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ガンホー・オンライン・エンターテイメント:パズドラ主軸に海外Ragnarokと9本のパイプラインで次の成長軸を模索

*14:11JST ガンホー・オンライン・エンターテイメント:パズドラ主軸に海外Ragnarokと9本のパイプラインで次の成長軸を模索
ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は、2002年にPCオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の配信を起点として事業を開始し、その後スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)」のメガヒットによって国内外で高い知名度を確立してきたゲーム会社である。現在はモバイル、PC、家庭用ゲーム機(CS)を横断したオンラインゲーム事業を展開しており、連結ベースでは子会社Gravityが展開する「Ragnarok」関連タイトルが海外売上の中核を担う構造となっている。海外売上比率は65.6%(今期第3四半期時点)、パズドラシリーズは前期売上構成比41.2%(2024年12月末時点)となっている。

事業ポートフォリオを見ると、ガンホー本体はパズドラを中心とした国内モバイルゲームの運営に強みを持ち、Gravityは東南アジアを中心にRagnarok IPを軸とした海外展開を進めてきた。もともとPCオンラインゲームからスタートした同社だが、2010年代前半のスマートフォンゲーム市場拡大期にいち早く先行者ポジションを築いた点が現在の収益基盤につながっている。一方、2016年以降は国内モバイル市場が飽和状態に入り、新規タイトルでパズドラ級のヒットを生み出すことは理論的にも難しくなっているとの認識を示しており、同社は成長の主戦場を海外へとシフトしている。

競争環境における同社の立ち位置としては、「新作を量産して当たりを狙う会社」ではなく、「長寿IPを運営力で磨き込み、収益を最大化する会社」である点が際立つ。国内モバイルでは運営ノウハウやイベント設計、IPコラボによるユーザーの呼び戻しといった点が競争優位の源泉となっている。有名IPとのコラボは、休眠ユーザーを再度ゲームに呼び戻す効果も大きく、結果として売上強化につながる構造を作る点に意味があるという。

足元の業績については、2025年12月期第3四半期累計の売上高は73,595百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は5,868百万円(同62.9%減)で着地した。パズドラをはじめとするモバイルタイトルや「Ragnarok」関連タイトルの減収に加えて、単体の業務委託費増加がマイナス要因となった。ただ、新規開発タイトルに係る業務委託費の増加でもあるため、先行投資的な意味合いも持つ。

市場環境で近年のゲーム市場はモバイル端末の普及や高機能化、ネット接続環境の大幅な進化により、スマートフォンゲームが市場の拡大を牽引してきた。国内のスマートフォンゲーム市場は大きく拡大してきたが、スマートフォン需要の一巡で市場の成長速度は緩やかになっており、成熟化してきている。一方、世界のゲームコンテンツ市場は近年のスマートフォンゲーム市場の拡大に伴い世界的に成長を続けている。北米や欧州は依然として非常に大きなゲーム市場で、中国を中心としたアジアのゲーム市場も急速に拡大している。また、世界的に見るとスマートフォンゲームだけでなく、家庭用ゲームやPCオンラインゲームも多くのユーザーに楽しまれており、世界のゲームコンテンツ市場は今後もさらなる成長が予想されている。

このような状況下で、同社は引き続き既存タイトルの価値最大化を図るため各ゲームのMAU(Monthly ActiveUser)の維持・拡大やゲームブランドの強化に取り組むとともに、グローバル配信を見据えたゲーム開発に注力してきた。コンソール・PC向けタイトルについては、モバイルとは異なり「作り込み」を重視する戦略を採っている。2016年以降、同社はグローバル市場を見据えたCS・PC向けアクションゲームの開発に取り組んでおり、「ニンジャラ」や「LET IT DIE」シリーズなどを展開してきた。直近では「LET IT DIE: INFERNO」をリリース、収益貢献という点では課題が残っているものの、一定の評価は得られているという。

中長期戦略としては、Gravityの安定的かつ継続した成長をはかる一方、ガンホー本体では開発体制を拡充し、新作タイトルのパイプラインを9本程度まで増やしている点が特徴である。会社側は「ヒット作を待つ」のではなく、「バッターボックスに立つ頻度を上げる」ことが重要と認識しており、マルチプラットフォーム・グローバル配信を前提とした開発を進めている。新規タイトルがリリースされるまでの間は業務委託費の増加などにより販管費が先行し、利益率は低下する局面が続く見通しだが、これは中期成長に向けた必要な投資期間と位置付けられる。

財務面では豊富なネットキャッシュを維持しており、連結配当性向30%以上を目安とする株主還元方針に加え、自社株買いも柔軟に検討してきた。還元方針は固定的なルールではなく、取締役会での議論や投資家の声を踏まえて決定するとしており、資本効率を意識した経営姿勢がうかがえる。また、開発費については発生時点で費用計上する保守的な会計処理を採用しており、特損が出にくい収益構造となっている点も特徴である。

総じて同社は、国内モバイル市場の成熟という逆風の中で、パズドラの運営安定化とGravityを軸とした海外成長、新作パイプライン拡充による次の柱創出という三つのテーマに同時に取り組んでいる段階にある。短期的には業績の振れが残るものの、キャッシュリッチな強みも活かして中長期視点では「長寿IP×運営力」を武器に、グローバルで存在感を高められるかが評価の分かれ目となろう。



<NH>



 
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