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CACHD Research Memo(5):高い財務健全性を有する、成長投資やM&Aを機動的に実行する財務余力を維持
2026/05/07 12:05
*12:05JST CACHD Research Memo(5):高い財務健全性を有する、成長投資やM&Aを機動的に実行する財務余力を維持
■CAC Holdings<4725>の業績動向
2. 財務状況
2025年12月期末の財務状況を見ると、同社は引き続き高い財務健全性を維持している。自己資本比率は65.6%と高水準を確保しており、ITサービス企業としては十分に厚い自己資本を背景に安定した財務基盤を保っている。短期的な支払い能力の面でも余裕がある。流動比率は208.3%であり、運転資金面での安全性は高い。資金ポジションも安定している。現金及び預金から有利子負債を差し引いて算出されるネットキャッシュは9,046百万円であり、成長投資やM&Aを機動的に実行できる財務余力を持っている。バランスシートでは資産構成の見直しも進んでいる。政策保有株式の縮減を進めたことで、投資有価証券は同6,007百万円減少した。資本効率の改善と資産の流動化を意識した動きと考えられ、資本政策の見直しが着実に進んでいる。安定した財務基盤と豊富な手元資金を背景として、今後は成長投資と株主還元のバランスを取りながら資本効率の向上を図っていくと見込まれる。
■今後の見通し
2026年12月期は海外ITの拡大により増収増益の見通し、成長投資を継続し基盤強化を推進
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比1.8%増の515.0億円、調整後EBITDAが同1.0%増の38.5億円と増収増益の見通しである。参考値として開示している数値は、営業利益が26.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益が26.0億円である。
売上高は、海外IT事業の拡大により緩やかな増収を見込む。2025年12月期は特定顧客の内製化や大型案件の収束が減収要因となったが、同社はこれらの影響はピークを越えたと認識している。2026年12月期も一定期間は余波が残る見込みではあるものの、国内IT事業のプロダクトやサービスへのシフトや、海外IT事業のクロスセルを軸とした事業シナジーの拡大による成長が期待される。
利益面では、将来の成長に向けた人的投資や新規事業への投資を継続する方針であり、調整後EBITDAは大きな伸びよりも安定的な水準を維持する展開が見込まれる。人材採用・育成への投資やAI・デジタル領域への取り組みを進めることで、短期的には先行的なコスト負担が生じる可能性がある。一方で、国内IT事業のプロダクトやサービスへのシフトや、海外IT事業のクロスセルを軸とした事業シナジーの拡大による成長が期待される。収益構造の改善が徐々に進めば、中期的には利益成長の余地が広がると考えられる。
なお、2025年11月に取得した子会社2社については、統合後のPMIの状況を見極めたうえで業績予想に反映する方針である。過去のM&Aでは統合シナジーの発現が限定的であったことから、今回は慎重に進める姿勢を取っている。現時点では業績見通しに織り込まれていないため、PMIが順調に進めば業績面のアップサイド要因となる可能性がある。
直近のトピックとして、同社は2026年2月、産業廃棄物管理分野のITサービスを手掛けるJEMSの株式を取得して子会社化した。JEMSは産業廃棄物処理業者やリサイクル業者向けの業界特化型基幹システム「環境将軍R」を提供するほか、製造業や建設業など排出事業者に対して産業廃棄物管理のITサービスやBPOサービスを展開している。資源循環のトレーサビリティを管理するプラットフォーム「Circular Navi」も手掛けており、サーキュラーエコノミーの実現に関連する分野で事業基盤を築いている点が特徴である。同社は本買収により、既存のITサービスとは市場構造の異なる産業廃棄物処理関連市場へ参入し、新たな事業領域の拡大を図っていく。システム開発領域での協業、AI活用によるサービス高度化、グループ技術の横断活用なども期待されており、環境・資源循環分野におけるデジタルサービスの強化が中長期的な成長に寄与する可能性がある。
