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ダイキアクシス:国内の浄化槽メーカーからグローバルな水ビジネスプレイヤーへ、総合利回り4%超え

*10:14JST ダイキアクシス:国内の浄化槽メーカーからグローバルな水ビジネスプレイヤーへ、総合利回り4%超え
ダイキアクシス<4245>は、浄化槽などの水処理設備を手掛ける環境機器関連事業を主力とし、住宅設備の販売・施工を行う住宅機器関連事業、再生可能エネルギー事業、その他の事業を展開する総合環境ソリューション企業である。2024年12月期の売上構成比は、環境機器関連事業が50.5%、住宅機器関連事業が42.4%、再生可能エネルギー関連事業が5.8%、その他の事業が1.3%となっており、環境・住宅の2事業で全体の約93%を占める。

特に環境機器関連事業では、浄化槽や排水処理システムの製造・施工からメンテナンスまでを一貫して手がける体制を強みとしており、日本国内における公衆衛生インフラの維持・拡張を支えている。また、海外ではアジアを中心に現地政府との連携を図りながら事業展開を進めており、分散型水処理インフラのグローバルな普及に貢献している。住宅機器関連事業は、1958年に「タイルと衛生陶器の店」として創業以来同社に受け継がれている事業で、水まわりを中心とした住宅設備機器をはじめ、内外装材、エクステリア、空調など、住環境を快適にする幅広い商材を取り扱っている。歴史と実績はもちろんのこと、幅広い商材と新商材開拓、全国ネットワークの組織力を備えている。

同社の競争優位性は、主力の環境機器関連事業における、自社製品を持つ「開発型企業」としての強みを生かした製造からメンテナンスまでの一気通貫体制に加え、メンテナンス契約に基づくストック型モデルの展開となる。とりわけ国内では、地下水を飲料化する上水事業も行っており、総合水処理メーカーとして上水・中水・下水のトータルプランニングも行う。新設工事とともに中長期的な保守契約・修繕案件を積み重ねることで、収益の安定化と将来受注の見通し確保を実現。

また、同社は業界に先駆けてFRP 製浄化槽を開発して以来、水処理のパイオニアとして常に業界をリードするものづくりに挑戦してきた。開発部門では、高機能、低コスト、省スペースの製品を開発し、油分排水処理では特許も取得しており、産業排水処理システムの分野で栗田工業<6370>やオルガノ<6368>とは直接的な競合とはならない。製造部門では、業界初の浄化槽のJIS 認定工場である松山工場をはじめ、国内4工場がISO9001を取得。国際規格に基づく品質管理はインドを中心とする海外展開においても生かされている。海外では、現地政府との連携による水質基準や認証制度の構築といった、制度設計からの市場開拓が同社の特徴であり、単なる設備販売にとどまらない高付加価値型の事業展開を志向。製品は分散型でサイズとしてはかなり小さくなるが、大型の処理施設では効率が悪いような地域を対象に展開しており、建物ごとに処理ができる浄化槽の強みを活かした戦略をとっている。

2025年12月期第1四半期の売上高は12,800百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益は742百万円(同45.5%増)と大幅な増収増益着地となった。主要3セグメント(環境機器、住宅機器、再生可能エネルギー)が堅調に推移。具体的には、環境機器関連事業では、大型案件の進捗や原価上昇に伴う販売価格への転嫁等が業績をけん引。住宅機器関連事業でも、仕入価格高騰分の販売価格への転嫁が進むとともに、大型・高利益率案件の工事が進捗し、利益額・利益率ともに大幅に増加した。再生可能エネルギー関連でも、太陽光・風力発電の安定運営に加え、バイオディーゼル燃料の契約件数も堅調に推移した。

