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Jオイル Research Memo(8):2025年3月期はスプレッドコントロールなどが奏功し2ケタ営業増益

*11:08JST Jオイル Research Memo(8):2025年3月期はスプレッドコントロールなどが奏功し2ケタ営業増益
■J-オイルミルズ<2613>の業績動向

1. 2025年3月期の業績動向
2025年3月期の業績は、売上高230,783百万円(前期比5.5%減)、営業利益8,572百万円(同18.3%増)、経常利益10,031百万円(同10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,996百万円(同3.0%増)と、統合後の最高益を更新した。期初計画との比較では、売上高は14,217百万円未達だったものの、営業利益で1,572百万円、経常利益で2,531百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,996百万円の過達となった。

日本経済は、地域による温度差はあるものの、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しなどを背景に緩やかに回復した一方で、不安定な国際情勢、エネルギーコストの高止まり、円安長期化による物価上昇など不透明な状況が続いた。主原料の大豆や菜種の相場は、天候への懸念や生育状況を織り込みつつ、生産地の世界供給が緩んだため、ウクライナ情勢等による高値から中期的に戻すトレンドになった。大豆と菜種の搾油量がともに増加するなかでミールの需給は緩和したが、オリーブはスペインでの不作の影響により高値の推移となった。このような状況下、同社は第六期中期経営計画に沿って収益力の向上と高付加価値品の拡販を推進した。

この結果、売上面では、相場連動により減収となったが、インバウンドの回復を中心に業務用油脂の販売重量が増加した。利益面では、スプレッドコントロールによる油脂汎用品の価格適正化や、家庭用マーガリンなど不採算事業の整理などにより収益力が向上、在庫抑制が進んだことで資産効率も改善した。高採算の高付加価値品は、家庭用油脂が「味の素」ブランドのオリーブオイル、業務用油脂は独自技術による廃油の抑制で差別化された“低負荷”の長持ち油、これも独自技術で業界別の課題を解消する「TXdeSIGN(R)」シリーズなどが堅調に推移した。このため売上総利益率が大きく改善し、将来の成長に向けた研究費や投資の拡大、物流費・人件費の増加をカバーして、2ケタ営業増益となった。なお、受取配当や持分変動利益の減少により、親会社株主に帰属する当期純利益は1ケタ増に留まった。また、期初計画との比較で売上高が未達になったのは相場が想定と異なったためで、利益が過達になったのは販売重量を維持するなかでスプレッドコントロールが想定以上に効果的だったことによる。

セグメント別の状況は、各セグメントでともに減収となったものの、それぞれ2ケタ増益を確保した。

油脂事業のうち家庭用油脂は、物価高騰による生活防衛の高まりや外食回帰の影響、不作を背景とするオリーブオイルの継続的な値上げによる需要減少などにより、販売重量が前期をやや下回った。一方、オリーブオイルの価格改定や、環境負荷低減や使いやすさが特長の「スマートグリーンパック(R)」など注力商品の継続的な拡販により、売上高は前期をわずかに上回った。ただし、オリーブオイルのコストアップは減益要因となったようである。業務用油脂は、実質賃金の伸び悩みにより節約志向が見られるなか、インバウンド需要の拡大や国内人流の活性化で外食市場が回復し、販売重量は堅調に推移した。一方、原材料価格の軟化を受けて販売単価が下落したため、売上高は前期を下回った。こうした状況下、物価上昇による食材コストの上昇や深刻化する人手不足といった課題に対し、品質劣化を抑えて長く使える「SUSTEC(R)(サステック)」シリーズや、調理にかかる時間や負荷を軽減する「調味油」「調理油」など、機能性を強化した高付加価値品の拡販を推進した。油糧部門については、大豆ミールは搾油量の増加に伴って販売重量がわずかに増えたが、円安水準とはいえ、シカゴ大豆ミール相場が下落したことで販売価格が低下した。菜種ミールは搾油量の増加につれて販売重量も拡大し、販売価格は大豆ミール価格下落との連動や国内供給増加による需給ひっ迫感の解消により大きく低下した。こうした結果、油脂事業全体で減収となったが、コストダウンやスプレッドコントロールにより大幅増益となった。

スペシャリティフード事業のうち乳系PBF部門については、業務用油脂加工品は土産菓子のインバウンド需要が継続し、製パン向け需要も堅調に推移したが、家庭用マーガリン(ラーマ)の終売や原材料価格高騰による最終需要家の油脂使用量削減の影響により、販売重量、売上高ともに減少した。粉末油脂事業は、販売重量がほぼ前期並みとなるなか、原料相場と為替相場の変動により売上高は増加した。この結果、乳系PBF部門の売上高は減少したが、不採算だった家庭用マーガリンの終売効果により損失幅は大きく改善した。食品素材部門については、「TXdeSIGN(R)」シリーズが製菓製パン用途や畜肉用途への提案を強化したことで採用が進み、販売重量は堅調に推移した。一方、油脂事業と協働して「おいしさデザイン(R)」によるソリューション提案を推進したが、とうもろこし相場の下落により段ボール用コーンスターチの販売価格が下落したため、売上高はやや減少となった。ファインは、国内市場を中心にビタミンK2の新規採用や使用量拡大が進んだものの、売上高は前期並みに留まった。大豆たんぱくをベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん(R)」は、主要販売先である北米向け出荷が伸長したこと、価格改定に取り組んだことから、販売重量、売上高ともに増加した。この結果、食品素材部門の売上高、利益ともに減少した。スペシャリティフード事業全体では減収となったが、家庭用マーガリンの終売効果により増益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)



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