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フィード・ワン Research Memo(9):中計の生産体制の刷新・増強計画の一環として、水産新工場建設に着手(2)
2025/07/31 11:09
*11:09JST フィード・ワン Research Memo(9):中計の生産体制の刷新・増強計画の一環として、水産新工場建設に着手(2)
■フィード・ワン<2060>のトピックス
2. 長期ビジョン
同社は、2024年3月に、次の10年の方向性を定める長期ビジョンを定めた。これまでの10年は「(2社)統合による事業基盤の確立」であり、飼料業界のリーディングカンパニーに成長した10年だった。この成功に安住することなく、「『1(ONE)』にこだわり、選ばれる企業へ」という新たなVisionを掲げ、10年後の2034年3月期にEBITDAで160億円以上、ROE10%以上、ROIC8%以上、畜産飼料市場シェア20%以上という経営指標を目指す。飼料業界の特性上、投資回収には数十年要することから先行投資を十分行える企業は少ないなか、同社は飼料業界のトップ企業として、サステナブルな畜水産業の実現のために、生産体制を刷新・増強する。全国の14工場の中には築後60年以上経過した工場もあり老朽化が課題である。自動化・省人化・省エネ化など先進技術を活用した工場設備に投資をすることは、人材確保が難しい時代に不可欠であり、環境問題の解決にも貢献する。投資計画としては、2025年3月期から2030年3月期までの6年間に600億円程度を見込む。前 中期経営計画期間の設備投資実績は年間平均25億円程度だったが、今後の6年間は年間平均100億円の投資規模に拡大することになる。なお、初期の3年間(1stステージ)では後半から投資が加速する見込みである。必要な資金は主に営業キャッシュ・フローから捻出し、財務規律を保ちながら有利子負債からも調達するほか、保有資産の最適化により資産効率の向上を図る。
3. 中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)と進捗
2025年3月期を初年度に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を進行中である。同社のフェーズ分けによると、第2フェーズの10年間(〜2034年3月期)の1stステージの3年間である。2027年3月期に目指す経営指標は、EBITDA:115億円(前 中期経営計画期間中平均値:82億円)、ROE:8%以上(同7.2%)、ROIC:6%以上(同4.7%)販売数量:390万トン(同369万トン)、総投資額:600億円(6年間。前中期経営計画期間の3年間累計74億円)である。参考数値として、2027年3月期の計画値は、売上高が3,272億円(同2,883億円)、経常利益が70億円(同48億円)である。計画全体として、確実な設備投資の実行と資本コストを意識した経営を実現する方針が経営指標に反映された。1年目を終えて、EBITDAは105億円、ROE10.3%(達成)、ROIC6.1%(達成)、販売数量379万トン、総投資額49億円と、順調に進捗したと言える。
新たな経営指標として設定したROICに関しては、見える化に取り組んでおり、事業別の改善活動として落とし込んでいる。一例として、これまで売上機会を逃さないことを優先して製品在庫や原材料在庫に余裕を持たせてきたが、今後全社最適を考慮した在庫の持ち方にシフトしていくなど、現場の改善案が出始めた。また、畜産飼料事業を中心として、水産飼料・食品の各事業との連携強化によるシナジーを発揮することで、継続的な収益力の強化を図る。畜産飼料事業では、営業・工場・研究所の連携強化やCRM導入による営業効率化に取り組む。2027年3月期の販売数量は380万トン(2024年3月期368万トン)を目標とする。水産飼料事業では、営業体制強化と魚粉依存からの脱却とコンサルティングサービスの深化を目指す。2027年3月期の販売数量は11.5万トン(2024年3月期11.0万トン)を目標とする。食品事業では畜産飼料事業とのシナジー発揮を実現するとともに、相場に左右されない差別化商品の開発・販売や、販売スキームの構築を図る。財務ではCMS導入によるグループ資金の効率化も推進する。
4. 研究開発と製品開発の推進
同社は4ヶ所の研究開発拠点に60名を超える研究開発担当の人材を配置し、優位性のある製品を世に送り出している。また、国内大学・研究機関に加え、穀物メジャーの研究機関やアメリカの大学等とも連携し海外技術を積極導入している。飼料業界では、この規模の研究開発投資ができる数少ない企業と言える。注目の成果として、畜産飼料事業では、乳牛飼育用新製品「ルミナス」(発売予定)がある。これまで両立が困難であった「乳量増加と最適乳成分の両立」を実現した画期的なレシピが特長である。また、10年以上前から各畜種向けの暑熱期専用飼料を販売しており、ノウハウが蓄積されている乳牛向け暑熱対策製品「アイス」は暑熱下に弱い乳牛向けに生産性維持を目的に発売されたもので、年々売上を伸ばし2025年3月期の販売数量は過去最高を更新した。このような高付加価値製品は、1品目ごとの収益貢献度は大きくないが収益性の向上に効果が高い。研究×製造×販売の相乗効果を積み上げ、着実に収益力を強化できるのが同社の強みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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■フィード・ワン<2060>のトピックス
