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矢作建 Research Memo(3):2026年3月期中間期は増収増益、売上・利益とも中間期として過去最高を更新

*11:33JST 矢作建 Research Memo(3):2026年3月期中間期は増収増益、売上・利益とも中間期として過去最高を更新
■矢作建設工業<1870>の業績動向

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高89,665百万円(前年同期比52.6%増)、営業利益7,989百万円(同520.9%増)、経常利益7,982百万円(同502.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益5,737百万円(同492.9%増)と、大幅な増収増益となり、売上高・各利益ともに中間期として過去最高を更新した。複数の大型建築工事が最盛期を迎え売上高が拡大した。利益面では、建設事業における採算改善や不動産販売による利益の積み増しがあった。物価上昇に伴うコスト増は継続しているものの、価格転嫁の進展や不採算工事の減少により収益性が改善した。


主力の建築事業は好調、売上総利益率も上昇に転じる

2. 事業別動向
(1) 建築事業
建築事業は、売上高62,300百万円(前年同期比74.0%増)、売上総利益6,596百万円(同441.5%増)となり、大幅な増収増益となった。いずれも中間期として過去最高水準となり、業績拡大をけん引した。特に、野村不動産(株)発注による東海地区の大型物流施設工事の施工が最盛期を迎えたことが大幅な売上・利益貢献につながった。不動産開発から造成、建築までを一貫して同社が対応するといった、ビジネスモデルの強みが発揮され、採算性も高水準であった。利益面では、増収効果に加えて物価上昇分の価格転嫁が進んだことにより、収益性が向上したほか、前年同期に計上した工事損失引当金の反動も寄与し、増益となった。これにより、売上総利益率は同7.2ポイント上昇し、10.6%となった。

(2) 土木事業
土木事業は、売上高16,763百万円(前年同期比21.6%増)、売上総利益3,059百万円(同39.6%増)となった。官庁工事及び民間工事がともに順調に進捗し、売上拡大に貢献した。利益面では、民間工事において設計変更に伴う工事請負金額の変更協議が進展し、収益性向上に寄与した。これにより売上総利益率は同2.3ポイント改善し、18.2%となった。

(3) 不動産事業
不動産事業は、売上高10,601百万円(前年同期比15.5%増)、売上総利益3,676百万円(同22.1%増)となった。愛知県豊田市における産業用地の売却など、採算性の高い案件の獲得が増益に寄与した。一方、分譲マンション販売戸数は42戸(同80戸減)と減少したが、これは新規供給物件がなかったためだ。なお、中間期に売却した愛知県豊田市の産業用地については、今後、建築工事の受注につながる見込みである。分譲マンションについては、資材高騰や市場環境の不透明感を考慮し慎重な姿勢を維持した。東海地区における需要を見極め、同社の施工キャパシティの調整機能としても活用された。売上総利益率は、案件ごとの収益性により変動が大きい事業であるものの、34.7%(同1.9ポイント上昇)と良好な水準を維持した。


受注環境は良好、受注高・次期繰越高とも高水準を維持

3. 受注の状況
同社が所属する建設業界では、コロナ禍後の民間設備投資の回復が続き、特に建築分野では底堅い需要がある。土木分野においても、国土強靭化計画に関連する公共工事が各地で進展しており、堅調な受注環境が続いている。一方、業界全体で施工キャパシティ不足が深刻化しており、需要と供給のミスマッチが課題となっている。同社では、採用活動の強化に取り組んでおり、ここ5年間で新卒採用を約2倍(48名から90名へ)に拡大したほか、女性技術者やミャンマーからの外国籍人材の積極採用も進めている。協力会社とは、将来の工事に関する情報共有を早期化し、施工スケジュールの円滑な運営に努めている。営業段階から施工能力を考慮した受注調整を行うことで、施工キャパシティの最大化を図っている。

なお、受注から工事完成までの期間は、プロジェクトの規模などにより異なるが、建築案件で1〜3年程度、土木案件は2~3年程度となっており、受注高や次期繰越高を踏まえると、今後の業績も堅調な推移が見込まれる。

(1) 受注高
2026年3月期中間期の受注高は64,314百万円と前年同期比では9.1%減となったものの、建築・土木とも堅調に推移し、高水準を維持した。建築事業では、一般建築工事が25,847百万円(同31.6%減)と減少した一方、マンション工事は18,802百万円(同45.8%増)となった。これは、外部デベロッパー向け大型案件を複数受注したことによる。土木事業では、民間工事の受注高は8,995百万円(同33.9%減)と減少したが、官庁工事が10,668百万円(同64.9%増)と伸長した。結果として、土木工事における官庁比率は54.3%に上昇したが、下期は若干減少する見通しであり、通期では例年並みの水準で着地する見込みである。

(2) 次期繰越高
次期繰越高は149,235百万円(前期末比9.0%減)となった。過去最高だった前期末には及ばなかったものの、高水準を維持した。売上高への寄与は2026年3月期下期以降となる。内訳は、建築事業が101,993百万円(同14.8%減)となった一方、土木事業が47,242百万円(同6.5%増)と増加し、土木分野の案件が積み増した。建築事業では特定の用途への依存度を低減するため、案件の多様化を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)



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