フィスコニュース

*12:08JST ＮＥＣキャピ Research Memo（8）：中期計画2025最終年度に向けて各事業を持続的に拡大（2）
■NECキャピタルソリューション<8793>の今後の見通し

2. 中期計画2025の進捗状況
同社は、2023年4月に新たなグループビジョン2030「次世代循環社会をリードするSolution Company」を実現するための第1歩と位置付けられる「中期計画2025」を発表し、2025年度において当期純利益100億円、ROA0.9%、ROE8%を達成する財務目標を掲げた。非財務目標としては、カーボンニュートラル実現に向けたCO2の2022年度実績比20%削減等のほか、社会インフラ整備の推進、ICTビジネス拡大に伴う循環利用の促進、気候変動対応の推進等を設定した。3つの事業戦略として「サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出」「注力事業への戦略的投資による成長加速」「ベンダーファイナンスの強化および顧客基盤拡充」を推進している。

(1) 事業戦略
a) サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出
「その他の事業」で、子会社のNCSアールイーキャピタル(株)がウェアハウジング事業として賃貸レジデンス事業を拡大させている。「クラリティア」ブランドとして賃貸を開始しており、2025年3月時点で東京23区内と中心に13件取得し、7件竣工済みである。今後の動向次第で売却によるキャピタルゲイン獲得の対象になると考えられ、業績寄与も期待される。また発電事業としては、再生可能エネルギーに関するパートナーを拡大し、電源開発及びセカンダリー案件取得の機会が増加している。また新たな循環型サービスとして、リース事業においては「メーカー整備済みリユースPC（保証オプション付き）」の提供サービスを開始するなど営業活動を活発化している。

b) 注力事業への戦略的投資による成長加速
リース事業においては、LCMサービスに関する外部ベンダーとの協議や自社サービス開発による顧客への価値提供や収益性向上策を実行中だ。リースやレンタルの対象となったPC等のキッティングから故障対応やソフトウェア管理、リースやレンタル終了後の撤去、データ消去作業等を一貫して管理するサービスで、同社顧客だけでなく、新たな提携先である昭和リースへのサービス提供等も検討している。ファイナンス事業については、企業ファイナンス領域において金融プロダクトの商品性強化や優良資産の積み上げを図る。特にLBOメザニン案件への積極対応や、オリジネーション案件の獲得に注力中だ。また、リスク対策として、モニタリング機能や管理体制の強化も並行して行っている。インベストメント事業では、国内ファイナンスの強化や、東南アジアを中心とした不動産ビジネス展開にも注力している。

c) ベンダーファイナンスの強化及び顧客基盤拡充
リース事業においてベンダーとの協業によるソリューションを拡大中である。前述の「GIGAスクール第二期」への対応や、システム投資案件における機器導入をリースにて提案する等の活動を行っている。

(2) その他
a) 経営基盤強化戦略
DX推進やIT人材育成やプロセス標準化による業務の品質性・効率性の強化を行っている。また組織・人材面では新人事制度の導入等を実施した。さらに前2025年3月期の主要株主異動や業務提携に伴う体制移行手続きや、NCSアールイーキャピタルへの一部事業の分割に伴うグループコンプライアンス管理態勢の強化を図った。

b) 非財務目標の進捗状況
同社は前述のグループビジョンの下、事業活動そのものが社会価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を推進している。グループビジョンのゴールは2030年度だが、その第1段階として中期計画2025においても非財務目標を設定し、マテリアリティ（組織の重要課題）と事業戦略の結びつきを明示している。非財務目標は「環境・社会課題」に関する5項目と「人的資本」に関する2項目で、2025年3月期においてはおおむね計画通りの進捗を見せた。

（執筆：フィスコアナリスト　村瀬智一）



＜HN＞