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兵機海運 Research Memo(5):2026年3月期は海運事業が低迷、減収減益で着地

*11:05JST 兵機海運 Research Memo(5):2026年3月期は海運事業が低迷、減収減益で着地
■兵機海運<9362>の業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高が前期比2.5%減の13,389百万円、営業利益が同20.3%減の436百万円、経常利益が同19.2%減の499百万円、当期純利益が同8.8%減の397百万円となった。

取扱輸送量は前期並みで推移した一方で、売上高は減収となった。主な要因は海運事業の低迷である。内航事業では、主力貨物である鉄鋼製品の需要低迷により運航効率が低下し、傭船契約の解除や一時的な停船が発生した。外航事業では、中国向け貨物の低迷や競争激化に加え、韓国・台湾向けの鋼材輸送も苦戦した。港運事業では輸入食品の取扱い増加や通関取扱い件数の増加が寄与し、倉庫事業も堅調に推移したものの、海運事業の減収を補うには至らなかった。

営業利益は減収影響に加え、燃料費の高止まり、船舶維持管理料の増加、人件費上昇などが重荷となり、前期比で減少した。一方で、港運事業は大型特殊案件の受注や新規取引先の拡大により黒字化し、倉庫事業も神戸地区の黒字回復などにより収益改善が進んだ。投資有価証券売却益49百万円、東京支店移転に伴う補償金22百万円を特別利益として計上した結果、営業利益及び経常利益に比べて減益率は小幅にとどまった。事業環境の厳しさを踏まえると、海運事業の収益低迷には改善余地がある一方で、港運・倉庫事業の改善により下振れを一定程度抑えた点は前向きに捉えられる。

2026年3月期の取扱輸送量は前期比0.4%増の3,569千トンであり、輸送品目別では主力の鉄鋼が同2.4%減の1,733千トンとなった(構成比48.6%)。


海運事業は内航・外航事業とも弱含み、港運・倉庫事業は黒字回復

2. 事業セグメント別の業績概要
(1) 海運事業
2026年3月期の海運事業は、売上高が前期比9.0%減の7,599百万円、営業利益が同56.9%減の248百万円となった。主力の内航事業で鉄鋼需要の停滞が続き、外航事業でも中央アジア向け建機輸送や中国・韓国・台湾向け貨物が弱含んだことから減収減益となった。営業面では艀輸送でのスポット貨物受注や大型特殊貨物の取り込みなど収支改善策を進めたものの、燃料費の高止まり、船舶維持管理料の増加、傭船契約の解除、停船の影響を補完することができなかった。

内航事業は、売上高が前期比1.3%減の6,763百万円、営業利益が同51.3%減の165百万円となった。主力貨物である鉄鋼製品は国内需要の停滞により運航効率が低下し、荷主からの傭船契約解除や船員不足による一時的な停船が売上高を押し下げた。利益面では、燃料費の高止まりや船舶維持管理料の増加が重荷となり、減収幅以上に営業利益が落ち込んだ。一方で、艀輸送でのスポット貨物受注、傭船契約終了船の連続トリップ船への活用、プラント貨物や鉄道車両など大型特殊貨物の受託を進めており、需要環境が厳しいなかでも収益源の多様化に一定の進展が見られた。

外航事業は、売上高が前期比43.9%減の835百万円、営業利益が同64.8%減の82百万円となった。中央アジア向け鉱山用建機輸送が前期比で大きく減少したほか、中国向けは中国景気の悪化や競争激化により受注が低迷した。韓国・台湾向け鋼材輸送も、中国製の低価格鋼材の流通拡大により日本からの輸出量が減少した。ドル建て海上運賃には円安による押し上げ効果があったものの、貨物量の減少を補うには至らなかった。もっとも、下期以降はモンゴル向け建機輸送が堅調に推移しており、ニッチな航路や特殊貨物の提案力を収益回復につなげられるかが今後の焦点となる。

(2) 港運・倉庫事業
2026年3月期の港運・倉庫事業は、売上高が前期比7.6%増の5,789百万円、営業利益が188百万円(前期は27百万円の損失)となった。港運事業では輸入食品や輸出通関の取扱い件数が伸び、倉庫事業でも姫路・大阪地区が堅調に推移したことにより、海運事業の減益を一部補完した。特に、港運事業で大型特殊案件を複数受注したこと、倉庫事業で神戸地区が黒字回復したことが利益改善に寄与した。港運・倉庫事業は、海運市況や鉄鋼需要に左右されやすい収益構造を補う役割を果たしており、同社の収益安定化において重要性が高まっている。

港運事業は、売上高が前期比9.9%増の4,085百万円、営業利益が130百万円(前期は18百万円の損失)となった。米国の関税政策や円安基調など不透明な事業環境のなかでも常温・冷凍の輸入食品の取扱いが増加し、主要顧客の輸入取扱いも堅調に推移した。輸出では産業機械パーツや鉄鋼製品の北米・欧州・韓国向けを中心に通関取扱い件数が同10%以上増加した。加えて、パワープラント設備、蓄電池、ODAインフラ貨物など、大型スポット案件を複数受注したことが収益を改善した。既存荷主の取扱い拡大に加え、新規取引先の開拓と特殊案件の獲得が進んだ。

倉庫事業は、売上高が前期比2.4%増の1,704百万円、営業利益が57百万円(前期は8百万円の損失)となった。姫路地区では自社倉庫の満床が続き、外部委託先の倉庫も活用しながら、鋼材保管や作業取扱いが堅調に推移した。大阪地区も小幅ながら前期を上回る収益を確保し、神戸地区は期首計画には届かなかったものの黒字に回復した。一方で、作業員の高齢化や退職に伴う人手不足、技術継承、六甲アイランドのISOタンクコンテナターミナルの収益改善については、今後も継続的な取り組みが必要となる。2025年8月に六甲アイランドでISOタンクコンテナターミナルを開設し、2025年9月には神戸物流センターに定温倉庫を増設しており、高付加価値貨物の取扱い拡大に向けた投資効果の発現が次期以降の注目点となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)



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