フィスコニュース
バルテスHD Research Memo(2):ソフトウェアテストの専門企業。独自の社員教育に強み
2025/09/02 12:02
*12:02JST バルテスHD Research Memo(2):ソフトウェアテストの専門企業。独自の社員教育に強み
■会社概要
バルテス・ホールディングス<4442>は、現 代表取締役会長兼社長である田中真史(たなかしんじ)氏によって2004年に設立された。同氏は、それまでは一般的なソフトウェアハウスを経営していたが、「世に出るソフトウェアの品質をより向上させていきたい」という想いから、ソフトウェアテストを専門に行うことを目的に同社を設立した。社名である「バルテス(VALTES)」は、「Value Created through Testing(テストによる価値創造)」の造語に由来する。
その後も同社はソフトウェアテストの専門ハウスとしての道を歩み、多くのソフトウェアテスト案件に携わると同時に、社内のエンジニア教育にも力を入れ、独自の教育メソッドを確立している。現在はソフトウェアテスト専門会社として多様なユーザーやITベンダーから数多くのテスト依頼を受けている。ソフトウェアテストの多くは未だにソフトウェアベンダー等の内部で行われる場合が多いが、近年では外部企業によるソフトウェアテストへの認識が高まりつつある。このため、ソフトウェアテスト市場は発展途上にあり、同社の成長余力も大きいと言える。
株式については、2019年5月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場へ上場し、2022年4月に東証の市場区分再編に伴いグロース市場へ移行した。現在はプライム市場への移行を目指している。
■事業概要
主力のソフトウェアテストに加え、ソフトウェア開発・セキュリティ診断も拡大中
1. 事業内容及びセグメント別概要
同社は2025年3月期から事業セグメントを変更し、現在の事業セグメントは、「ソフトウェアテスト」「開発」「セキュリティ」の3つである。
(1) ソフトウェアテスト(2025年3月期売上高比率84.4%)
a) 対象領域
ソフトウェアテスト事業では、ユーザー企業、メーカー、ソフトウェアベンダーに対して、ソフトウェアの不具合により顕在化するリスクを回避するため、開発工程における品質計画の立案、開発プロセスの改善、ソフトウェアの不具合の発見、または重大な不具合が発生していないことを確認するためのテスト計画、テスト設計、テストケースの作成、テスト実施及びテストサマリレポートの作成まで、幅広いソフトウェアテストサービスを第三者の中立的立場で提供している。ソフトウェア開発における川上から川下までの幅広い領域をカバーしているのが特色だ。
同社が対象とするサービス提供領域は、エンタープライズ系(業務システムや基幹システム等)、組込系(AV機器や家電、産業機器等)、Web・スマートフォン系(Webサイトやモバイルアプリケーション等)、その他、と幅広い。このうちエンタープライズ系(略称:エンプラ系)に関しては案件規模が大きく高単価であるうえに、参入障壁が高く価格競争の回避につながるなどメリットが多いため、積極的にこの分野の拡大を目指す計画だ。
b) 主な提供サービスと提供形態、契約形態
同社が提供する主なサービスは、ソフトウェアテストサービス、ソフティアテストツールサービス、ソフトウェアテストに関する教育(バルカレ)サービス、セキュリティツールサービスなど多岐にわたる。
(2) 開発(同16.5%)
主に連結子会社のバルテス・イノベーションズ(株)(2025年4月にバルテス・モバイルテクノロジー(株)より商号変更)、(株)アール・エス・アール、(株)シンフォー、タビュラ(株)が提供するソフトウェア・システムの開発請負及び開発要員派遣等のサービス。この分野では、企画から、要件定義、開発、UI/UXを含むデザイン、リリース、運用までワンストップで提供可能だ。
(3) セキュリティ(同2.0%)
セキュリティ診断(脆弱性診断)サービスを提供している。セキュリティ診断サービスでは、Webシステムやモバイルアプリケーション、またIoT機器に対しての外部からの侵入(ハッキング)などが行える隙がないか、システムの安全性を調査することで、潜在的な脆弱性が発見できる。
2. 特色、強み、競合
