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ネットイヤー Research Memo(7):生成AI活用でデジタルマーケティング支援サービスを強化し、中長期的成長へ
2025/07/16 11:07
*11:07JST ネットイヤー Research Memo(7):生成AI活用でデジタルマーケティング支援サービスを強化し、中長期的成長へ
■ネットイヤーグループ<3622>の今後の見通し
2. 成長戦略
同社はこれまで長年培ってきたUX/CXの設計とデジタル技術のノウハウを生かして事業拡大を目指してきたが、今後はこれらのノウハウに加えて生成AIの技術やツールを積極的に活用することで、顧客企業のDX推進と費用対効果の高いデジタルマーケティング支援サービスを提供し、一段の成長を目指す。生成AI技術はUX/CXの設計から実装、改善に至るPDCAサイクルの各段階において採り入れ、プロジェクトの効率化と高付加価値化の両立を図る方針で、2024年6月に代表取締役社長に就任した廣中龍蔵(ひろなかりゅうぞう)氏の強いリーダーシップのもと、全面的に推進することとしており、今後の展開が注目される。なお、持続的成長の実現に向けて取り組むべき課題として、「人材の確保と育成」「サービス領域の拡大」「生成AI技術の利活用」「NTTデータグループとの協業」「ブランディングの強化」の5つを挙げている。
(1) 人材の育成と確保
IT業界では人材の流動性が高く、またDXに対する投資需要の高まりに伴いITエンジニアの慢性的な需要不足が続いており、優秀な人材の獲得が困難な状況にある。同社においてもITエンジニアの不足、特にプロジェクトが複合化・高度化するなかでエンジニアに求められるスキルも多様化するなか、特定のスキルを持つエンジニアが不足していたため失注につながったケースが前期は複数件発生した。また、2026年3月期からスタートした新中期計画3ヶ年の内容を推察すると、今後ますます需要が高まる生成AI関連の技術者の獲得が同社の想定した成長シナリオを実現できるかどうかの分水嶺になるであろうと想定できる。同社では、従来に増して自社による人材の獲得を強化するとともに、NTTデータグループ各社との緊密な連携を元に、人材の融通性についても協力していく考えだ。
また、中長期的な視野で事業の主軸となる人材を定め、戦略的に確保・育成するとともに、それらの人材のパフォーマンスを最大化するための人事制度等の仕組みを整備する考えだ。
(2) サービス領域の拡大
同社が強みとするデジタルマーケティングのフルファネル領域について、一層の拡大と深耕を果たしていく予定である。これまで、フルファネルのなかで、ある特定領域のみ受注していたプロジェクトを隣接する領域に拡大し、集客から顧客管理(CRM)、そのデジタルデータの解析から新たなプロモーション施策へと展開していく考えだ。実際に、ホテル業界の顧客データを分析し、ロイヤルカスタマー化のシナリオを提示し、特定顧客へのプロモーション、キャンペーンを実施し、成果を上げてきている。
今後はこうした取り組みに生成AI技術を取り入れることで、さらにプロジェクトの効率化と高付加価値化を図り、顧客企業のビジネス支援を強化する方針だ。
(3) 生成AI技術の利活用
生成AI技術を顧客の成長シナリオにあてはめ、プロジェクトに適切な各種ツール・技術の活用を提案し、実装を支援するとともに、サービスの設計・実装・運用フェーズの各段階において生成AI技術を活用していく。生成AI技術の活用例として、オウンドメディアの設計段階の仮説検証の際に、様々な属性のユーザーの行動履歴などを調査し検証を進めていくが、生成AI技術を活用することで、属性ごとの行動パターンがある程度類推できるようになるため、効率化と迅速化が可能となる。同社では社内に生成AIの推進部署を新設し、より高度な活用ノウハウの蓄積、普及を推進するとともに、外部との連携・共創を促進していく。
(4) NTTデータグループとの協業
NTTデータとの資本業務提携以降、NTTデータが持つ顧客資産や技術力を背景として、案件拡大や新規顧客の開拓など一定の成果に結びつけてきたが、今後は、生成AIの技術分野についてどのようにシナジーが発揮されていくかに弊社では注目したい。現状、NTTデータ向けの売上の大半は通信事業会社向けのデジタルマーケティング支援案件であるが、今後、NTTグループが基幹システムを開発しているインフラ企業や、金融分野の顧客に対して、デジタルマーケティングを基軸としたサービスの提供並びに取引規模の拡大を図っていく。特に生成AI領域に関してはNTTデータも注力している分野であり、今まで以上にシナジーを創出できる好機になると弊社では見ている。
(5) ブランディングの強化
今後生成AI技術・ツールの利活用をより一層強化し、新たな事業基盤となるサービスを展開するにあたり、顧客をはじめとするステークホルダーからの認知もそれに相応しいものとなるよう、外部向けの広報を強化する。企業向けに生成AI技術を活用した新たな付加価値を提供し、実績を積み重ねていくことで、営業面や採用面で訴求する。
(6) 中期的成長イメージ
今後の業績成長に向けては、2025年3月期を底にして持続的な成長を実現していくための経営基盤を構築しながら、収益を拡大していく戦略だ。中長期の経営戦略については2025年6月に発表されたが、かなり野心的な計画である。
従来は、継続的に年間500百万円前後の売上高が見込める重点顧客を10社程度創出し、営業利益率で10%以上を目指していた。2025年3月期までに4社程度が重点顧客となっているようだ。2026年3月期以降は重点顧客をさらに拡充することで持続的な成長に取り組むとともに、今後、同社が力を入れる生成AI技術をこれまでの顧客にどのように提案し、受注していくか、生成AI技術を通して高付加価値サービスの提供により競争力を高め、収益を成長軌道に乗せていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■ネットイヤーグループ<3622>の今後の見通し