■強みと課題
最大の強みは「トランスフォーメーション力」
1. 強み ~ 「トランスフォーメーション力」を支える「企業文化」「顧客基盤」「財務体質」
同社の最大の強みは、時代によって変化する社会のニーズ・課題に応じて自らを変革する力、すなわち「トランスフォーメーション(企業変革)力」であると弊社では評価している。同社は独立系ソフトウェア専門会社としての成長に安住することなく、「M&Aによる事業拡大」に「選択と集中による構造改革」を織り交ぜながら企業変革を継続してきた。その「トランスフォーメーション力」を支えているのが、「挑戦を是とする企業文化(経営の意志)」「事業拡大の核となる優良な顧客基盤」「機動的な財務戦略を可能とする盤石な財務体質」である。
同社は「顧客指向」「CSV(Creating Shared Value:事業を通じた社会貢献)重視」という使命・目的(経営理念)が明確であるため、目的達成のために必要な「挑戦」が是とされる企業文化が根付いたと弊社は考えている。他社に先駆けた海外進出(海外IT事業)、BPO事業やCRO事業への参入など、同社は「挑戦」によって事業を拡大し成長を続けてきた。こうした「挑戦」は、日本初の独立系SIerとして築き上げた「優良な顧客基盤」との良好な関係の賜物と言える。つまり、「挑戦」の源泉となっているのが「優良な顧客基盤」である。
2. 課題 ~ どうやって高収益・高成長を実現するか
同社の課題は、高収益・高成長をいかに実現するかにある。ただ、その実現は既存事業の延長線上では容易ではない。従来の受託開発や運用を中心とする労働集約型の事業構造には成長余地に限界があるためである。同社は「CAC Vision 2030」で特定の産業や顧客への依存から脱し、環境ビジネス、フィンテック、AI活用などの新たな領域へ事業を拡大する方針を掲げている。狙いは社会課題の解決を担う事業を自ら育て、拡張性の高い収益基盤を構築することにある。今後の焦点は既存IT事業で安定的な収益を確保しながら、新領域で次の成長基盤を築くことができるかどうかにあると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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■CAC Holdings<4725>の業績動向
2. 財務状況
2025年12月期末の財務状況を見ると、同社は引き続き高い財務健全性を維持している。自己資本比率は65.6%と高水準を確保しており、ITサービス企業としては十分に厚い自己資本を背景に安定した財務基盤を保っている。短期的な支払い能力の面でも余裕がある。流動比率は208.3%であり、運転資金面での安全性は高い。資金ポジションも安定している。現金及び預金から有利子負債を差し引いて算出されるネットキャッシュは9,046百万円であり、成長投資やM&Aを機動的に実行できる財務余力を持っている。バランスシートでは資産構成の見直しも進んでいる。政策保有株式の縮減を進めたことで、投資有価証券は同6,007百万円減少した。資本効率の改善と資産の流動化を意識した動きと考えられ、資本政策の見直しが着実に進んでいる。安定した財務基盤と豊富な手元資金を背景として、今後は成長投資と株主還元のバランスを取りながら資本効率の向上を図っていくと見込まれる。
■今後の見通し
2026年12月期は海外ITの拡大により増収増益の見通し、成長投資を継続し基盤強化を推進
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比1.8%増の515.0億円、調整後EBITDAが同1.0%増の38.5億円と増収増益の見通しである。参考値として開示している数値は、営業利益が26.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益が26.0億円である。
売上高は、海外IT事業の拡大により緩やかな増収を見込む。2025年12月期は特定顧客の内製化や大型案件の収束が減収要因となったが、同社はこれらの影響はピークを越えたと認識している。2026年12月期も一定期間は余波が残る見込みではあるものの、国内IT事業のプロダクトやサービスへのシフトや、海外IT事業のクロスセルを軸とした事業シナジーの拡大による成長が期待される。
