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KaizenPF Research Memo(6):2025年12月期通期の営業黒字転換予想を据え置き

*13:36JST KaizenPF Research Memo(6):2025年12月期通期の営業黒字転換予想を据え置き
■Kaizen Platform<4170>の今後の見通し

● 2025年12月期通期連結業績予想の概要
2025年12月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比0.6%増の4,550百万円、営業利益が10百万円(前期は28百万円の損失)、経常利益が0百万円(同6百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が30百万円(同171百万円の損失)としている。EBITDAは同0.2%増の230百万円を見込んでいる。

前期に発生したインシデントに伴う契約更新遅延という一時的要因の影響はおおむね解消したが、コンサルティング案件の要件定義に係る期間が長期化していることなどの不透明感を考慮しているほか、当期は再成長に向けてサービス品質強化やAIサービス提供に向けた体制強化を推進する1年と位置付けて、売上高とEBITDAは横ばい、営業利益は小幅黒字転換予想としている。なお特別損失では前期計上した減損損失の一巡を見込んでいる。中間期の営業利益が通期予想を超過達成したこと、ARPUと売上総利益率の向上が着実に進展していることなどを勘案すれば、通期ベースで4期ぶりに営業黒字を達成する可能性が高いと弊社では考えている。



■成長戦略

生成AI活用とクラウド収益拡大で収益性の高い事業構造を目指す

1. 生成AI活用とクラウド収益拡大を推進
DX市場は大企業を中心とする業務のデジタル化・非対面化の進展により、市場拡大が今後加速する見込みである。こうした事業環境を背景に同社は中長期的な目標として営業利益率15%以上を掲げている。

成長戦略としては、DX市場の中でも特に非対面ニーズが高く成長性も高いマーケティング・カスタマーサービス分野をコアターゲットとして、グループシナジーやクロスセル・アップセル戦略により、大企業向けを中心にリカーリング売上拡大とARPU向上を推進している。顧客企業にとってDXの最大のボトルネックは人材不足だが、同社にはプラットフォーム上で専門スキルを持ったパートナーネットワークを構築している強みがある。

さらに同社は、成長するDX市場におけるポジションをより強固なものにするため、新たな成長戦略として生成AIを活用したソリューションの提供を強化している。2024年3月に生成AIを活用したUX改善の新メニュー「KAIZEN AI-UX」をリリース、2025年1月に生成AIの実用化に向けた新たなアプローチとして「KAIZEN AI STUDIO」を設立、同年3月にUX改善の技術基盤である「KAIZEN ENGINE」をアップデートしたほか、同年4月には新たな成長戦略の一環として生成AI主導のサービスラインナップへ全面刷新し、生成AIを活用して“魔法のような顧客体験”を実現する「Magical UX」を戦略コンセプトに打ち出した。同年6月には生成AIを活用した新サービスとして「Kaizen Conversion Agent」及び「Kaizen Personalize Agent」の提供を開始した。このような生成AIを活用した機能開発を従量課金で提供することによりクラウド収益の成長を目指し、さらにクラウド収益の売上構成比を高めることで、より収益性の高い事業構造を目指す方針だ。

顧客の課題にあわせて提供サービスを再編・拡充するためM&A・アライアンスも積極活用する。2021年6月にはアドバンテッジアドバイザーズ成長支援投資事業有限責任組合に出資した。同ファンドの投資先企業に対して売上成長をもたらすDX支援を行うとともに、新たなビジネスモデルやサービスの創出にもつなげる。2023年6月には電通グループ<4324>をはじめとする13社で構成される電通B2Bイニシアティブと共同で、BtoB企業特化型のフォーム改善施策「B2Bグローススイッチトライアル」の提供を開始した。2024年7月には、エン・ジャパン<4849>のグループ会社でセールス活動全般のコンサルティングや支援を展開するエンSX(株)と、BtoB企業のセールス&マーケティングの高度化支援に向けて協業した。


当面は内部留保の充実を図る

2. 株主還元策
株主還元については、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つとして位置付けているが、創業して間もないことから、財務体質強化や事業拡大のための内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。このため創業以来配当は実施しておらず、今後も当面の間は内部留保の充実を図る方針である。また、将来的には株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針だが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定としている。

サステナビリティ経営

3. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営についてマテリアリティを公表していないが、DX支援事業を通じてペーパーレス推進やCO2削減などの社会課題解決に貢献する方針としている。また同社は事業展開において、昨今重要性を増しているアクセシビリティ(accessibility=利用しやすさ)向上推進も重視している。デジタル庁が掲げる「人にやさしいデジタル社会の実現」やSDGsの流れも相まって、これまで国や自治体のみが義務化されていたWebサイト等のアクセシビリティへの合理的配慮が、2021年6月の障害者差別解消法改正によって民間事業者でも義務化された。しかしDX対応と同様に、ここでも多くの企業にとってノウハウの壁リソースの壁(人材の不足)が課題となっていた。

これに対して同社は、2022年1月にアクセシビリティに関して豊富なノウハウを持つ子会社ディーゼロとともに、アクセシビリティ専門エンジニアやWebサイト改善専門家をグループ内に持つ強みを生かして、より多くの企業のWebアクセシビリティ向上に向けて、課題の抽出、レポートによる診断、必要に応じた課題の改修までトータルに支援するサービスの提供を開始した。また2024年6月には、ディーゼロがアクセシビリティに関して制作者のためのコーディングガイドラインを公開した。さらに2025年1月には、東証プライム市場の英文開示義務化に先駆けて、同社のUX・AI技術とディーゼロのIRサイト支援ノウハウを組み合わせ、IR活動のグローバル化を支援するパッケージの提供を開始した。このように、Web制作を行うすべての制作者が利用できる様々な環境やツールを順次提供することで、誰一人取り残さないWebの実現を支援する方針である。


新たな成長ステージに向かう可能性

4. 弊社の視点
同社は、生成AIを活用して“魔法のような顧客体験”を実現する「Magical UX」や、パートナーネットワークを活用した独自のビジネスモデルを特徴・強みとしており、市場競争力は高いと考えられる。直近の業績推移を見ると2022年12月期に営業赤字となり、その後も先行投資や一時的要因の影響で業績不振が続いたが、大手顧客へのフォーカスとクロスセル・アップセル戦略の進展により、2025年12月期は4期ぶりに営業黒字転換の見込みとなった。さらに新たな成長戦略として生成AIを活用したソリューションの提供を強化している。現状の利益水準は低いものの業績低迷期を脱した感が強く、生成AIを活用したソリューションの提供やクラウド収益の成長という戦略の成果によって、今後は新たな成長ステージに向かう可能性があると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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