%以上
4) 海外売上高比率50%以上※
※海外売上高比率について、アイカ10年ビジョンでは45%以上と開示されていたが、中期経営計画において50%以上に目標が引き上げられている。
(2) 中期経営計画の進捗状況
「アイカ10年ビジョン」を実現する総仕上げとして、2024年3月期からの4年間を第3次中期経営計画「Value Creation 3000&300」として策定している。
その中で「収益性の改善」「成長事業の創出・育成」「健全な経営基盤の構築」という3本柱を掲げ、ビジョン達成に直結する具体策と数値目標を設定している。
足元の進捗状況については、非常に順調である。2026年3月期の業績予想では経常利益30,000百万円、ROE10%以上としており、中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する予想である。また、2025年3月期において、既に経常利益は28,668百万円となっており、足元の高付加価値戦略が奏功していることを踏まえると、達成の蓋然性は高いと考える。ROE目標値についても、2024年3月期が9.9%、2025年3月期が10.1%、と収益性が向上しており、ROE10%以上という目標値の達成は十分に可能であろう。
一方、売上高については、2025年3月期は248,696百万円であり、目標値が300,000百万円であることを考えると、年率10%の成長が必要になる。近年は不採算分野の整理などを実施したことから、売上高成長率に対して下押し圧力があったものの、M&Aを含め成長投資を着実に実行することで、目標達成の確度は高まると言える。
海外売上高比率については、足元では国内の建装建材セグメントなどが好調なこともあり、同比率は50%近傍で横ばい推移している。足元の優先課題は海外事業カンパニーによる再成長に向けた取り組みであり、同比率よりも収益性の改善に着目したい。
同社は、オーガニック施策とM&Aの両面からアプローチし、製品ポートフォリオ及び事業地域の拡大をすることで、右肩上がりの成長を遂げてきた。現行の中期経営計画における目標値の達成のみならず、次の成長ステージに向けては、海外の収益性強化、高付加価値商品の拡充、M&Aや新規市場開拓などによる事業拡大がテーマになると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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■アイカ工業<4206>の中長期の成長戦略
(1) アイカ10年ビジョン
同社は創立90周年となる2027年3月期を最終年に据えた長期指針「アイカ10年ビジョン」を掲げ、「化学とデザインの相乗効果で新たな価値を創出するグローバル企業像」を描いている。化成品セグメントでは建設分野向け樹脂でアジアトップメーカーを目指しつつ、自動車・電子材料など非建設分野にも領域を拡大するという内容だ。建装建材セグメントでは、外壁を含む建材市場全体に領域を広げ、住宅・非住宅の生活空間に快適と安全を提供する「空間デザインメーカー」としての事業拡大を図る。
2027年3月期の経営指標として、以下の数値を掲げている。
1) 連結売上高3,000億円
2) 連結経常利益300億円
3) ROE10%以上
4) 海外売上高比率50%以上※
※海外売上高比率について、アイカ10年ビジョンでは45%以上と開示されていたが、中期経営計画において50%以上に目標が引き上げられている。
(2) 中期経営計画の進捗状況
「アイカ10年ビジョン」を実現する総仕上げとして、2024年3月期からの4年間を第3次中期経営計画「Value Creation 3000&300」として策定している。
その中で「収益性の改善」「成長事業の創出・育成」「健全な経営基盤の構築」という3本柱を掲げ、ビジョン達成に直結する具体策と数値目標を設定している。
足元の進捗状況については、非常に順調である。2026年3月期の業績予想では経常利益30,000百万円、ROE10%以上としており、中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する予想である。また、2025年3月期において、既に経常利益は28,668百万円となっており、足元の高付加価値戦略が奏功していることを踏まえると、達成の蓋然性は高いと考える。ROE目標値についても、2024年3月期が9.9%、2025年3月期が10.1%、と収益性が向上しており、ROE10%以上という目標値の達成は十分に可能であろう。
一方、売上高については、2025年3月期は248,696百万円であり、目標値が300,000百万円であることを考えると、年率10%の成長が必要になる。近年は不採算分野の整理などを実施したことから、売上高成長率に対して下押し圧力があったものの、M&Aを含め成長投資を着実に実行することで、目標達成の確度は高まると言える。
海外売上高比率については、足元では国内の建装建材セグメントなどが好調なこともあり、同比率は50%近傍で横ばい推移している。足元の優先課題は海外事業カンパニーによる再成長に向けた取り組みであり、同比率よりも収益性の改善に着目したい。
同社は、オーガニック施策とM&Aの両面からアプローチし、製品ポートフォリオ及び事業地域の拡大をすることで、右肩上がりの成長を遂げてきた。現行の中期経営計画における目標値の達成のみならず、次の成長ステージに向けては、海外の収益性強化、高付加価値商品の拡充、M&Aや新規市場開拓などによる事業拡大がテーマになると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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