通期計画は、売上高47,800百万円(前期比2.1%増)、営業利益1,100百万円(同4.9%増)を計画する。第1四半期時点での利益進捗率はいずれも高く、前倒し計上された高採算案件の影響を加味しつつも、着地には上振れの余地が残る。主力の環境機器関連では、保守・修繕を中心としたメンテナンス契約数が年々積み上がり、ストック型ビジネスの強化が進展している。海外展開においては、インドで現地政府と連携し、水質基準や認証制度などの策定支援を通じて制度面から市場を開拓する「インドモデル」の成果が見え始めており、今後はスリランカやバングラデシュなど他国への横展開が期待されている。住宅機器関連では、2024年より木構造事業を本格化させ、資材調達から設計・施工までを一貫して担う体制を構築。さらに、同年11月には三菱地所と提携し、総合スマートホームサービス「HOMETACT」の取扱いを開始するなど、顧客への新たな価値提案を通じた提案型ビジネスへの転換が進んでいる。再生可能エネルギー事業では、首都圏におけるバイオディーゼル燃料の供給体制構築や、グリーンデータセンター事業の立ち上げが進展。不透明な外部環境が続く中、同社は中期経営計画として、成長投資と収益性の両立を重視した運営に注力している。

事業環境に目を向けると、国内ではインフラの老朽化対応や公共設備の維持更新ニーズ、人口減少社会における効率的な水処理・省エネ対応が引き続き求められる。一方で海外、特にアジア・アフリカ諸国においては、安全な水供給と下水処理の整備が喫緊の課題であり、日本での公衆衛生技術の普及が国際的にも求められている。世界の水ビジネスは、上水、下水、産業排水、海水淡水化などを含めると、2030年には100兆円を超える市場が見込まれており、同社は国内の浄化槽メーカーから、「グローバルな水ビジネスプレイヤー」を目指す考えである。「日本の安全安心を、世界の日常に」というスローガンは、こうしたグローバルな水衛生課題への対応と整合的である。

新中期経営計画(2025年12月期〜2027年12月期)では、最終年度の目標として売上高53,000百万円、営業利益1,450百万円、自己資本比率31.0%、ROE9.7%を目指す。今後の成長の鍵を握るのは、環境機器関連事業におけるストックビジネスの深化と、海外事業の本格展開である。国内では保守契約数の年次積み増しによって安定収益の確保が進んでおり、修繕・更新案件による利益確保が期待される。一方海外では、インドを起点とした「インドモデル」に基づく制度整備型の市場開拓が奏功し始めており、バングラデシュやスリランカ、さらに中東・アフリカ地域への波及も視野に入っている。また、バイオディーゼル燃料やグリーンデータセンターといった新分野においても、都市圏での展開加速により中長期的な収益源の創出が期待される。

そのほか、過去20年間で13件のM&Aを実施してきているが、買収した事業はいずれも主力事業の一角を担うとともに、いくつかの会社については同社本体と一体化することで、既にシナジーを発揮。中計ではM&Aに最大20億円の投資枠を設定しているが、今後も重点分野において積極的にM&Aを進める考えである。

最後に、株主還元については、株主への安定的な利益還元、並びに継続的な成長を実現するため、配当性向と内部留保を総合的に勘案したうえで配当を行っている。2025年12月期についても1株当たり24.0円(中間12.0円、期末12.0円)の継続を予定。また、株主優待制度として「ダイキアクシス・プレミアム優待倶楽部」を導入。同制度では、食品、電化製品、ギフト、旅行・体験など2,000点以上の商品や、他のプレミアム優待倶楽部導入企業の優待ポイントと合算が可能な共通株主優待コインと交換可能だ。長期保有の場合、ポイントが1.1倍の割増しとなる。配当利回りのみで3%を超えるが、500株保有で優待と配当総合利回り(予想)は4.4%を超える。そのほか、PBRは0.9倍台で1倍を下回っており、1倍割れ改善に向けても企業価値の持続的向上を図る姿勢が示されている。総じて、水衛生問題の解決に向けてグローバル展開を加速させている同社の今後の動向には注目しておきたい。



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