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アジアパイルホールディングス:コンクリートパイル国内トップシェア、新5か年計画で飛躍を目指す累進配当企業

*14:06JST アジアパイルホールディングス:コンクリートパイル国内トップシェア、新5か年計画で飛躍を目指す累進配当企業
アジアパイルホールディングス<5288>は、建物の基礎となる「杭」の設計から製造、施工までを一貫して手掛ける、総合基礎建設会社である。同社グループのセグメントは「国内事業」と「海外事業」の2つで構成され、建築物や土木構造物を地盤に安定させる基礎杭を主軸としている。具体的には、主に中高層ビルの基礎や最近では物流倉庫の基礎などに用いられ、工場製造で工期管理や均一な品質維持が可能な「コンクリートパイル」、道路や橋梁などの土木構造物の基礎として主に活用される「鋼管杭」、そして主に再開発案件や狭隘地での現場で造成され形状や寸法の自由度が高い「場所打ち杭」という3つの主要な杭種を取り扱う。海外では、ベトナムにおいて現地トップの基礎杭メーカーとして事業を展開している。

主力のコンクリートパイルの主要競合は三谷セキサン<5273>、日本コンクリート工業<5269>、日本ヒューム<5262>、トーヨーアサノ<5271>などである。2025年3月期には、同社はこの市場でシェア約30%(2025年3月期)を達成、業界No.1となった。 一方、鋼管杭や場所打ち杭は業界団体による出荷統計がなく正確なシェア把握は難しいが、鋼管杭市場ではトップ企業が売上200億円規模に対し同社は約50億円、場所打ち杭市場ではトップが200~250億円規模に対し同社は100億円前後となっており、現在のシェアはいずれも3~5位前後と推定される。

同社の強みは、「総合力」「一貫体制と品質」「技術開発力」そして「海外事業基盤」の4点にある。競合の多くが特定杭種に特化する中、同社は3杭種すべてを扱う国内唯一の企業だ。いかなる地盤や基礎にも最適なソリューションを提供できる総合力が、他社との決定的な差別化要因と言える。また、同社は、設計から生産、施工管理、協力会社との連携まで一貫した体制を構築しており、高い品質の総合的なサービス提供が可能だ。さらに、自社開発の高支持力工法「Smart-MAGNUM工法」は、特にデータセンターのような大規模・重量建築物の建設で絶大な信頼を得ており、大手設計事務所やゼネコンから「まずは当社へお声がけいただくことが多くなっている。」との事である。この技術力も、同社が高いシェアを獲得・維持する強力な武器と言えるだろう。加えて、2010年に出資したベトナムのPhan Vu Investment Corporation(2013年に子会社化)は現地トップ企業に成長しており、アセアン地域での中長期的な成長を取り込む強固な事業基盤も整っている。

2026年3月期第1四半期は、売上高27,366百万円(前年同期比27.4%増)、営業利益2,858百万円(同259.9%増)と極めて好調な決算となった。ただし、第1四半期決算発表時点では第2四半期以降の受注動向を見極めたいという意向から、通期業績予想(売上高111,000百万円、営業利益7,300百万円)は据え置かれている。

同社は、10年以上にわたり累進配当を継続している、株主還元へ高い意識を持つ企業である。2025年5月には、「累進配当を基本とし、連結株主資本配当率(DOE)3.75%以上を目途」と累進配当の方針を明文化して公表、2026年3月期の配当も前期比3円増配の年間48円を予定している。

2024年5月に発表された新5か年計画では、2029年3月期に売上高1,300億円、営業利益85億円という目標を掲げている。主力のコンクリートパイルの売上拡大とともに計画は順調に進捗しているが、今後の重要課題はコンクリートパイルに次ぐ収益の柱を育てることにある。そのための具体的な成長戦略として、まず鋼管杭では、2024年10月に新工法「JPパイル工法(小口径鋼管杭)」を投入した。これにより、首都圏の狭小地ビル建設などで需要が伸びる市場を開拓し、売上拡大を目指す。その他においても、「設計支援部」を新設し、大手設計事務所やゼネコンへ再開発案件の初期段階からアプローチする営業を強化、徐々に成果が出始めている。海外戦略については、景気回復傾向にあるベトナムでの成長に注力し、売上目標250億円を達成する方針だ。自社でのオーガニックな成長を基本としているが、同社はM&Aについても事業拡大を加速させるための有効な選択肢として視野に入れており、好機があれば積極的に検討する方針である。

同社は、国内トップシェアという強固な事業基盤と強力な技術力を背景に、コンクリートパイルの優位性を維持しつつ、鋼管杭・場所打ち杭での成長に取り組むという現実的かつ意欲的な戦略に取り組んでいる。ベトナムでの実績を他のアジア各国に展開しさらなる成長を実現するという、中長期的なポテンシャルもあろう。堅実性と成長性、そして積極的な株主還元への意識を兼ね備えた、同社の今後の展開には注目しておきたい。



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