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九州旅客鉄道:安定した鉄道・不動産収益に加え、観光需要と新規事業で成長加速

*13:11JST 九州旅客鉄道:安定した鉄道・不動産収益に加え、観光需要と新規事業で成長加速
九州旅客鉄道<9142>は、旧国鉄から分割民営化された会社の一つであり、九州全域をカバーする鉄道網を基盤に事業を展開する。鉄道事業のほか、バス事業からなる運輸サービス、不動産賃貸・販売、ホテル、小売、外食、建設、ビジネスサービスといった多角的事業を手がけ、地域密着型の総合サービス企業として成長を続けている。九州は人口・経済規模で日本全体の約1割を占める市場であり、同社は地域経済に深く根差し、生活インフラと都市開発を担う存在と位置付けられる。

2026年3月期第1四半期決算では、売上高1,175億円(前年同期比12.8%増)、営業利益199億円(同35.8%増)と増収増益を達成した。運賃改定効果により鉄道事業の収益が改善し、不動産・ホテル事業も堅調に推移した。駅ビルを中心とした不動産賃貸は安定した収益源となり、分譲マンション「MJR」シリーズの引き渡しも業績を押し上げた。ホテル事業はインバウンド比率が55%に達し、訪日外国人需要の取り込みが利益成長に貢献した。一方、鉄道旅客運輸収入に占めるインバウンドの割合は4.7%と大きくないが、需要は底堅い。外国人観光客向けの乗り放題券「JR九州レールパス」の販売数は減少したが、値上げ効果で売上は横ばいを確保し、さらに英字発券の利用が海外顧客を中心に大きく伸び、鉄道全体のインバウンド収入としては、前年を上回る水準で推移している。

通期業績予想は売上高4,833億円(前期比6.4%増)、営業利益676億円(同14.6%増)を据え置いた。運輸サービスが底堅く推移しており、29年ぶりとなる運賃改定が収益改善に寄与する見通しだ。一方で、人件費や電力単価の上昇はコスト増要因となるが、効率的な運営や料金改定効果により吸収可能だ。鉄道以外では、不動産事業が今後も安定収益を確保し、関西や首都圏へのマンション展開も計画されている。ホテル事業はインバウンド需要の増加を背景に更なる増収が期待され、収益の多角化を後押しする。

他社との比較において、JR九州はJR東日本やJR西日本と比べ鉄道依存度が低く、不動産・ホテルセグメントの収益比率が高い点が特徴である。鉄道需要が人口減少に左右されやすい九州地域において、駅ビル開発や住宅供給を通じて沿線人口を維持・向上させる戦略は強みといえる。

中期経営計画(2025~2027年度)では、2028年3月期に売上高5,300億円、営業利益710億円の達成を目標に掲げている。維持更新投資1,300億円に加え、総額2,300億円の成長投資を計画しており、そのうち戦略投資に約350億円、不動産投資に約1,600億円を予定している。建設セグメントの強化、AIや空飛ぶクルマなど新技術への挑戦を成長分野として位置付ける。特に物流不動産は中長期的な収益基盤となる見込みであり、M&Aやベンチャー投資も視野に入れた事業拡大を検討している。

株主還元については、配当性向35%以上を基本方針とし、2026年3月期は年間115円、前期比17円の増配を予定している。コロナ禍では下限配当93円を維持したが、業績回復を受けて増配基調に回帰した。2025年9月9日付で、265万2,600株(消却前発行済株式数の1.69%)の自社株を予定通り消却した。また、自己株式の取得についても、今後も機動的に進めていく方針を示している。安定した不動産キャッシュフローと運賃改定による収益改善を背景に、今後も持続的な株主還元が期待できる。

長期的には、九州の人口減少・少子高齢化という構造的課題に直面するが、都市開発や不動産事業を通じて沿線人口を維持する方針だ。また、観光需要やインバウンドの拡大はホテル・流通事業の成長機会となろう。同社は、鉄道と不動産を二本柱とする安定成長モデルを確立しており、観光需要や地域投資を追い風に今後も持続的な業績拡大が期待される。資本効率の改善や株主還元強化を進めつつ、新規事業への挑戦も進めており、長期保有を前提とした投資妙味があるといえる。



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