同社の主力事業はソフトウェアテストサービス事業だが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専門企業としての豊富な経験・知識・知見
既述のとおり、同社はソフトウェアテストの提供を目的として2004年に設立して以来、専門企業としてソフトウェアテストサービス事業を続けている。そのため、この間に蓄積された経験と専門的な知識・知見が豊富である。
(2) ソフトウェア開発の全工程でテストサービスを提供
同社は、ソフトウェア開発の川上である要件定義から、基本設計、詳細設計、製造・単体テスト、結合テスト、システムテスト、さらに川下であるユーザー受入テストまで全工程でのテストサービスを提供している。このため、顧客にとってはワンストップソリューションが可能となっており、この点も同社の強みと言えるだろう。
(3) 独自の教育メソッド
同社の事業にとって、エンジニアの数と質が重要な要素であるのは言うまでもない。同社では、質の高いエンジニアを確保するために、設立以来の経験・知見を生かした独自の体系的教育メソッド(研修カリキュラム)を確立している。
(4) テストツールの自社開発(生成AIテストツール開発を含む)
同社はテストツール(生成AIテスト設計ツールを含む)の自社開発を積極的に進めている。テスト設計から実行まですべての工程において自社ツール内で連携が可能であることや、2025年3月に生成AIテスト設計ツール「TestScape」を実装済であること、また生成AI開発に必要なテストに特化した専門情報を大量に保有していることが、テストツール開発及び生成AIテストツール開発における同社の優位性となっている。
(5) 競合
ソフトウェアテスト市場での競合企業としては、SHIFT<3697>、(株)ベリサーブ(SCSK<9719>の子会社)などが挙げられる。正確な統計がないためそれぞれのシェアは不明であるが、市場そのものが拡大しているので、各社同士によるバッティングは少ないようだ。むしろ最大の競合は、内製市場(SIerやユーザーの社内で行われているテスト)だろう。ソフトウェアテスト市場でのアウトソーシング比率はまだ低いので、これら各社がお互いに競合する以上に市場そのものが拡大すると言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
■会社概要
バルテス・ホールディングス<4442>は、現 代表取締役会長兼社長である田中真史(たなかしんじ)氏によって2004年に設立された。同氏は、それまでは一般的なソフトウェアハウスを経営していたが、「世に出るソフトウェアの品質をより向上させていきたい」という想いから、ソフトウェアテストを専門に行うことを目的に同社を設立した。社名である「バルテス(VALTES)」は、「Value Created through Testing(テストによる価値創造)」の造語に由来する。
その後も同社はソフトウェアテストの専門ハウスとしての道を歩み、多くのソフトウェアテスト案件に携わると同時に、社内のエンジニア教育にも力を入れ、独自の教育メソッドを確立している。現在はソフトウェアテスト専門会社として多様なユーザーやITベンダーから数多くのテスト依頼を受けている。ソフトウェアテストの多くは未だにソフトウェアベンダー等の内部で行われる場合が多いが、近年では外部企業によるソフトウェアテストへの認識が高まりつつある。このため、ソフトウェアテスト市場は発展途上にあり、同社の成長余力も大きいと言える。
株式については、2019年5月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場へ上場し、2022年4月に東証の市場区分再編に伴いグロース市場へ移行した。現在はプライム市場への移行を目指している。
■事業概要
主力のソフトウェアテストに加え、ソフトウェア開発・セキュリティ診断も拡大中
1. 事業内容及びセグメント別概要
同社は2025年3月期から事業セグメントを変更し、現在の事業セグメントは、「ソフトウェアテスト」「開発」「セキュリティ」の3つである。
(1) ソフトウェアテスト(2025年3月期売上高比率84.4%)
a) 対象領域