利益面では、将来の成長に向けた人的投資や新規事業への投資を継続する方針であり、調整後EBITDAは大きな伸びよりも安定的な水準を維持する展開が見込まれる。人材採用・育成への投資やAI・デジタル領域への取り組みを進めることで、短期的には先行的なコスト負担が生じる可能性がある。一方で、国内IT事業のプロダクトやサービスへのシフトや、海外IT事業のクロスセルを軸とした事業シナジーの拡大による成長が期待される。収益構造の改善が徐々に進めば、中期的には利益成長の余地が広がると考えられる。
なお、2025年11月に取得した子会社2社については、統合後のPMIの状況を見極めたうえで業績予想に反映する方針である。過去のM&Aでは統合シナジーの発現が限定的であったことから、今回は慎重に進める姿勢を取っている。現時点では業績見通しに織り込まれていないため、PMIが順調に進めば業績面のアップサイド要因となる可能性がある。
直近のトピックとして、同社は2026年2月、産業廃棄物管理分野のITサービスを手掛けるJEMSの株式を取得して子会社化した。JEMSは産業廃棄物処理業者やリサイクル業者向けの業界特化型基幹システム「環境将軍R」を提供するほか、製造業や建設業など排出事業者に対して産業廃棄物管理のITサービスやBPOサービスを展開している。資源循環のトレーサビリティを管理するプラットフォーム「Circular Navi」も手掛けており、サーキュラーエコノミーの実現に関連する分野で事業基盤を築いている点が特徴である。同社は本買収により、既存のITサービスとは市場構造の異なる産業廃棄物処理関連市場へ参入し、新たな事業領域の拡大を図っていく。システム開発領域での協業、AI活用によるサービス高度化、グループ技術の横断活用なども期待されており、環境・資源循環分野におけるデジタルサービスの強化が中長期的な成長に寄与する可能性がある。
■強みと課題
最大の強みは「トランスフォーメーション力」
1. 強み ~ 「トランスフォーメーション力」を支える「企業文化」「顧客基盤」「財務体質」
同社の最大の強みは、時代によって変化する社会のニーズ・課題に応じて自らを変革する力、すなわち「トランスフォーメーション(企業変革)力」であると弊社では評価している。同社は独立系ソフトウェア専門会社としての成長に安住することなく、「M&Aによる事業拡大」に「選択と集中による構造改革」を織り交ぜながら企業変革を継続してきた。その「トランスフォーメーション力」を支えているのが、「挑戦を是とする企業文化(経営の意志)」「事業拡大の核となる優良な顧客基盤」「機動的な財務戦略を可能とする盤石な財務体質」である。
同社は「顧客指向」「CSV(Creating Shared Value:事業を通じた社会貢献)重視」という使命・目的(経営理念)が明確であるため、目的達成のために必要な「挑戦」が是とされる企業文化が根付いたと弊社は考えている。他社に先駆けた海外進出(海外IT事業)、BPO事業やCRO事業への参入など、同社は「挑戦」によって事業を拡大し成長を続けてきた。こうした「挑戦」は、日本初の独立系SIerとして築き上げた「優良な顧客基盤」との良好な関係の賜物と言える。つまり、「挑戦」の源泉となっているのが「優良な顧客基盤」である。
2. 課題 ~ どうやって高収益・高成長を実現するか
同社の課題は、高収益・高成長をいかに実現するかにある。ただ、その実現は既存事業の延長線上では容易ではない。従来の受託開発や運用を中心とする労働集約型の事業構造には成長余地に限界があるためである。同社は「CAC Vision 2030」で特定の産業や顧客への依存から脱し、環境ビジネス、フィンテック、AI活用などの新たな領域へ事業を拡大する方針を掲げている。狙いは社会課題の解決を担う事業を自ら育て、拡張性の高い収益基盤を構築することにある。今後の焦点は既存IT事業で安定的な収益を確保しながら、新領域で次の成長基盤を築くことができるかどうかにあると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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