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エブレン Research Memo(3):2026年3月期第1四半期は減収も、値上げ効果で営業利益率は改善
2025/09/12 12:03
*12:03JST エブレン Research Memo(3):2026年3月期第1四半期は減収も、値上げ効果で営業利益率は改善
■エブレン<6599>の業績動向
1. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2026年3月期第1四半期累計(2025年4〜6月)の業績は、売上高が前年同期比10.5%減の913百万円、営業利益が同0.3%減の111百万円、経常利益が同5.7%増の116百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同6.9%増の75百万円と、減収を余儀なくされたものの、利益に関しては営業利益は前期並み、経常利益・親会社株主に帰属する四半期純利益では増益となった。
売上高が減少した一方で、営業利益がわずかな減益にとどまった背景には、原材料価格の上昇を上回る値上げの浸透がある。原材料価格の急騰により値上げ要求が通りやすくなったものの、同社の収益構造上、収益に反映されるまでにタイムラグがあるため、この時期になって効果が顕在化した。これにより、営業利益率は12.2%(前年同期は10.9%)が改善した。
売上高を5つの応用分野別に見ると、防衛・その他を除いて、鈍い滑り出しとなった。主力の計測・制御は、売上高は前年同期比12.3%減の521百万円となった。顧客の在庫調整が継続したほか、車載関係製品の設備投資の延期なども影響した。この分野の前期に好調が目立った交通関連も、売上高は同7.7%減の207百万円と減収となった。鉄道信号関連の既存案件の生産終了が影響した。しかし、第1四半期は端境期に当たり、この分野では需要が多い状態が続いており、中期的には回復が期待できる。防衛・その他は、売上高は前年同期比48.3%増の64百万円と、大幅増収を確保した。通信・放送の売上高は同10.1%減の41百万円となった。電力関係が好調だったものの、通信・放送関係は低迷が続いた。同社は、この分野の将来的な見通しは明るくないと想定している。電子応用分野も、顧客の在庫調整により同29.7%減の78百万円となった。
財務面では、資産合計は前期末比67百万円増の5,971百万円となった。負債合計は同66百万円増の1,184百万円となり、大きな変動は見られない。純資産は同変わらずの4,786百万円となり、以上の結果から自己資本比率80.2%となった(前期は81.1%)。財務状態は強固と言えるだろう。
2026年3月期は増収増益を見込む。下期の回復を想定
2. 2026年3月期の見通し
2026年3月期の業績は、売上高で前期比1.8%増の4,100百万円、営業利益で同11.9%増の520百万円、経常利益で同9.4%増の520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.5%増の340百万円と、増収増益を見込んでいる。計画は下期の盛り返しを想定して立てており、期初計画を据え置いている。しかし、全体として保守的な印象が強いことから、今後の状況次第では上方修正の可能性があると見られる。
全体的に値上げが浸透することで、第1四半期時点での売上高の伸びは鈍い印象であったものの、総じて営業利益率が向上した。営業利益率は前期の11.5%から見通しでは12.6%に上昇する見込みで、価格改定効果が2ケタ増益の原動力となる。
分野別では、主力の計測・制御はAI向けなど先端分野への投資が旺盛な一方で、汎用製品を中心に低調な顧客も見られるなど、同じ半導体分野でも明暗が分かれている。しかし、総じて顧客の在庫調整が進んでいることから、回復が見込まれている。また、半導体製造装置用途の新型加熱ユニットの納入開始も業績に寄与しそうだ。
交通関連は海外向けで前期に納入完了した案件が多いため、減収となる見込み。しかし、国内向けでは新規受注が拡大している。同社によると、設計案件はセグメントで交通関連が最も多い。既存案件は値上げ要請が難しい一方、新規案件は価格転換が順調に進んでいるため、これらが本格的に寄与する2027年3月期には、全体への貢献が大きくなりそうだ。
防衛・その他は案件が増加しており、好調を予想している。電力分野も引き続き堅調な見通しである。一方、通信・放送は従来機種の量産終了後に柱となる案件が見当たらず、同社は苦戦すると見ている。電子応用も、医療機器関連で一部顧客の生産調整の影響を受ける見込みだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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■エブレン<6599>の業績動向
1. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2026年3月期第1四半期累計(2025年4〜6月)の業績は、売上高が前年同期比10.5%減の913百万円、営業利益が同0.3%減の111百万円、経常利益が同5.7%増の116百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同6.9%増の75百万円と、減収を余儀なくされたものの、利益に関しては営業利益は前期並み、経常利益・親会社株主に帰属する四半期純利益では増益となった。
売上高が減少した一方で、営業利益がわずかな減益にとどまった背景には、原材料価格の上昇を上回る値上げの浸透がある。原材料価格の急騰により値上げ要求が通りやすくなったものの、同社の収益構造上、収益に反映されるまでにタイムラグがあるため、この時期になって効果が顕在化した。これにより、営業利益率は12.2%(前年同期は10.9%)が改善した。
売上高を5つの応用分野別に見ると、防衛・その他を除いて、鈍い滑り出しとなった。主力の計測・制御は、売上高は前年同期比12.3%減の521百万円となった。顧客の在庫調整が継続したほか、車載関係製品の設備投資の延期なども影響した。この分野の前期に好調が目立った交通関連も、売上高は同7.7%減の207百万円と減収となった。鉄道信号関連の既存案件の生産終了が影響した。しかし、第1四半期は端境期に当たり、この分野では需要が多い状態が続いており、中期的には回復が期待できる。防衛・その他は、売上高は前年同期比48.3%増の64百万円と、大幅増収を確保した。通信・放送の売上高は同10.1%減の41百万円となった。電力関係が好調だったものの、通信・放送関係は低迷が続いた。同社は、この分野の将来的な見通しは明るくないと想定している。電子応用分野も、顧客の在庫調整により同29.7%減の78百万円となった。
財務面では、資産合計は前期末比67百万円増の5,971百万円となった。負債合計は同66百万円増の1,184百万円となり、大きな変動は見られない。純資産は同変わらずの4,786百万円となり、以上の結果から自己資本比率80.2%となった(前期は81.1%)。財務状態は強固と言えるだろう。
2026年3月期は増収増益を見込む。下期の回復を想定
2. 2026年3月期の見通し
2026年3月期の業績は、売上高で前期比1.8%増の4,100百万円、営業利益で同11.9%増の520百万円、経常利益で同9.4%増の520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.5%増の340百万円と、増収増益を見込んでいる。計画は下期の盛り返しを想定して立てており、期初計画を据え置いている。しかし、全体として保守的な印象が強いことから、今後の状況次第では上方修正の可能性があると見られる。
全体的に値上げが浸透することで、第1四半期時点での売上高の伸びは鈍い印象であったものの、総じて営業利益率が向上した。営業利益率は前期の11.5%から見通しでは12.6%に上昇する見込みで、価格改定効果が2ケタ増益の原動力となる。
分野別では、主力の計測・制御はAI向けなど先端分野への投資が旺盛な一方で、汎用製品を中心に低調な顧客も見られるなど、同じ半導体分野でも明暗が分かれている。しかし、総じて顧客の在庫調整が進んでいることから、回復が見込まれている。また、半導体製造装置用途の新型加熱ユニットの納入開始も業績に寄与しそうだ。
交通関連は海外向けで前期に納入完了した案件が多いため、減収となる見込み。しかし、国内向けでは新規受注が拡大している。同社によると、設計案件はセグメントで交通関連が最も多い。既存案件は値上げ要請が難しい一方、新規案件は価格転換が順調に進んでいるため、これらが本格的に寄与する2027年3月期には、全体への貢献が大きくなりそうだ。
防衛・その他は案件が増加しており、好調を予想している。電力分野も引き続き堅調な見通しである。一方、通信・放送は従来機種の量産終了後に柱となる案件が見当たらず、同社は苦戦すると見ている。電子応用も、医療機器関連で一部顧客の生産調整の影響を受ける見込みだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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