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ファンコミュニケーションズ:日本最大級のASP「A8.net」運営、今期業績予想上方修正

*21:11JST ファンコミュニケーションズ:日本最大級のASP「A8.net」運営、今期業績予想上方修正
ファンコミュニケーションズ<2461>は、日本最大級のASP「A8.net」を運営する企業である。長年にわたり広告主とメディアを結ぶ成果報酬型広告プラットフォームとして確固たる地位を築き、現在も約3,500社の広告主と約350万の登録メディアを抱える業界最大級のネットワークを有する。2019年からは「プロシューマー・ハピネス」を掲げ、単なる広告ネットワーク事業者から「プロシューマー支援企業」への進化を明確に打ち出している。経営トップは、創業者から2024年に二宮幸司代表取締役社長へバトンが渡り、同社は現在第2創業期となる。

そのビジョンの中核となる「プロシューマー」とは、生産者(Producer)と消費者(Consumer)の双方の顔を持つ個人を指す。YouTuberやインフルエンサー、アフィリエイトメディアなど、情報発信と収益化を両立する個人が増加するなか、デジタルマーケティングのあらゆるプロセスを支援し、個人と企業が相互に成長できるインフラの提供を目指す。

同社の事業構成は、「CPAソリューション事業」と「戦略事業」の2本柱で構成される。主力のCPAソリューション事業(2025年上期売上高構成比81.9%)は、「A8.net」と「A8app」を展開。「A8.net」は15年連続で国内主要ASPの満足度1位を獲得しており、バリューコマースやリンクシェアなど他社と比較しても、広告主・メディア双方の規模と信頼性で頭ひとつ抜けている。2000年から積み上げてきた会員数と広告主数の厚みが最大の差別化要因となっており、特定ジャンルに偏らない豊富な案件と堅牢なシステム運営体制を強みとしている。ジャンル別構成比では、金融16.8%、健康16.6%、暮らし13.9%、美容13.8%、仕事情報11.4%、インターネット接続4.3%、学び・資格3.4%、その他19.8%。成果報酬型広告ネットワークとなるため、不景気に強く、1つのジャンルが下降トレンドでも他のジャンルが上昇する強みを持っている。

一方、戦略事業(同18.1%)は将来の成長ドライバーとして位置付けられており、インフルエンサーマーケティング支援「WAND」、デジタルマーケティング最適化支援「N-INE」、ファンマーケティング「YOOR」や音声アプリ「GERA」など、多面的な領域を展開している。特にWANDではTikTok Shop支援など新しい販売チャネルへの対応を加速しており、音楽業界やEC事業者との親和性を高めている。さらに、N-INEではCRM領域におけるAI活用を推進し、顧客データの分析・自動化による最適なマーケティング支援を実現しつつある。戦略事業は投資フェーズにあるが、赤字幅は縮小傾向にあり、まずは黒字化を目指す。その後、インフルエンサー領域を最もスケール可能な成長軸として育て行く方針である。

2025年12月期上期累計の売上高は3,644百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益1,064百万円(同50.7%増)と大幅な増益となった。CPAソリューション事業は、「A8.net」の稼働広告主数は減少したものの成果報酬が増加したことや生産性向上への取り組みによりコストが低下したことで増収増益を確保。戦略事業も事業撤退した「nend」のリソースを「N-INE」や「WAND」へとリソース転換を進め、コスト最適化を意識しながら事業の拡大に努めた。

あわせて、通期業績予想を上方修正しており、売上高7,440百万円(前期比6.9%増、従来計画7,200百万円)、営業利益1,950百万円(同22.2%増、同1,810百万円)に引き上げた。中期経営計画において26年以降で達成を予定していたYoYでの営業利益成長率20%以上を前倒しとなっており、修正後通期予想に対しての進捗も順調。下期には来年度以降に向けた成長投資を実行予定で、成長投資領域としてはインフルエンサー領域とAI活用領域を中心に設定されている。

直近の月次速報では、CPAソリューション事業が前年同月比7.6%減となった一方で、戦略事業は同57.3%増と大幅に増加している。戦略事業の強化が順調に進み、事業ポートフォリオの変革も着実に進んでいる。

市場環境を見ると、国内アフィリエイト市場は2027年度に5,860億円規模まで拡大する見通しである。成果報酬型広告は費用対効果の高さから引き続き堅調に成長する一方、AIの発達によりSEOトラフィックが減少し、従来型アフィリエイターの収益構造が変化している点は懸念材料といえる。これに対してSNSを中心とする若い世代の参入の増加が見込まれるなか、インフルエンサーマーケティングでの補完が今後の対応策になる。インフルエンサーマーケティング、デジタルマーケティング支援ツールの市場規模は前年比10%以上で成長を続けており、同社が展開するアフィリエイト市場とのシナジーが見込まれよう。インフルエンサーマーケティングは費用対効果がわからない・運用コストが高いなど課題が残る中、25年間 A8.netを運用してきたあらゆるノウハウを活かしてインフルエンサー×アフィリエイトでもNo1企業を目指す。

中期経営計画(FY25-FY27)では、営業利益は2024年対比で約2倍の成長となる3,000百万円へ引き上げ、ROE10%以上、戦略事業売上高構成比約40%の達成を目標に掲げている。全サービス広告主ID6,000(同2,000増)・全サービスメディアID数50,000(同20,000増)とさらなる顧客ネットワーク拡大を目指しつつ、SMB向けに成果報酬型広告を軸にデジタルマーケテイングインフラを構築していく。また、既存事業の深化に加え、インフルエンサーやCRM領域でのクロスセル・アップセルを重視し、顧客基盤約3,500社への付加価値提供を通じて収益性を高める。これらを支えるのがAIとデータ分析による運用最適化であり、SaaS型ツール群の拡充にも注力している。そのほか、財務体質は堅固で、自己資本比率は75.8%と高水準を維持。M&Aについても成長領域への外部投資を通じた非連続成長を模索している。

株主還元については、コロナ禍でも減配せずに維持してきた年間19円をベースに、今期は中間記念配当8円を加えた年間27円を予定。配当利回りは5.5%を超える水準となる。今後も業績の安定性と安定配当を軸にした長期的な株主還元を継続する構えだ。

総じて、ファンコミュニケーションズは、アフィリエイトプラットフォームとしての盤石な基盤を維持しつつ、インフルエンサー・AI・CRMなど新領域への拡張を通じて事業構造を再定義している。従来の広告ビジネスに依存しない「プロシューマー支援企業」への転換を掲げ、その象徴として戦略事業の成長が鍵となる。同社の株価は、9月2日に直近高値537円を付けたが、過去の推移から見ると低位で推移している。安定的なキャッシュ創出力を背景に、M&A・AI投資・株主還元をバランスよく進めるなか、足元業績も回復基調で中計最終年度の過去最高益目標達成に着実に歩みを進めており、株価の再評価余地は大きそうだ。




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