2. 成長戦略
同社はこれまで長年培ってきたUX/CXの設計とデジタル技術のノウハウを生かして事業拡大を目指してきたが、今後はこれらのノウハウに加えて生成AIの技術やツールを積極的に活用することで、顧客企業のDX推進と費用対効果の高いデジタルマーケティング支援サービスを提供し、一段の成長を目指す。生成AI技術はUX/CXの設計から実装、改善に至るPDCAサイクルの各段階において採り入れ、プロジェクトの効率化と高付加価値化の両立を図る方針で、2024年6月に代表取締役社長に就任した廣中龍蔵(ひろなかりゅうぞう)氏の強いリーダーシップのもと、全面的に推進することとしており、今後の展開が注目される。なお、持続的成長の実現に向けて取り組むべき課題として、「人材の確保と育成」「サービス領域の拡大」「生成AI技術の利活用」「NTTデータグループとの協業」「ブランディングの強化」の5つを挙げている。
(1) 人材の育成と確保
IT業界では人材の流動性が高く、またDXに対する投資需要の高まりに伴いITエンジニアの慢性的な需要不足が続いており、優秀な人材の獲得が困難な状況にある。同社においてもITエンジニアの不足、特にプロジェクトが複合化・高度化するなかでエンジニアに求められるスキルも多様化するなか、特定のスキルを持つエンジニアが不足していたため失注につながったケースが前期は複数件発生した。また、2026年3月期からスタートした新中期計画3ヶ年の内容を推察すると、今後ますます需要が高まる生成AI関連の技術者の獲得が同社の想定した成長シナリオを実現できるかどうかの分水嶺になるであろうと想定できる。同社では、従来に増して自社による人材の獲得を強化するとともに、NTTデータグループ各社との緊密な連携を元に、人材の融通性についても協力していく考えだ。
また、中長期的な視野で事業の主軸となる人材を定め、戦略的に確保・育成するとともに、それらの人材のパフォーマンスを最大化するための人事制度等の仕組みを整備する考えだ。
(2) サービス領域の拡大
同社が強みとするデジタルマーケティングのフルファネル領域について、一層の拡大と深耕を果たしていく予定である。これまで、フルファネルのなかで、ある特定領域のみ受注していたプロジェクトを隣接する領域に拡大し、集客から顧客管理(CRM)、そのデジタルデータの解析から新たなプロモーション施策へと展開していく考えだ。実際に、ホテル業界の顧客データを分析し、ロイヤルカスタマー化のシナリオを提示し、特定顧客へのプロモーション、キャンペーンを実施し、成果を上げてきている。
今後はこうした取り組みに生成AI技術を取り入れることで、さらにプロジェクトの効率化と高付加価値化を図り、顧客企業のビジネス支援を強化する方針だ。
(3) 生成AI技術の利活用
生成AI技術を顧客の成長シナリオにあてはめ、プロジェクトに適切な各種ツール・技術の活用を提案し、実装を支援するとともに、サービスの設計・実装・運用フェーズの各段階において生成AI技術を活用していく。生成AI技術の活用例として、オウンドメディアの設計段階の仮説検証の際に、様々な属性のユーザーの行動履歴などを調査し検証を進めていくが、生成AI技術を活用することで、属性ごとの行動パターンがある程度類推できるようになるため、効率化と迅速化が可能となる。同社では社内に生成AIの推進部署を新設し、より高度な活用ノウハウの蓄積、普及を推進するとともに、外部との連携・共創を促進していく。
(4) NTTデータグループとの協業
NTTデータとの資本業務提携以降、NTTデータが持つ顧客資産や技術力を背景として、案件拡大や新規顧客の開拓など一定の成果に結びつけてきたが、今後は、生成AIの技術分野についてどのようにシナジーが発揮されていくかに弊社では注目したい。現状、NTTデータ向けの売上の大半は通信事業会社向けのデジタルマーケティング支援案件であるが、今後、NTTグループが基幹システムを開発しているインフラ企業や、金融分野の顧客に対して、デジタルマーケティングを基軸としたサービスの提供並びに取引規模の拡大を図っていく。特に生成AI領域に関してはNTTデータも注力している分野であり、今まで以上にシナジーを創出できる好機になると弊社では見ている。
(5) ブランディングの強化
今後生成AI技術・ツールの利活用をより一層強化し、新たな事業基盤となるサービスを展開するにあたり、顧客をはじめとするステークホルダーからの認知もそれに相応しいものとなるよう、外部向けの広報を強化する。企業向けに生成AI技術を活用した新たな付加価値を提供し、実績を積み重ねていくことで、営業面や採用面で訴求する。
(6) 中期的成長イメージ
今後の業績成長に向けては、2025年3月期を底にして持続的な成長を実現していくための経営基盤を構築しながら、収益を拡大していく戦略だ。中長期の経営戦略については2025年6月に発表されたが、かなり野心的な計画である。
従来は、継続的に年間500百万円前後の売上高が見込める重点顧客を10社程度創出し、営業利益率で10%以上を目指していた。2025年3月期までに4社程度が重点顧客となっているようだ。2026年3月期以降は重点顧客をさらに拡充することで持続的な成長に取り組むとともに、今後、同社が力を入れる生成AI技術をこれまでの顧客にどのように提案し、受注していくか、生成AI技術を通して高付加価値サービスの提供により競争力を高め、収益を成長軌道に乗せていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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