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ニッポンインシュア Research Memo(5):市場動向と不動産管理会社のニーズを読み、引き続き企業成長を推進

*13:35JST ニッポンインシュア Research Memo(5):市場動向と不動産管理会社のニーズを読み、引き続き企業成長を推進
■今後の見通し

1. 2026年9月期業績の見通し
2026年9月期の業績は、売上高4,233百万円(前期比13.3%増)、営業利益883百万円(同16.4%増)、経常利益887百万円(同14.5%増)、当期純利益617百万円(同16.8%増)と増収増益を見込んでいる。家賃債務保証市場については、単身世帯増加等の社会背景から賃貸住宅需要は増加が見込まれる一方、それにつれて入居者の支払いリスク上昇の懸念もあるほか、競争激化の様相も呈しており、市場環境は不安定な状況にある。しかし、ニッポンインシュア<5843>はこれまでの新規顧客開拓での実績、ブランドスイッチも含め新規取引先を拡大してきた背景と、既存取引先に対しては付加価値商品など潜在需要を具現化した商品設計で取引量を伸ばした経緯から、市場シェア拡大をねらう余地を十分に見込んでいる。不動産管理業を経歴に持つ同社ならではの強みを生かし、営業活動では育成で培った傾聴力をフル稼働して不動産管理会社の仔細なニーズを読み取り、的確な提案で着実に対応エリアを広げて取引量を伸ばし、2025年9月期のモメンタムを継続して市場ポジションを確立する考えである。売上高については、新規顧客開拓のほか、既存顧客では付加価値商品の設計等を中心に競争優位性を高めてシェアを拡大し、収益を伸ばす。また、独自開発した契約管理クラウドシステム「Cloud Insure(クラウドインシュア)」のリニューアルを実施し、不動産管理会社の利便性をさらに向上して顧客ロイヤルティを高め継続的な取引を維持するほか、連携強化からの迅速な顧客対応で市場の変化や需要に即した新たな付加価値商品の開発等の施策を推進する。

2025年9月期は賃貸不動産市場の活況から居住用、事業用ともに伸長したが、居住用同様に、事業用向けにもカスタマイズや付加価値商品を充実する方針で、2025年8月に協業プラットフォームを展開するWizと業務提携し、事業用賃貸物件に特化した「開業支援サポートサービス」の提供を開始した。これにより、同社の家賃債務保証サービスを利用する顧客では、創業の各種手続き等の事務手続きが簡素化されるなど高付加価値商品の様相を呈したサービスの利用が可能となった。開始直後で売上全体に占める割合は限定的だが、同社の事業用不動産向け家賃債務保証サービスの付加価値商品、売上向上策の1つとして機能することに期待したい。

利益面では、業務でAIを含めDXを推進するほか、自動化では対応しきれない求償債権回収での督促のスキル向上に向け、人材育成にも積極的に取り組む。同社は、AIやRPAを活用した支払督促手続きの自動化については、2025年9月期には求償債権回収業務の迅速化やコスト削減、回収率の向上に一定の効果が出たと評価しており、2026年9月期も引き続き求償債権回収の体制強化に向け、状況に応じて最適化を図る考えである。また、業務効率化が可能な領域はまだ多いと認識しており、前述の回収プロセスの自動化以外にもAIによる対応分野を広げる方針で、現在、効率化の見込める業務を精査し、費用対効果を見極めるなど、計画を進めているようだ。現在利用するシステムの対応範囲拡大や機能改善も含め、AI、DX対応を進め、収益性の向上とコストの最適化を図り、利益の押し上げにつながることに期待したい。

2025年9月期に若干上昇した求償債権発生率について、支払委託型契約の増加に伴う引落口座登録不備などの初期遅延が主な要因だが、同社では最近、支払委託型契約の増加傾向が見られる。家賃債務保証は、借主が滞納した際に家賃債務保証業者が弁済を代行する「一般保証型」と、家賃債務保証業者を経由して家賃を代行して支払う「支払委託型」の2つの契約形態がある。同社では、実際に「支払委託型契約」の全体売上に占める割合が上昇しているほか、不動産管理会社での省力化の需要も多いことから、「支払委託型契約」の比率上昇の継続を推測しているようだ。そのため、口座登録不備などによる初回の一時的な滞納とはいえ、不要な金利リスクを避けるためにも求償債権回収の初動を早めるなどの施策によりコストを抑える方針である。さらに同社の契約数増加と市場環境として初回保証料契約単価の上昇も顕著なことから、市場動向を見つつ、状況に応じて1度限りの求償債権発生に対応する即時回収の仕組みを構築するなど、健全に利益を確保する方向性を検討しているようだ。

2. 事業環境
賃貸不動産業界においては、これまでは賃貸借契約に際して入居者に連帯保証人を要求するのが一般的であったが、最近は家賃債務保証制度への加入を必須とする契約が増加している。背景としては、都市部での単身世帯のほか、単身高齢者や外国人居住者の増加等といった要因が挙げられる。加えて、2020年4月に施行された改正民法で、連帯保証人の弁済に「極度額」を設定し、確定的な具体的金額を契約書に明記することが義務付けられたことも一因である。連帯保証人のリスク量が明示されることにより、連帯保証人になることを回避する傾向が増加したことや、賃貸物件のオーナーにとっては連帯保証人に対して極度額を超える家賃債権を請求できなくなる等のデメリットが顕在化した。これらを受け、入居者に対して家賃債務保証制度への加入を求める賃貸借契約が増加した。国土交通省による2021年の調査(家賃債務保証業者の登録制度に関する実態調査)では、賃貸借契約の80%で家賃債務保証業者が利用されており、今後も家賃債務保証に対する需要は増加すると考えられる。

国土交通省では家賃債務保証制度の普及に向けて、一定の要件を満たす家賃債務保証業者登録制度を2017年10月に創設した。2025年9月30日現在119者が登録されており、家賃債務保証業を適正かつ確実に実施できる保証業者として、業務体制や業務適正化のためのルールの遵守などの要件が定められている。違反行為に対しては指導や登録の抹消が適用される。賃貸物件の借主が安心して家賃債務保証業者を活用できるよう、国を挙げて情報提供を推進している。

2025年10月、「住宅セーフティネット改正法」が施行された。低所得や単身の高齢者など住宅確保を配慮されるべき人々(住宅確保要配慮者)へ住宅供給を促す仕組みが構築され、誰もが安心して暮らせる社会を目指している。この制度では、家賃債務保証事業者の役割は大きく、国土交通省が、住宅確保要配慮者が利用しやすい家賃債務保証事業者の認定制度を設けており、認定されれば住宅金融支援機構の家賃債務保証保険を受け、政府と一体となって居住サポート住宅を中心に住宅確保要配慮者の入居をサポートする。なお、社会支援の一環となるため、家賃債務保証保険の内容は登録家賃債務保証業者向けよりも手厚くなる。現在、同社は、自治体の連携強化を念頭に状況を注視しつつ、対応する新たな商品を開発している。認定家賃債務保証業者制度に関しても、申請を進めている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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