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タムロン Research Memo(7):中核の写真関連事業を軸に3事業で成長加速

*12:07JST タムロン Research Memo(7):中核の写真関連事業を軸に3事業で成長加速
■タムロン<7740>の今後の見通し

(3) 事業戦略
事業戦略として、各事業への適正なリソース配分を実施し、各事業で継続的な事業成長を目指す。中核事業である写真関連事業については、キャッシュカウ化を進展させ、監視&FA関連事業やモビリティ&ヘルスケア、その他事業の事業規模を拡大し、事業ポートフォリオの安定性を向上させながら成長を目指す考えだ。

事業戦略を遂行するため、同社では「生産・調達」「マーケティング・販売」「研究開発・事業企画」といった3つの機能の進化に取り組んでいる。

a) 写真関連事業
写真関連事業は中核事業として高収益体制の向上をテーマに掲げており、2026年12月期に売上高680億円、営業利益200億円を目指す。2025年12月期の業績が計画を達成できれば十分射程圏内の水準と言える。主要施策として自社ブランド新製品の投入ペース加速とラインナップの拡充を掲げている。従来は年間5本のペースで発売していたが、2024年以降は6~7本に引き上げ、2026年は10本を投入する計画だ。また、新規フォーマットへの継続対応として、従来の3マウント体制から4マウント体制※とすることで、ラインナップを拡充していく。

※ 従来は、ソニーEマウント、富士フイルムXマウント、ニコンZマウント用の交換レンズを投入してきたが、2024年に新たにキヤノンRFマウント用が加わった。

自社ブランド品の売上高は、欧米市場での売上挽回や中国・アジア市場の継続拡大、さらには未開拓市場(中南米、アジア、中東、アフリカ等)の開拓で、2024年12月期実績の360億円から390億円を目指す。一方、OEMについては主要顧客との関係強化を図りながら、売上を維持拡大していくことになるが、計画では290億円と横ばい水準で設定している。プロダクトミックスの改善により、営業利益率も29%以上とさらなる上昇を目指す。

b) 監視&FA関連事業
監視&FA関連事業は成長事業への再転換と、営業利益率10%以上をテーマに掲げ、2026年12月期に売上高130億円、営業利益16億円、営業利益率12%以上を目指す。当初計画と比べて売上目標を15億円引き下げたが、営業利益目標は据え置いた。2025年12月期の会社計画が売上高130億円、営業利益17億円となっているため、順調に進めば1年前倒しで目標を達成することになる。

主要施策として、監視カメラ市場については高付加価値製品だけでなく中国メーカーなどと競合するボリュームゾーンも強化する方針だ。一定規模以上の数量を量産することが事業規模拡大だけでなく収益性の向上にもつながると判断したためだ。コスト競争力を高めるため、現状の「日本で開発、生産は中国」から中国内での開発・生産・販売体制を強化する。同社は国内外の大手監視カメラメーカーと取り引き実績があるため、コスト競争力がつけば、ボリュームゾーンでの取り引き拡大は可能と見られる。なお、中国の監視カメラメーカー向けについては米国向け輸出で関税リスクがあるものの、中国向け売上構成比は4%程度であり同社にとって影響は少ない。むしろ中国の監視カメラメーカーのシェアが低下し、それ以外の地域のカメラメーカーのシェアが上昇すれば同社にとって追い風となる。

また、監視用途の多いカメラモジュールについても高画質、高倍率、小型軽量化などのニーズに対応しながらラインナップを拡充し、OEM及び自社ブランドの両輪で売上を拡大していく。FA分野についてはラインナップの拡充、OEM受注強化、検査用カメラ等に用いられるSWIR(短波赤外線)※レンズや、ズームレンズなど強みを持つ高性能レンズで顧客開拓を進めていく。また、新規分野としてレーザー加工ヘッドや近赤外照明、業務用カムコーダー市場への参入に取り組んでいる。具体的な動きとして2025年5月に、森林などの膨大な測量データ等を誰でも簡単に活用できる地図空間情報アプリプラットフォーム「mapryマップ」を提供する(株)マプリィとの間で戦略的な協業体制を構築するとともに、出資を行った。マプリィは、森林や土木などの現場のDXを進めるため、リモートセンシングサービスを提供し、計測・解析したデータを活用したサプライチェーンプラットフォームを展開しているほか、現場で必要となる測量機器やドローンなど各種ハードウェアの開発・販売も行っている。同社の持つ光学技術とマプリィが保有するデジタル技術等を融合することで、生物多様性分野において利用される各種計測機器や分析装置向けの光学レンズやカメラモジュールの市場を開拓していく考えだ。

※ SWIRは可視光帯域(400~800nm)より波長が長い光のうち、900~2,500nmの波長帯域の光を指す。目に見えない光線で、物質を透過する。食品製造や農業分野で混入した異物(金属・非金属、プラスチック等)検出用やセキュリティ用途、環境モニタリング用途などで用いられる。

監視やFA分野では、長年の事業展開のなかで築いたグローバルでの豊富な顧客網を有しており、都市監視を含めたセキュリティ市場の安定成長に加えて、多様な分野での高難度な画像認識ニーズの高まりによってビジネス機会も増加していくと思われる。

2026年12月期の売上高の内訳としては、監視カメラ用レンズが70億円、FA他が28億円、カメラモジュールが32億円となっており、市場低迷によりTV会議用については計画に織り込んでいない。

c) モビリティ&ヘルスケア、その他事業
モビリティ&ヘルスケア、その他事業については、車載、医療事業のさらなる成長と新規事業の創出加速をテーマに掲げ、2026年12月期に売上高140億円、営業利益22億円、営業利益率15%以上を目指す。2025年12月期の業績見通しが売上高で120億円、営業利益で22億円となっているため、営業利益に関しては1年前倒しで達成する可能性がある。

車載カメラ市場については、ADASの普及拡大によるセンシング用途に集中していく戦略で、高画素対応や耐久性、耐熱性といった信頼性向上につながる技術を構築していくと同時に、コスト低減につながるモールド技術の確立など顧客の低コスト化要求にも耐えうるコスト競争力も強化する。また、受注活動についても、製品企画の上流段階からアプローチすることで、受注確率を高めていく。2026年12月期の売上高は122億円と年率2ケタ成長を目指す。

医療分野では硬性内視鏡ビジネスの拡大に加えて、手術顕微鏡用レンズやライフサイエンス分野にも本格参入することで、2026年12月期に11億円の売上を目指す(2030年12月期の目標は30億円)。開発スケジュールの延伸により当初目標の14億円から引き下げたが、2025年12月期の売上見通しを当初計画の7億円から10億円に引き上げており、順調に進めば2026年12月期は11億円を上回る可能性も出てくる。利益面では、新規分野での技術開発投資が増加するため、2026年12月期の営業利益が2024年12月期実績を下回る水準となるが、次期中期経営計画ではこれら先行投資の効果が顕在化するものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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