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VIS Research Memo(1):mRNA標的創薬プラットフォームをベースにハイブリッド型のビジネスを展開

*12:01JST VIS Research Memo(1):mRNA標的創薬プラットフォームをベースにハイブリッド型のビジネスを展開
■要約

1. プラットフォーム型ビジネスとパイプライン型ビジネスを併せ持つハイブリッド型ビジネスを本格展開
Veritas In Silico<130A>は、インシリコ技術(大型コンピュータによるシミュレーションやデータ解析を用いて、生命科学研究を行う手法)を採り入れながら、体内で行われるタンパク質合成の設計図にあたるmRNAを標的とする新たな医薬品、mRNA標的医薬品※の創出を手掛けている。

※ mRNA標的医薬品:疾患の原因となるタンパク質に直接作用する従来型の医薬品とは異なり、疾患原因タンパク質の情報をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)に作用することでそのタンパク質の合成を阻害し、疾患の抑制や治療効果を得る医薬品。同社はmRNA標的医薬品として、低分子医薬品と核酸医薬品の創薬研究に携わっている。

同社は、低分子医薬品や核酸医薬品の創薬研究を行うための創薬プラットフォームibVIS(R)(アイビス。以下、ibVIS)を構築したうえで、そのプラットフォームを利用する共同創薬研究契約を製薬会社と締結している。契約締結時の一時金、創薬研究の進捗に応じたマイルストーン収入等を得るプラットフォーム型ビジネスを現時点での主な収益源としている。同社と契約した製薬会社は、ibVISを利用することにより、それまでに蓄積してきた技術や経験、化合物ライブラリー等をそのまま生かしつつ、従来の創薬手法では有効な治療薬の開発が困難だった疾患を含め、幅広い疾患に適用できる潜在性を秘めたmRNA標的創薬に取り組むことが可能になる。

また同社は、上述のプラットフォーム型ビジネスと併せて、ibVISを活用し、核酸医薬品をはじめとする創薬研究を自社独自で行うパイプライン型ビジネスも手掛ける。今後は、プラットフォーム型ビジネスと自社パイプラインを併せ持つハイブリッド型ビジネスを本格的に転換する方針である。

2. mRNA標的低分子医薬品の創出に有用な創薬プラットフォームibVISの技術
同社は、mRNAを標的とする創薬に特化した創薬技術を開発し、創薬の各段階で必要となる技術を集約してワンストップで提供可能にした創薬プラットフォームibVISを構築していることが事業上の大きな強みとなっている。ibVISは、特にmRNAを標的とする低分子創薬において、すでに複数の製薬会社との共同創薬研究を通じて実績が積み上がっている。また、どんなmRNAも創薬標的として技術的に対応可能な応用性がある。また、積み上がったデータをAI技術を利用して効率的かつ有効に活用できるようにしている点も強みに挙げられる。同社のようにプラットフォーム型ビジネスを展開する企業は世界的に少なく、創薬技術は希少である。したがって、mRNAを標的とする低分子創薬の分野においては、製薬会社は同社のように創薬技術を提供できるバイオテク企業と提携しなければ、mRNA標的低分子医薬品の創薬研究や開発を進めることが困難な状況だ。

3. 中期的にプラットフォーム型ビジネスで毎年2件の新規契約、パイプライン型ビジネスで毎年1本の自社創薬を計画
同社はプラットフォーム型ビジネスを拡大するとともに、自社パイプラインの開発も並行して行うハイブリッド型ビジネスを展開している。これにより、最終的な目標として、2030年にはmRNA関連の創薬を扱うスペシャリティファーマとしての地歩を確立し、持続的成長が可能なビジネスモデルへの進化を目指している。この目標を達成するため、同社の中期経営計画においては、中期的な収益基盤と位置付けるプラットフォーム型ビジネスにて新規契約を毎年2件ずつ締結する。パイプライン型ビジネスでは、ibVISの技術的強みを生かし、一定の選定基準に基づき選んだ疾患に対応する自社パイプラインを毎年1本ずつ創出していくことを計画している。なお同社では、2025年12月期中の創出を目指している最初のパイプラインのモダリティ※は、将来価値が大きく、創薬研究期間が相対的に短くできる核酸医薬品、対象疾患は心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全と定め、自社創薬研究をスタートさせている。

※ モダリティ:医薬品におけるモダリティとは、医薬品の創薬基盤技術の方法や手段、またはそれらに基づく医薬品の分類を指す。具体的には、低分子医薬品、抗体医薬品、核酸医薬品、細胞医薬品、遺伝子治療薬など、薬の作り方や種類を指す言葉である。

4. 2025年12月期中間期業績は想定どおりに進捗、第3四半期以降も契約一時金やマイルストーン収入などを予定
2025年12月期の業績見通しについて、同社は事業収益788百万円(前期比305.1%増)、営業利益163百万円(前期は212百万円の営業損失)と大幅な増収増益を見込んでいる。

2025年12月期中間期の業績は、事業収益43百万円(前年同期比62.6%減)、営業損失186百万円(前年同四半期は66百万円の営業損失)となった。プラットフォーム型ビジネスでは、塩野義製薬<4507>との共同創薬研究でリード化合物獲得につながる化合物の取得に成功し、マイルストーンを達成した。また、ラクオリア創薬<4579>との共同創薬研究では、創薬研究の起点となり得る低分子化合物を取得するなど、製薬会社との共同創薬研究がそれぞれ順調に進捗した。新たに、三菱ガス化学<4182>と共同研究契約の締結にも至っている。また、パイプライン型ビジネスでは、創薬研究の対象疾患及び遺伝子候補を選定し、核酸医薬品の自社創薬研究をスタートさせた。

事業収益は、マイルストーン収益及び研究支援金のみであったが業績は想定どおりに進捗した。第3四半期以降は、製薬会社との共同創薬研究を通じた研究支援金やマイルストーン収入、新規契約の締結による契約一時金などの発生により、業績は通期予想へ向かって着実に進捗する見込みである。

■Key Points
・プラットフォーム型ビジネスとパイプライン型ビジネスを併せ持つハイブリッド型ビジネスを本格展開
・世界的に展開する企業が少ないmRNA標的低分子創薬のプラットフォームを提供しており、すでに複数の製薬会社との研究実績が積み上がっていることが強み
・2025年12月期は想定どおり進捗中。第3〜4四半期に大型案件の新規契約による契約一時金収入を想定。通期では大幅増収増益を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)



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