2. 長期ビジョン
同社は、2024年3月に、次の10年の方向性を定める長期ビジョンを定めた。これまでの10年は「(2社)統合による事業基盤の確立」であり、飼料業界のリーディングカンパニーに成長した10年だった。この成功に安住することなく、「『1(ONE)』にこだわり、選ばれる企業へ」という新たなVisionを掲げ、10年後の2034年3月期にEBITDAで160億円以上、ROE10%以上、ROIC8%以上、畜産飼料市場シェア20%以上という経営指標を目指す。飼料業界の特性上、投資回収には数十年要することから先行投資を十分行える企業は少ないなか、同社は飼料業界のトップ企業として、サステナブルな畜水産業の実現のために、生産体制を刷新・増強する。全国の14工場の中には築後60年以上経過した工場もあり老朽化が課題である。自動化・省人化・省エネ化など先進技術を活用した工場設備に投資をすることは、人材確保が難しい時代に不可欠であり、環境問題の解決にも貢献する。投資計画としては、2025年3月期から2030年3月期までの6年間に600億円程度を見込む。前 中期経営計画期間の設備投資実績は年間平均25億円程度だったが、今後の6年間は年間平均100億円の投資規模に拡大することになる。なお、初期の3年間(1stステージ)では後半から投資が加速する見込みである。必要な資金は主に営業キャッシュ・フローから捻出し、財務規律を保ちながら有利子負債からも調達するほか、保有資産の最適化により資産効率の向上を図る。
3. 中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)と進捗
2025年3月期を初年度に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を進行中である。同社のフェーズ分けによると、第2フェーズの10年間(〜2034年3月期)の1stステージの3年間である。2027年3月期に目指す経営指標は、EBITDA:115億円(前 中期経営計画期間中平均値:82億円)、ROE:8%以上(同7.2%)、ROIC:6%以上(同4.7%)販売数量:390万トン(同369万トン)、総投資額:600億円(6年間。前中期経営計画期間の3年間累計74億円)である。参考数値として、2027年3月期の計画値は、売上高が3,272億円(同2,883億円)、経常利益が70億円(同48億円)である。計画全体として、確実な設備投資の実行と資本コストを意識した経営を実現する方針が経営指標に反映された。1年目を終えて、EBITDAは105億円、ROE10.3%(達成)、ROIC6.1%(達成)、販売数量379万トン、総投資額49億円と、順調に進捗したと言える。
新たな経営指標として設定したROICに関しては、見える化に取り組んでおり、事業別の改善活動として落とし込んでいる。一例として、これまで売上機会を逃さないことを優先して製品在庫や原材料在庫に余裕を持たせてきたが、今後全社最適を考慮した在庫の持ち方にシフトしていくなど、現場の改善案が出始めた。また、畜産飼料事業を中心として、水産飼料・食品の各事業との連携強化によるシナジーを発揮することで、継続的な収益力の強化を図る。畜産飼料事業では、営業・工場・研究所の連携強化やCRM導入による営業効率化に取り組む。2027年3月期の販売数量は380万トン(2024年3月期368万トン)を目標とする。水産飼料事業では、営業体制強化と魚粉依存からの脱却とコンサルティングサービスの深化を目指す。2027年3月期の販売数量は11.5万トン(2024年3月期11.0万トン)を目標とする。食品事業では畜産飼料事業とのシナジー発揮を実現するとともに、相場に左右されない差別化商品の開発・販売や、販売スキームの構築を図る。財務ではCMS導入によるグループ資金の効率化も推進する。
4. 研究開発と製品開発の推進
同社は4ヶ所の研究開発拠点に60名を超える研究開発担当の人材を配置し、優位性のある製品を世に送り出している。また、国内大学・研究機関に加え、穀物メジャーの研究機関やアメリカの大学等とも連携し海外技術を積極導入している。飼料業界では、この規模の研究開発投資ができる数少ない企業と言える。注目の成果として、畜産飼料事業では、乳牛飼育用新製品「ルミナス」(発売予定)がある。これまで両立が困難であった「乳量増加と最適乳成分の両立」を実現した画期的なレシピが特長である。また、10年以上前から各畜種向けの暑熱期専用飼料を販売しており、ノウハウが蓄積されている乳牛向け暑熱対策製品「アイス」は暑熱下に弱い乳牛向けに生産性維持を目的に発売されたもので、年々売上を伸ばし2025年3月期の販売数量は過去最高を更新した。このような高付加価値製品は、1品目ごとの収益貢献度は大きくないが収益性の向上に効果が高い。研究×製造×販売の相乗効果を積み上げ、着実に収益力を強化できるのが同社の強みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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