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日本通信:独自の提携による業界最安値SIMと認証・通信技術「FPoS」の拡大で高成長の継続を目指す

*11:16JST 日本通信:独自の提携による業界最安値SIMと認証・通信技術「FPoS」の拡大で高成長の継続を目指す
日本通信株式会社<9424>は、MVNO(仮想移動体通信事業者)としての「日本通信SIM」の提供を主軸としたモバイル通信サービスおよびモバイルソリューションサービスを展開し、特許技術「FPoS(Fintech Platform over SIM)」による認証・通信基盤事業を推進している企業である。MVNO(仮想移動体通信事業者)として「日本通信SIM」を主力に、個人・法人向けの音声定額サービスを提供し、国内トップクラスの認知度を有する。2025年6月には総務省より携帯電話番号の割当を受け、MVNOとして初めて独自の電話番号を保有する企業となった。さらに2024年2月にNTTドコモとの音声・SMS網の相互接続に合意しており、2026年11月の新サービス開始を目指す。この「ネオキャリア」構想は、データ・音声・SMSを一貫して自社制御下に置くものであり、通信インフラ企業として新たな段階に踏み出している。

同社の強みは、第一に「日本通信SIM」のコスト競争力と顧客満足度の高さである。大手通信社などと協業せずに規制緩和を訴え続けることで独自に総務大臣裁定を獲得し、ドコモの通信ネットワーク使用料を原価ベース(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額)で使用する権利を有している。これにより他社が真似できない水準の通信料を実現しており、現時点で業界最安値(月20GBの利用・通話5分かけ放題で1,390円)となっている。また、音声品質に優れ、業界最安水準の料金体系を実現しており、2024年に続き2025年のJ.D. パワー携帯電話サービス顧客満足度調査MVNO部門で総合第1位を獲得した。第二に、FPoS技術によりマイナンバーカードを基盤とした高度なデジタルID認証を実現している点である。同技術は特許を取得している上に金融庁からも金融取引の安全性向上に資するものとして認められた技術で、電子署名法に基づく公的認定も取得している。第三に、米国子会社を通じて蓄積したローカル4G/5GやSIM認証ノウハウを活かし、IoT・決済・防犯分野など多様なソリューション展開を行う点が挙げられる。通信と認証の両輪による事業モデルは国内外での拡張性を有する。

2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)は、売上高5,632百万円(前年同期比32.3%増)、営業利益582百万円(同76.9%増)と大幅な増収増益を達成した。定額・準定額プランを中心とする「日本通信SIM」の認知が徐々に広がり、契約回線数が拡大して9月末時点で101.6万回線に到達した。売上総利益率は39.1%と高水準を維持し、粗利構造の安定性が確認された。通期ではモバイル通信事業の売上成長率20%超を見込み、同事業の営業利益は売上を上回る伸びを想定しており、業界唯一の料金体系を武器にした収益拡大は今後も続きそうだ。また、FPoSを活用したデジタル認証モジュールも新たな収益柱として寄与し始めており、セキュリティ分野の更なる伸長も期待される。

今後の成長見通しとして、同社は2034年に現状の約10倍となる1,000万回線・国内売上2,400億円・当期純利益360億円を目標とする長期構想を掲げている。その基盤となるのが、ドコモ網との接続を軸にしたネオキャリア構想と、FPoSを活用した安全・安心なデジタル社会のインフラ提供である。政府が2026年4月以降にオンライン本人確認をデジタルKYCへ一本化し、日本証券業協会が多要素認証の導入を義務化する方針を示したことも同社にとって大きな追い風となる。これにより、金融・行政・ECなど広範な分野でFPoSの採用が進むと見込まれる。今後も独立系MVNOとしてのコスト競争力やセキュリティ分野の認証・通信基盤の開発力を武器に、通信業界におけるさらなるシェア拡大を続けていく。

株主還元については、2026年3月期の年間配当を無配とし、当面は事業投資を優先する方針を維持している。ネオキャリアサービス構築やFPoS拡張のための設備投資を進めつつ、安定した財務基盤を確保しており、自己資本比率は52.6%と健全水準にある。中長期的には、収益拡大の進展とともに安定配当への転換も期待される。

総じて、同社は国内最安値のMVNOとして躍進しているだけでなく、通信と認証を融合した独自技術によって新たな社会インフラの確立を目指しており、政策的な追い風と技術優位性を背景に高い成長ポテンシャルを有する。2026年11月のネオキャリアサービス開始とFPoSの普及拡大により、より一層盤石な収益体制を構築していく同社に注目したい。



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