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戸田工業 Research Memo(6):2026年3月期は成長事業に経営資源を集中

*13:06JST 戸田工業 Research Memo(6):2026年3月期は成長事業に経営資源を集中
■戸田工業<4100>の今後の見通し

● 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は売上高29,000百万円(前期比8.4%減)、営業利益900百万円(前期は648百万円の損失)、経常利益600百万円(同1,411百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益200百万円(同3,563百万円の損失)予想とした。

親会社株主に帰属する当期純利益の3,800百万円改善の増減分析では、営業利益ではTAMの影響がなくなり(1,300百万円)、実質的には営業利益が前期比248百万円改善した。また持分法損益の改善300百万円を見込み、特別損益ではTAM清算の影響が1,100百万円改善、その他の特別損益の改善400百万円などが寄与し、黒字転換する予想としている。

2026年3月期の事業セグメント別業績は、電子素材事業で売上高20,700百万円(前期比12.7%減)、営業利益(全社費用控除後)800百万円(前期比1,200百万円改善し黒字転換)予想となっている。このなかで売上面ではTAMの清算に伴う影響額2,100百万円分が減収の主要因でこれを除くと3.8%減収見通しだ。営業利益面ではTAMの清算に伴う利益寄与1,200百万円があり実質横ばい予想となっている。機能性顔料事業については売上高8,300百万円(前期比2.4%増)、営業利益(全社費用控除後)100百万円(前期比400百万円改善し黒字転換)予想としている。トナー材料等は横ばい、触媒の増加を見込む。利益面ではトナー材料等の合理化で黒字転換を見込む。

(1) 電子素材事業(会社資料に従い億円単位の増減)
1) 磁石材料
磁石材料は売上高11,100百万円(前期比1,000百万円減)、営業利益1,100百万円(同横ばい)予想とした。売上面では前期好調だった中国子会社の江門協立磁業高科有限公司について、中国経済の鈍化、加えてEV市場の変調、中国ローカルメーカーの台頭などから伸び悩むと見られる。利益については国内のコスト削減などを進めるなかで、付加価値の高い希土類ボンド磁石用コンパウンドなどで収益性を高め、全体では横ばいを確保する計画だ。

2) 誘電体材料
誘電体材料は売上高1,700百万円(前期200百万円増)、営業損失100百万円(前期比100百万円悪化し損失)予想とした。売上高としては過去最高を更新する予想である。MLCCの高容量化、高性能化ニーズに沿って超微粒の特徴を生かした共材需要の拡大、また従来の需要に加え、AIサーバーなどでもMLCCが従来比2倍の個数が使われるなど売上拡大が見込まれ、2ケタ増収が続く見通しである。ただし、利益面では引き続き研究開発面でコスト負担が大きく、特に開発品である分散体の投入を控えており、利益面では損失を余儀なくされるようだ。

3) 軟磁性材料
軟磁性材料は売上高7,000百万円(前期比400百万円増)、営業利益収支均衡(前期比変わらず)予想とした。インダクター向けを中心に先端素材の売上拡大を目指しており、戸田イスから社名も改称した韓国の子会社戸田マテリアルズとのシナジー効果も期待できる売上の増加が見込まれる。ただし利益面では車載向け市場の伸び悩みから収益性が多少悪化傾向となっており、増収ながら利益は横ばいに留まる見通しである

4) ハイドロタルサイト
同材料は売上高400百万円(前期比500百万円減)、営業損失200百万円(前期比横ばいで損失継続)予想とした。基本的に提携解消による販売減少の影響が継続し、人員、設備面でスリム化するも損失が残る見通しだ。

5) LIB用材料
LIB用材料は売上高400百万円(前期比2,000百万円減)、営業損失0億円(前期比1,300百万円改善し収支均衡)予想とした。TAMの解散により在庫処分を行い、国内での関連ビジネスで縮小均衡し売上高が400百万円に留まる予定である。利益面では、解散に伴う一時費用1,200百万円がなくなり、ほぼ収支均衡近くの営業利益となる見通し。なお、営業外収支において持分法適用会社であるBASF戸田バッテリーマテリアルズにおいてもEV不振による収益低迷が継続するも、BASF戸田バッテリーマテリアルズを含む持分法による投資損失は300百万円程度縮小を想定している(BASF戸田バッテリーマテリアルズの金額は非開示)。

(2) 機能性顔料事業
1) 着色顔料・トナー用材料
着色顔料・トナー用材料は売上高6,600百万円(前期比横ばい)、営業損失100百万円(前期比300百万円損失縮小)予想とした。全体として複写機・プリンター向け、塗料向けともに売上を追うのではなく利益確保のためにコストダウンを継続して黒字化を目指す。

2) 触媒
触媒は売上高1,700百万円(前期比200百万円増)、営業利益200百万円(前期比100百万円増)予想とした。引き続きスチレンモノマー用触媒のシェアアップで収益拡大の見通しである。

以上が各材料別の収益見通しとなるが、現状、トランプ関税問題やEV市場不振、PCやスマートフォンなどの伸び悩み、一部レアメタルなどの市況高騰で材料費がかさむといった懸念がある。2026年3月期の業績予想における不透明要因となっており、必ずしも業績予想に織り込んでいるとは言えず、減額修正となるリスクがあるが、少なくとも成長期待分野においては売上確保が見込まれ、再生・転換分野においては単独決算を中心にコスト削減が強力に実行されており、前期のような大幅な減額とはならないと見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)



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