ソフトウェアテスト事業では、ユーザー企業、メーカー、ソフトウェアベンダーに対して、ソフトウェアの不具合により顕在化するリスクを回避するため、開発工程における品質計画の立案、開発プロセスの改善、ソフトウェアの不具合の発見、または重大な不具合が発生していないことを確認するためのテスト計画、テスト設計、テストケースの作成、テスト実施及びテストサマリレポートの作成まで、幅広いソフトウェアテストサービスを第三者の中立的立場で提供している。ソフトウェア開発における川上から川下までの幅広い領域をカバーしているのが特色だ。
同社が対象とするサービス提供領域は、エンタープライズ系(業務システムや基幹システム等)、組込系(AV機器や家電、産業機器等)、Web・スマートフォン系(Webサイトやモバイルアプリケーション等)、その他、と幅広い。このうちエンタープライズ系(略称:エンプラ系)に関しては案件規模が大きく高単価であるうえに、参入障壁が高く価格競争の回避につながるなどメリットが多いため、積極的にこの分野の拡大を目指す計画だ。
b) 主な提供サービスと提供形態、契約形態
同社が提供する主なサービスは、ソフトウェアテストサービス、ソフティアテストツールサービス、ソフトウェアテストに関する教育(バルカレ)サービス、セキュリティツールサービスなど多岐にわたる。
(2) 開発(同16.5%)
主に連結子会社のバルテス・イノベーションズ(株)(2025年4月にバルテス・モバイルテクノロジー(株)より商号変更)、(株)アール・エス・アール、(株)シンフォー、タビュラ(株)が提供するソフトウェア・システムの開発請負及び開発要員派遣等のサービス。この分野では、企画から、要件定義、開発、UI/UXを含むデザイン、リリース、運用までワンストップで提供可能だ。
(3) セキュリティ(同2.0%)
セキュリティ診断(脆弱性診断)サービスを提供している。セキュリティ診断サービスでは、Webシステムやモバイルアプリケーション、またIoT機器に対しての外部からの侵入(ハッキング)などが行える隙がないか、システムの安全性を調査することで、潜在的な脆弱性が発見できる。
2. 特色、強み、競合
同社の主力事業はソフトウェアテストサービス事業だが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専門企業としての豊富な経験・知識・知見
既述のとおり、同社はソフトウェアテストの提供を目的として2004年に設立して以来、専門企業としてソフトウェアテストサービス事業を続けている。そのため、この間に蓄積された経験と専門的な知識・知見が豊富である。
(2) ソフトウェア開発の全工程でテストサービスを提供
同社は、ソフトウェア開発の川上である要件定義から、基本設計、詳細設計、製造・単体テスト、結合テスト、システムテスト、さらに川下であるユーザー受入テストまで全工程でのテストサービスを提供している。このため、顧客にとってはワンストップソリューションが可能となっており、この点も同社の強みと言えるだろう。
(3) 独自の教育メソッド
同社の事業にとって、エンジニアの数と質が重要な要素であるのは言うまでもない。同社では、質の高いエンジニアを確保するために、設立以来の経験・知見を生かした独自の体系的教育メソッド(研修カリキュラム)を確立している。
(4) テストツールの自社開発(生成AIテストツール開発を含む)
同社はテストツール(生成AIテスト設計ツールを含む)の自社開発を積極的に進めている。テスト設計から実行まですべての工程において自社ツール内で連携が可能であることや、2025年3月に生成AIテスト設計ツール「TestScape」を実装済であること、また生成AI開発に必要なテストに特化した専門情報を大量に保有していることが、テストツール開発及び生成AIテストツール開発における同社の優位性となっている。
(5) 競合
ソフトウェアテスト市場での競合企業としては、SHIFT<3697>、(株)ベリサーブ(SCSK<9719>の子会社)などが挙げられる。正確な統計がないためそれぞれのシェアは不明であるが、市場そのものが拡大しているので、各社同士によるバッティングは少ないようだ。むしろ最大の競合は、内製市場(SIerやユーザーの社内で行われているテスト)だろう。ソフトウェアテスト市場でのアウトソーシング比率はまだ低いので、これら各社がお互いに競合する以上に市場そのものが拡大すると言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>




