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TOKAI Research Memo(5):2026年3月期業績は会社計画を達成し、過去最高を連続更新する見通し

*13:05JST TOKAI Research Memo(5):2026年3月期業績は会社計画を達成し、過去最高を連続更新する見通し
■今後の見通し

1. 2026年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.9%増の253,000百万円、営業利益で同3.9%増の17,500百万円、経常利益で同0.7%増の17,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.5%増の10,000百万円と期初計画を据え置いた。売上高は9期連続の増収、各利益ともに3期連続の増益、2期連続で過去最高業績を更新する見通しだ。中間期までの進捗率は売上高で45.2%、営業利益で35.7%となっており、直近3年間累計の平均進捗率(売上高45.4%、27.9%)や会社計画比で上振れペースとなっていることから、下期に大きな費用計上が発生しないかぎりは、会社計画を超過達成する公算が大きいと弊社では見ている。

同社では営業利益を期初計画から据え置いた理由として、1) 建築設備不動産事業において、一部の案件を中間期に前倒し計上した影響があること、2) 2025年10~11月の平均気温が平年よりも1℃程度高く、需要期である冬場の気温状況によってLPガスの販売量にマイナス影響を与える可能性があること、3) LPガス事業及びCATV事業における顧客獲得競争激化に備えたコスト増(顧客獲得・維持費用)を考慮していること、の3点を挙げている。ただ、これら要因を含めても会社計画は保守的な印象が強く、上振れする可能性は高いと弊社では見ている。

継続取引顧客件数は3,462千件と前期末から39千件増を見込んでいるが、中間期末で34千件の増加とアクア事業の好調により計画を上回るペースとなっている。下期もLPガス事業を中心にM&A戦略を推進していくこともあり、通期でも計画を上回る可能性が高い。

(1) エネルギー事業
エネルギー事業は売上高で前期比横ばい水準にとどまるものの、営業利益は1億円の増益を見込んでいる。顧客獲得コストが3億円増加するものの、件数増加による4億円の増益で吸収する見通しだ。売上高は第3四半期の平均気温が平年より若干高く推移していることもあり、世帯当たりLPガス消費量の減少が見込まれるため、顧客件数をどの程度伸ばせるかが売上計画達成のカギを握る。同社では新築住宅の顧客開拓を進めると同時に、M&A・商圏買収の取り組みを強化していく戦略だ。利益面では、中間期で7.6億円の増益を達成したこともあり、平均気温の対平年比上昇幅が1℃程度で収まれば、通期計画を達成できると弊社では見ている。

国内の家庭業務用LPガス市場は緩やかな減少傾向が続いており、事業者数も2024年で15,181事業者と2010年と比較して7割弱の水準まで減少している。近年は人手不足や物価上昇による厳しい経営環境に加え、経営者の高齢化も進んでおり、M&A・商圏買取案件が一段と増加するものと予想される。同社にとっては、今後数年間がシェア拡大により収益を伸ばす好機になると考えられる。

(2) 情報通信事業
情報通信事業は、営業利益で前期比6億円増を見込んでいる。中間期は3.1億円の増益となっており、下期は法人向け事業でさらなる伸長が見込めることを考えれば順調に進んでいると言える。

コンシューマー向け売上高は横ばい見通しだが、顧客獲得販路の見直しにより3億円の増益を見込んでいる(中間期2億円の増益)。契約件数についてはブロードバンド、「LIBMO」ともに若干の増加を目指しているが、「LIBMO」については(株)NTTドコモが競合サービスとなる「irumo/eximo」の新規契約受付を2025年6月で終了したこともあって契約件数が伸びているほか、下期からはCATV子会社の(株)TOKAIケーブルネットワークと(株)トコちゃんねる静岡にて、CATVとのセット割プランの提供を開始するなどグループ力を生かした販売活動も強化しており、契約件数の上振れが期待される。

一方、法人向けは営業利益で前期比3億円増を計画している(中間期1.1億円の増益)。光ファイバーを九州まで延伸したことで、企業向け通信回線サービスの引き合いが増加しているほか、クラウドサービスの需要も好調を持続しており、下期も順調に推移するものと予想される。利益面では、人件費や減価償却費など固定費の増加を増収効果で吸収する。なお、前期にインドネシアで現地IT企業と合弁で設立した子会社(出資比率60%)において開始したAWSの導入支援サービスやクラウド人材育成事業については順調に立ち上がっており、早期黒字化を目指している。

(3) CATV事業
CATV事業は、営業利益で前期比2億円増と安定成長が続く見通しだ。中間期で2.5億円の増益と計画を上回るペースとなっているが、下期は競争激化による顧客獲得コストの増加を考慮している。特に静岡や神奈川エリアにおいて同業他社の営業攻勢が強くなっているようで、顧客維持コストの増加を保守的に想定しておく必要がある。とは言え、通信サービスの契約件数が着実に積み上がっていることから、安定成長が続く見通しだ。なお、防犯意識の高まりを背景に、2025年8月よりクラウド型AI防犯カメラサービスの提供を開始した。外出先でもリアルタイムで映像情報を確認でき、異常を検知した際のプッシュ通知機能もある。3年後の売上目標が1億円で収益インパクトは小さいが、契約件数は順調に増加しているようだ。

(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業は、若干の増収増益を見込んでいる。土木工事事業は政府の補正予算策定が遅れていることもあり、下期も低迷が続く可能性があるが、TOKAIによる建築設備工事事業や不動産販売・管理事業の拡大によりカバーする見通しだ。

(5) アクア事業
アクア事業は、営業利益で0.2億円増を見込んでいたが、中間期で1.4億円の増益となっており、通期でも計画を上回る可能性が高い。給水型浄水サーバー「しずくりあ」を中心にグループ会社のネットワークも活用することで、顧客件数のさらなる積み上げを図っていく。また、コスト低減施策として、ワンウェイ方式の宅配水(営業エリアは静岡県内)で利用するボトル容器の内製化に着手していたが、予定どおり2026年3月末に製造ラインが完成する見込みで、2027年3月期からコスト低減に寄与する見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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