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トリプルアイズ Research Memo(1):調整期を経て再成長へ、AI実装の進展により既存事業の成長フェーズに

*12:01JST トリプルアイズ Research Memo(1):調整期を経て再成長へ、AI実装の進展により既存事業の成長フェーズに
■要約

トリプルアイズ<5026>は、AI/システムの開発、AIを搭載したサービスの提供及び自動車メーカー向けの設計開発によって構成されるAIソリューション事業、2023年9月にグループ入りした(株)ゼロフィールドが手掛けるGPUマシンの販売・保守サービスを手掛けるGPUサーバー事業の2つが主力事業である。AIソリューション事業はSI(システムインテグレーション)部門とAIZE部門から構成されていたが、2024年7月に(株)BEXがグループ入りしたことで、現在はAIインテグレーション、エンジニアリング、AIプロダクトの3つのサブセグメントとなっている。AIインテグレーションでは、AI/システムの開発、AIに関するコンサルティングなどを行い、エンジニアリングでは、BEXが主として自動車メーカー向けの設計開発を行っている。また、AIプロダクトでは、AIを搭載したサービスの提供及びサービス提供に伴い発生するデバイスや顧客別カスタマイズ開発を行っている。また、ゼロフィールドにより展開されているGPUサーバー事業は、GPUサーバー/データセンターと保守の2つのサブセグメントからなり、マイニングマシンの販売、AI用途に最適なGPUサーバーの販売やデータサーバーの提供、並びにそれらの保守・運用までを一括で受託している。

1. 2025年8月期の業績概要
2025年8月期の連結業績は、売上高5,714百万円(前期比29.6%増)、営業損失61百万円(前期は38百万円の利益)、EBITDA298百万円(同32.3%増、経常利益+減価償却費+のれん償却額+支払利息により算出)、経常利益59百万円(同25.9%増)、親会社株主に帰属する当期純損失343百万円(同76百万円の利益)となった。売上高は、BEXの新規連結効果及びAIインテグレーション領域の拡大により増加した。BEXについて、前期は2ヶ月分のみの寄与にとどまったが、2025年8月期は通期での業績反映となったことで増収に寄与した。利益面は、AIソリューション事業のエンジニアリングにおける稼働人員の減少による売上減及び人材確保を目的とした臨時賞与による人件費増、GPUサーバー事業における税制改正影響に伴う暗号資産のマイニングマシン需要の減退などが重なり、営業損失となった。

2. 2026年8月期の業績見通し
2026年8月期の連結業績は、売上収益5,837百万円(前期比2.2%増※1)、営業利益81百万円(前期は61百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益36百万円(前期は343百万円の損失)を見込んでいる。なお、同社は2026年8月期より会計基準を日本基準から国際財務報告基準(以下、IFRS)に変更している※2。

※1 2026年8月期より会計基準をIFRSに変更するため、参考値として掲載。
※2 M&Aや資本業務提携により売上規模が大幅に拡大している一方で、日本基準ではのれん償却費が会計上費用として計上されるため、キャッシュアウトを伴わないコストにも関わらず、EBITDAと会計上の利益に乖離が生じていた。この乖離を是正し、他社との利益ベースでの比較を容易にするために会計基準を変更する。

AIソリューション事業では、AIインテグレーションは堅調な需要が見込まれるなか、引き続き契約単価の上昇による売上総利益率の改善を目指すとともに、新卒採用を中心に人員体制の拡充を進め、稼働人員の増加による案件対応力を強化する。AIプロダクトは、開発コストの適正管理により利益の最大化を追求するとともに、「アルろく for LINE WORKS」を中心とした新規プロダクトの契約獲得や、「AIZE」関連のカスタマイズ開発受注の増加により、MRR(毎月経常収益)の拡大を目指す。エンジニアリングでは、2025年8月期に生じた人員減少の影響が一部継続する可能性があるものの、請負案件の工数拡大や採用強化による体制立て直しを進め、収益性の改善を図る。GPUサーバー事業は、2026年8月期からのIFRS適用に伴い、のれん非償却化及び顧客関連資産の償却方法変更により営業利益が114百万円改善する見込みである。

3. 中長期成長戦略
同社は成長戦略として以下の4つのAI実装戦略による独自性を掲げている。(1) AIプロダクト、オーダーメイドAI開発の展開、(2) 資本業務提携やM&Aを駆使したレガシー産業領域へのAI実装及び新サービス展開、(3) GPUサーバー事業の推進、(4) M&Aによる非連続の成長である。特に足元で顕著なのは、ゼロフィールドやBEXなどの大型M&Aの実施による事業領域の拡大や、2024年9月のゲームカード・ジョイコホールディングス(現 ゲームカードホールディングス<6249>)との資本業務提携の実施など、外部経営リソースの積極的な活用だ。自動車設計業務を手掛けるBEX、パチンコ・パチスロホール向けカードシステムを手掛けるゲームカード・ジョイコホールディングスなど一見すると買収・提携先の事業内容に一貫性がないように見えるが、同社のAI技術が幅広い業界において優位性を発揮できるという証左である。今後、これらの外部資本活用により自動車業界などレガシー産業においてAI実装の進展に伴う事業機会が拡がると見られる。加えて、短期的には暗号資産用GPUマシンの販売動向が業績の変動要因となるものの、長期的にはゼロフィールドが持つ高性能GPUサーバーと同社が持つ自社開発AIエンジンの融合にも期待したい。今後、生産、販売シナジー双方の数値化と成長戦略の開示が待たれる。

■Key Points
・システムインテグレーションと自社の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」を展開
・GPUマシンを手掛けるゼロフィールドを2023年9月に、自動車設計業務を手掛けるBEXを2024年7月に完全子会社化、2024年9月にはゲームカード・ジョイコホールディングスと資本業務提携を締結
・2025年8月期はBEX新規連結効果により増収も、エンジニアリングとGPUサーバーの低迷により営業損失を計上
・2026年8月期は、AIインテグレーションの単価増・人員数増による増収効果及び会計基準の変更により、営業利益は黒字転換予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)



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