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クラボウ Research Memo(5):半導体製造関連領域で競争力のある製品を提供

*11:05JST クラボウ Research Memo(5):半導体製造関連領域で競争力のある製品を提供
■主な活動実績

1. 事業ポートフォリオ戦略の進展
(1) 半導体製造関連領域
注力事業である半導体製造関連領域については、半導体市場全体の低迷の影響を受け、主力の高機能樹脂製品が減速した一方、需要が拡大しているAI向け半導体の製造工程(後工程)においてクラボウ<3106>の機能フィルムが着実な伸びを見せている。半導体製造の後工程については、前工程の微細化の限界を背景に重要性が増している。特にAIやデータセンター、自動運転といった応用分野で先端パッケージへのシフトが進み、市場をけん引しており、同社の機能フィルムはまさにその成長領域を捉えている。具体的には、ダイシング工程テープ用の機能フィルムやパッケージ離型フィルム「Oidys(R)」などがAI向け半導体の製造工程に採用され、高度な要求性能への対応やコストパフォーマンスの高さが評価されている。

(2) ライフサインエンス関連領域
もうひとつの注力事業であるライフサイエンス関連領域では、「2025国際ロボット展」(12月3日~6日)に出展し、ワイヤーハーネス製造自動化や調剤自動化、自動車部品組み立て自動化、研究作業の自動化(ラボオートメーション)などを展示した。また、具体的な事例については、EV車製造工程において課題となっている充電自動化(精度の高い感知機能や動作等)などに取り組んでいる。なお、本領域ではバイオテクノロジーと自動化ソリューションの組み合わせにより、健康増進や労働力不足などの社会課題解決に貢献する方向性を掲げているが、新たな市場創出や本格的な事業化には時間を要することが想定される。大きなポテンシャルを引き出すためには、課題を抱える顧客との価値共創やパートナーとの協業が成否を決するため、まずは同社の技術力(ソリューション力)を社会にいかに認知させていくのかがカギを握る。

2. 研究開発活動からの成果
同社の6つのコア技術のうち、物質科学に属する電子線グラフト重合技術※を応用した金属イオン除去フィルター「KURANGRAFT」の増産体制を整えた。「KURANGRAFT」は半導体フォトレジスト工程で使用される薬液に含まれる微量金属イオンを除去・低減するフィルターであり、半導体製造市場において年商5億円を目指す計画である。また、他分野への展開も探る考えだ。

※ 電子線グラフト重合技術は、国立研究開発法人「高崎量子技術基盤研究所」と共同で開発を進めている、電子線(放射線)を照射して天然繊維などの高分子材料に新たな機能を付与する改質技術である。機能性コットン「NaTech」(ネイテック)についても、原綿などの天然繊維に本技術を施すことで吸湿発熱、吸放湿、消臭などの機能を付加したものである。



■業績見通し
2026年3月期業績予想は売上高・営業利益を据え置き
1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績について同社は、売上高を前期比4.4%減の1,440億円、営業利益を同22.4%減の80億円、経常利益を同19.4%減の95億円と期初予想を据え置く一方、親会社株主に帰属する当期純利益を同16.5%増の105億円へ上方修正した。

構造改革中である「繊維事業」や半導体市場の市況回復の遅れを見込む「化成品事業」が減収となるほか、安城工場閉鎖に伴う異常操業費用や労務費等のコストアップを見込み、営業減益となる見通しである(安城工場閉鎖は7月末に完了済み)。親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の売却益により増益を確保する。

なお、中間期業績が期初予想を上回ったにもかかわらず、通期予想を据え置いたのは、半導体市場の回復を保守的に見ていることが理由である。事業別の内訳については一部修正しており、高機能樹脂製品の回復遅れを見込む「化成品事業」を減額修正した一方、半導体製造関連領域に向けた商材が堅調な「環境メカトロニクス事業」や拡販が進む「食品事業」を増額修正し、トータル業績は期初予想を確保する前提となっている。

2. 弊社の見方
業績予想達成のためには、下期売上高74,755百万円、営業利益4,071百万円が必要となる。先行き不透明な国際情勢や市場動向等には注意が必要であるものの、同社の業績予想は半導体市場の低迷を保守的に織り込んだ水準であり、十分に達成可能であると見ている。したがって、半導体市場が想定よりも早く回復してくれば上振れる可能性もあるだろう。中計初年度の2026年3月期の業績は一旦踊り場となる見通しであるが、来期以降の成長加速に向けていかに体制を整えていくのかに注目したい。7月に本格稼働した熊本イノベーションセンターをはじめ、半導体市場全体の回復やAI向け半導体の需要拡大を取り込むべく、増産体制や技術開発、品質アップ、顧客との関係強化等への取り組みがポイントになるだろう。また、構造改革を進めてきた「繊維事業」の損益改善に向けた道筋にも注意したい。収益性の高い独自技術商品(NaTech等)の伸びや海外製造拠点を軸とするグローバルチェーンの構築が進展すれば、来期の黒字転換も十分に視野に入ってくると見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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