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オービーシステム Research Memo(5):2025年3月期の売上高は過去最高も、成長投資で営業・経常段階は減益

*12:05JST オービーシステム Research Memo(5):2025年3月期の売上高は過去最高も、成長投資で営業・経常段階は減益
■オービーシステム<5576>の業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高7,684百万円(前期比11.4%増)、営業利益562百万円(同4.8%減)、経常利益611百万円(同3.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益485百万円(同9.9%増)となった。売上高は過去最高を更新した。連結決算への移行に伴い、2024年8月に売上高のみ上方修正していた業績予想も1.6%上回った。金融機関などのマイグレーションやDXの進展に伴うクラウド化などの需要拡大により各事業とも好調に推移した。2024年4月に子会社化したH&T社は業務系、組込み系ソフトの開発を行っており、売上高で3億円程度貢献した。H&T社を含む産業流通事業の売上高は同21.6%増と伸長した。旺盛な需要に対して開発人員の増員、BPへの外注比率アップなどもあるが、開発単価への転嫁や開発の効率化への取り組みにより売上総利益率は前期比で1.3ポイント上昇し増益を確保した。一方、新卒の採用倍増(前期の25名から52名へ増員)に伴う費用増※、H&T社のM&A、連結決算に伴う費用増、2025年5月に700百万円を投資して子会社化したGC社のM&A費用などの成長投資により販管費が膨らみ、営業利益、経常利益は前期を下回った。修正業績予想に対しても、それぞれ6.3%、4.0%下回った。営業利益の増減要因は、増収効果で483百万円増加したが、外注費・人件費で304百万円減少、新入社員の教育研修費で53百万円減少、連結に伴う費用で117百万円減少(のれんと顧客関連資産の償却費43百万円、H&T社のM&Aアドバイザリー費用28百万円、GC社のM&Aアドバイザリー費用45百万円)、MILIZEとの業務提携後の研究開発費などで37百万円減少し、合計で28百万円減少した。ただし、政策株式の段階的な売却に伴う売却益84百万円を計上したことで当期純利益は前期を上回り、修正業績予想を上回って着地した。2023年3月期の税効果会計による特殊要因を除けば、実質的には過去最高となった。

※ 新入社員の研修期間中の人件費は販管費。

2. サービスライン別動向
(1) 金融事業
金融事業の売上高は3,052百万円(前期比12.0%増)となった。大型マイグレーション案件の受注が拡大している生損保関連分野において、既存案件の増員と新規案件の獲得により事業が拡大した。加えて、メガバンク系も高水準での投資が継続しており、積極的な営業活動により新規案件の獲得が順調に進んだ。また、人材面においてもスキルの高いエンジニアの確保により、組織競争力を強化しており業績は順調に推移した。

(2) 産業流通事業
産業流通事業の売上高は2,308百万円(前期比21.6%増)となった。組込み系ソフト開発を行うH&T社の業績も貢献した。産業流通分野において自動車関連や製薬企業向けソリューション案件が堅調に推移した。マイコン分野においても自動運転などの車載案件を中心に、モータ制御系、IoT関連案件が好調であり、医療分野においても臨床検査システムパッケージ「CLIP」の販売・開発が順調に進んだ。

(3) 社会公共事業
社会公共事業の売上高は1,722百万円(前期比2.2%増)となった。電力ICT分野において電力託送システム案件が堅調に推移した。メディア情報分野においては新規案件を開発からリリースまで完遂し、顧客満足度の向上に寄与した。公共分野においても自治体向けシステム案件の受注を拡大するなど、全体的に堅調に推移している。

(4) ITイノベーション事業
ITイノベーション事業の売上高は601百万円(前期比2.5%増)となった。システム基盤ソリューション分野においてユーザーのシステム投資計画が早まったことから、オンプレミス環境構築・運用案件の受注拡大に成功した。金融ソリューション分野においても、クレジットカードシステムや投資信託システムの開発案件を確実に受注できたことにより、業績は堅調に推移した。

3. 財務状況と経営指標
2025年3月期末の資産合計は前期末比592百万円増加の6,471百万円となった。現金及び預金が267百万円減少した一方で、売掛債権が114百万円増加したほか、H&T社買収に伴うのれん188百万円、顧客関連資産143百万円など無形固定資産が329百万円増加した。また、株価の上昇と満期保有目的の有価証券300百万円の購入により投資有価証券が434百万円増加した。負債合計は同190百万円増加し1,357百万円となった。前期に創業者の山田氏への退職慰労金500百万円の期ずれでの支払いがあり税務上圧縮されていた納税額が増加したこと、有価証券の評価益が増加したことにより、未払法人税額、繰延税金負債が増加した。純資産合計は5,113百万円と前期末を402百万円上回った。親会社株主に帰属する当期純利益485百万円に自己株式の取得・売却によるネット収支7百万円が加わったほか、株価上昇に伴い有価証券評価差額金が93百万円増加した。買収に伴い総資産が膨らんだため、自己資本比率は79.0%と前期末を1.1ポイント下回ったが、無借金を継続し財務体質は引き続き盤石である。

営業キャッシュ・フローは、創業者の山田氏への退職慰労金の支払いがなくなったため前期比431百万円増加した。一方、H&T社の株式取得407百万円(投資額500百万円-H&T社の現金及び預金93百万円)、有価証券の売買などにより投資キャッシュ・フローは444百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フローは17百万円の収入に留まった。財務キャッシュ・フローは配当金の支払184百万円の支出となったが、現金及び預金を取り崩して賄い、無借金経営を継続した。投資キャッシュ・フローにおいては、満期保有の有価証券300百万円を買い増すなど実質的な流動性を積み上げており、潤沢な準備資金を背景にした今後の成長投資が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)



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