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網屋 Research Memo(5):2025年12月期中間期は増収増益。営業利益が期初予想の81%の進捗を達成

*11:05JST 網屋 Research Memo(5):2025年12月期中間期は増収増益。営業利益が期初予想の81%の進捗を達成
■網屋<4258>の業績動向

1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の業績は、売上高2,746百万円(前年同期比22.9%増)、営業利益486百万円(同87.2%増)、経常利益478百万円(同73.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益325百万円(同66.2%増)となった。

好調な業績の背景には、国のサイバー対策強化要請がある。経済産業省がサプライチェーンを含む企業全体にセキュリティ対応を求めたことが、受注増を後押しした。今後は経済産業省が各企業に対してセキュリティ対策の格付けを行い、国策としてセキュリティ強化が進む流れである。アンチウイルスやバックアップと並び、ログ管理がその一環に位置付けられており、公共・金融・IT大手など大規模顧客からの受注が拡大している。データセキュリティ事業のALog製品(サブスクリプションモデル)は累計受注件数が前年同期比2.7倍となり、ARRは57.7%増と高成長を示した。また、ALog製品の完全サブスクリプション化に伴い、年間一括払いによるキャッシュイン(契約負債)は同1.4倍に拡大し、将来的なキャッシュ・フローの安定化に寄与している。販管費については新卒採用や研究開発強化などにより増加したものの、売上高が同22.9%増に対して販管費は同12.3%増にとどまり、コスト抑制は継続している。人材採用については、新卒採用を中心に30名程度を順調に確保した。さらに、外注先企業をM&Aにより子会社化することでコスト改善と利益率向上を図っている。

また、営業利益の進捗率は期初の通期業績予想600百万円に対して81%に到達した。料金体系をサブスクリプション化したことによる影響が大きく、2025年12月期中間期単体の営業利益は前年同期33百万円から204百万円と6倍超に拡大した。従来、利益が低迷しがちであった4~6月に大幅な収益改善を果たしたことは、同社の事業構造が明確に変化したことを示している。これらを踏まえると、同社は成長投資を続けながらも高い収益効率を実現しており、中期的な収益拡大の持続性が高いと弊社では見ている。

(1) データセキュリティ事業
売上高1,119百万円(前年同期比20.8%増)、セグメント利益449百万円(同19.9%増)となった。経産省がサプライチェーン全体に求めたログ管理強化の流れを背景に、「ALogシリーズ」の受注が拡大した。特に、公共・金融・製造・ITといった業種からの受注が売上をけん引した。売切りライセンスモデルからサブスクリプションへの移行過程において売上の谷間が存在したが、2025年12月期に入りその谷を越え、従前のフロー売上水準をほぼ上回ったことは重要な転換点である。

サブスクリプションモデルの累計受注件数は完全サブスクリプション化を実施した2024年12月期中間期時点と比較して2.7倍まで増加した。過去5年間の総額で約7倍の価格上昇となっているにもかかわらず、これらの実績を確保できている。今後、サブスクリプション化によるさらなる収益向上が期待される。

サブスクリプションの解約率については1%以下と低水準で推移しており、収益の継続性と安定性は極めて高いと判断できる。一方、旧体系のユーザーについては移行過程で解約が増加したが、全体的にはサブスクリプションモデルが定着し、同社の収益構造が盤石化しつつある。なお、新規受注は原則としてサブスクリプション契約のみであり、旧体系ユーザーによる追加購入のみ例外的に対応している。

(2) ネットワークセキュリティ事業
売上高1,626百万円(前年同期比24.3%増)、セグメント利益458百万円(同51.0%増)となった。クラウド型ネットワーク管理サービス「Network All Cloud」が堅調に推移している。多拠点展開する大手学習塾や大手眼鏡チェーン、製造業など幅広い産業で採用が進み、コスト合理化とセキュリティ自動化を両立するサービスとして評価を得た。

ネットワーク機器契約台数は前年同期比49%増と高い成長を示し、解約率も1%台と低水準に抑えられている。これは通信インフラの継続的な運用委託が、人手不足という日本の構造的課題を解決するソリューションとして恒常性を持つことを裏付けている。また、「SASE」による売上貢献は2026年12月期以降に本格化する見込みであり、さらなる成長余地が期待される。既存事業のみでもCAGR20%を維持しており、成長基盤は堅固であると弊社では見ている。


自己資本比率は41.9%。中長期的な成長を加味すれば、短期的な懸念事項なし

2. 財務状況
(1) 貸借対照表
2025年12月期中間期末における資産合計は6,078百万円となり、前期末比662百万円増加した。現金及び預金が500百万円、売掛金が78百万円、その他流動資産が77百万円増加したことなどによる。負債合計は3,530百万円となり、同247百万円増加した。「ALogシリーズ」のサブスクリプション化に伴い、契約負債が283百万円増加した一方で、賞与引当金が35百万円減少したことなどによる。純資産合計は2,547百万円となり、同415百万円増加した。これは主に、利益剰余金が323百万円、資本剰余金が150百万円、その他有価証券評価差額金が26百万円増加した一方で、自己株式の買付により90百万円減少したことなどによる。

自己資本比率は2.5ポイント増加の41.9%、有利子負債比率は10.5ポイント減少の39.5%、ネットキャッシュは前期末比561百万円増の3,073百万円であり、事業投資による中長期的な成長を加味すれば、短期的な懸念事項はないものと弊社では見ている。

(2) キャッシュ・フロー計算書
2025年12月中間期のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが593百万円の収入となった。これは主に、税金等調整前中間純利益478百万円や契約負債の増加額283百万円などによる資金の増加があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは68百万円の支出となった。これは主に、子会社株式の取得による支出38百万円や無形固定資産の取得による支出20百万円などによる資金の減少があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは21百万円の支出となった。これは主に、長期借入金の返済による支出80百万円があった一方で、自己株式の取得と処分の差引収入57百万円があったことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)



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