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ビューテHD Research Memo(6):葬儀の縮小化や原価高を背景として業界淘汰が加速する可能性が高い
2025/09/29 15:16
*15:16JST ビューテHD Research Memo(6):葬儀の縮小化や原価高を背景として業界淘汰が加速する可能性が高い
■市場環境
1. 生花祭壇事業
ビューティカダンホールディングス<3041>の主力である「生花祭壇事業」の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。2020年度から2024年度の年間死亡者数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均4.0%増と緩やかに増加し、葬儀単価にも持ち直しの傾向が見られるなかで、葬儀業売上高はこの5年間で年平均5.3%増と着実に伸びてきた。死亡者数が増加しているのは高齢者人口が増加していることが背景にあるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
一方で、家族葬や1日葬など、コンパクトな葬儀形式の広がりもあり、構造的には単価を抑制する力も働いている。したがって、葬儀単価は全体として緩やかな上昇基調にあるものの、葬儀の形式やニーズの変化によって、単価のばらつきも大きくなっていくことが予想される。
同社のような「生花祭壇事業」を営む事業者は、地域に密着した中小・零細企業の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。
2. 生花卸売事業
「生花卸売事業」の業績に影響を及ぼす生花(切り花)取扱金額(東京都中央卸売市場)は、2023年に624億円でピークを迎え、2024年も高水準を維持している。一方、数量は2021年の780百万本を境に減少が続き、2024年は725百万本と直近で最も低い水準となった。したがって、数量が減る中で単価が上昇している状況と俯瞰することができる。また、輸入切花の推移については、輸入金額・数量ともに増加し、2024年は直近5年間で最高水準となった。すなわち、国産の減少を補う形で輸入需要が拡大していることがわかる。国内生産者の高齢化のほか、円安、物流コスト上昇なども金額を引き上げる要因となっている。したがって、安定的な調達、物流効率化、価格転嫁の仕組みづくりなどが業界における課題と言えるだろう。
3. ブライダル装花事業
少子化の影響や婚姻率の低下により婚姻件数は減少傾向にある。2023年は戦後で初めて50万件を割ったが、2024年はわずかながら増加に転じた。一方、ブライダル市場全体は、挙式場の新規出店や施設のリニューアルが進んでいるものの、その市場規模の伸びは緩やかにとどまっている。コロナ禍で大きく落ち込んだ招待客数については着実に回復傾向にあり、挙式披露宴・披露パーティの総額平均も2024年には340万円台に戻ってきた。
■業績見通し
2026年6月期は増収増益を見込む
1. 2026年6月期の業績予想
2026年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比1.3%増の7,700百万円、営業利益を120百万円(前期は5百万円の損失)、経常利益を75百万円(前期は4百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益を同7.0%減の40百万円と増収増益を見込んでいる。
売上高は、子会社(SHF)の譲渡によるマイナスの影響を受けるものの、引き続き「生花祭壇事業」及び「生花卸売事業」の伸びやTHE MOMENT(レストラン事業)の通年寄与により増収を確保する。
利益面では、増収による収益の押し上げに加え、粗利益率を重視した販売戦略や原価管理の徹底、事業間シナジーを含む、業務効率の追求などにより大幅な損益改善を図る考えだ。
2. 弊社の見方
同社の売上高予想は、グループ再編に伴うプラス・マイナスの影響を合理的に織り込んでいることや、主力事業において拠点開設や販売戦略が順調に進捗していることなどを勘案すれば、十分に達成可能であると弊社では見ている。一方、利益予想の達成については、比重の高い「生花祭壇事業」の損益改善が大きなカギを握るだろう。弊社では、今後も外部環境の影響が損益の変動要因となることには十分に注意する必要があるものの、高単価商品の提供拡大や低価格化に見合った原価コントロールの両面でいかに収益力の強化・安定化を図っていくのかに注目しており、四半期決算ごとに損益改善の道筋を様々な要因に分解しながらフォローしていく必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<KM>
■市場環境
1. 生花祭壇事業
ビューティカダンホールディングス<3041>の主力である「生花祭壇事業」の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。2020年度から2024年度の年間死亡者数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均4.0%増と緩やかに増加し、葬儀単価にも持ち直しの傾向が見られるなかで、葬儀業売上高はこの5年間で年平均5.3%増と着実に伸びてきた。死亡者数が増加しているのは高齢者人口が増加していることが背景にあるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
一方で、家族葬や1日葬など、コンパクトな葬儀形式の広がりもあり、構造的には単価を抑制する力も働いている。したがって、葬儀単価は全体として緩やかな上昇基調にあるものの、葬儀の形式やニーズの変化によって、単価のばらつきも大きくなっていくことが予想される。
同社のような「生花祭壇事業」を営む事業者は、地域に密着した中小・零細企業の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。
2. 生花卸売事業
「生花卸売事業」の業績に影響を及ぼす生花(切り花)取扱金額(東京都中央卸売市場)は、2023年に624億円でピークを迎え、2024年も高水準を維持している。一方、数量は2021年の780百万本を境に減少が続き、2024年は725百万本と直近で最も低い水準となった。したがって、数量が減る中で単価が上昇している状況と俯瞰することができる。また、輸入切花の推移については、輸入金額・数量ともに増加し、2024年は直近5年間で最高水準となった。すなわち、国産の減少を補う形で輸入需要が拡大していることがわかる。国内生産者の高齢化のほか、円安、物流コスト上昇なども金額を引き上げる要因となっている。したがって、安定的な調達、物流効率化、価格転嫁の仕組みづくりなどが業界における課題と言えるだろう。
3. ブライダル装花事業
少子化の影響や婚姻率の低下により婚姻件数は減少傾向にある。2023年は戦後で初めて50万件を割ったが、2024年はわずかながら増加に転じた。一方、ブライダル市場全体は、挙式場の新規出店や施設のリニューアルが進んでいるものの、その市場規模の伸びは緩やかにとどまっている。コロナ禍で大きく落ち込んだ招待客数については着実に回復傾向にあり、挙式披露宴・披露パーティの総額平均も2024年には340万円台に戻ってきた。
■業績見通し
2026年6月期は増収増益を見込む
1. 2026年6月期の業績予想
2026年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比1.3%増の7,700百万円、営業利益を120百万円(前期は5百万円の損失)、経常利益を75百万円(前期は4百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益を同7.0%減の40百万円と増収増益を見込んでいる。
売上高は、子会社(SHF)の譲渡によるマイナスの影響を受けるものの、引き続き「生花祭壇事業」及び「生花卸売事業」の伸びやTHE MOMENT(レストラン事業)の通年寄与により増収を確保する。
利益面では、増収による収益の押し上げに加え、粗利益率を重視した販売戦略や原価管理の徹底、事業間シナジーを含む、業務効率の追求などにより大幅な損益改善を図る考えだ。
2. 弊社の見方
同社の売上高予想は、グループ再編に伴うプラス・マイナスの影響を合理的に織り込んでいることや、主力事業において拠点開設や販売戦略が順調に進捗していることなどを勘案すれば、十分に達成可能であると弊社では見ている。一方、利益予想の達成については、比重の高い「生花祭壇事業」の損益改善が大きなカギを握るだろう。弊社では、今後も外部環境の影響が損益の変動要因となることには十分に注意する必要があるものの、高単価商品の提供拡大や低価格化に見合った原価コントロールの両面でいかに収益力の強化・安定化を図っていくのかに注目しており、四半期決算ごとに損益改善の道筋を様々な要因に分解しながらフォローしていく必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<KM>




