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富士紡HD Research Memo(7):階段をもう一段上がる「進化」。営業利益130億円に向け飛躍

*13:07JST 富士紡HD Research Memo(7):階段をもう一段上がる「進化」。営業利益130億円に向け飛躍
■新中期経営計画

1. 新中期経営計画「進化26-30」
富士紡ホールディングス<3104>は、2026年1月に新中期経営計画「進化26-30」を発表した。新中期経営計画の名称である「進化」には、現状から階段をもう一段上がり、次のステージへ向かうという同社の強い意志が込められている。環境変化に対応する事業基盤と成長を支える機能基盤の両輪を同時に進化させることで、研磨材や化学工業品事業を軸とした飛躍的な成長への確固たる土台を築くねらいがある。

2. 「増強21-25」の総括と新たな成長ステージへの移行
2026年3月に最終年度を迎えた前中期経営計画「増強21-25」は、売上高600億円、営業利益100億円という絶対額の目標には未達となったものの、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益で過去最高を更新し、ROEとROICで目標の10%以上を達成した。収益性の低い事業を縮小し、研磨材と化学工業品という稼げる領域へ経営資源を集中させる事業ポートフォリオの構造改革を完遂した。これを盤石な起点として新たに策定されたのが、2035年に向けた飛躍的成長の基盤を構築する新中期経営計画「進化26-30」である。本計画の始動に合わせ、同社は2026年10月を目途に社名を「富士紡ホールディングス」から「フジボウホールディングス」へと変更する予定である。これは、創業からの祖業である繊維・紡績のイメージから完全に脱却し、グローバル市場で躍動する先端材料・ファインケミカルメーカーとしてのアイデンティティを再定義する象徴的な意思表示である。

「進化26-30」は、前半3ヶ年(2029年3月期まで)を前中期経営計画の増強施策の刈り取りと効果発現期間とし、後半2ヶ年(2031年3月期まで)を飛躍的成長の始動期間と位置付けている。最終的な2031年3月期には、売上高650億円、営業利益130億円(営業利益率20.0%)、ROE及びROIC12%以上という目標を設定している。けん引役となるのが研磨材事業であり、同社は2031年3月期に同セグメント単体で売上高335億円、営業利益98億円(セグメント利益率29.3%)を稼ぐシナリオを描いている。半導体の微細化がオングストローム時代へと突入するなか、平坦化の技術的難易度は指数関数的に上昇し、同社がデファクトスタンダードを握るCMPソフトパッドへの依存度はさらに高まると考えられる。

3. 大規模投資戦略とキャッシュ・アロケーションの転換
中期経営計画における財務戦略上の最大のハイライトは、キャッシュ・アロケーションにおける有利子負債の積極的かつ戦略的な活用への転換である。これまで無借金経営に近い極めて保守的なバランスシート運営を行ってきたが、「進化26-30」の5年間で累計480億円(うち研磨材事業に347億円)という過去に類を見ない規模の成長投資(設備増強及び研究開発)を実行する計画を打ち出した。この資金需要に対応するため、本業から生み出される営業キャッシュ・フローに加え、遊休不動産や投資有価証券の売却(約20億円)を進めるだけでなく、前半3ヶ年で約100億円の銀行借入を活用する方針を明確にした。半導体及び電子材料市場が成長軌道にある現在、自社の資本コストよりも低い調達コストにより外部資金を導入し、ROICが20%を超える高収益な研磨材事業へ集中投資することは、財務レバレッジを効かせたROEの最大化に直結する。この戦略転換は、「資本コストや株価を意識した経営」を実践し始めた証拠であると弊社は考える。

4. ハードパッド市場への本格参入とM&A戦略
同社はソフトパッド市場において世界トップシェアを誇るが、市場規模という観点ではハードパッド市場の方がさらに大きい。同社はこの巨大市場への本格参入を成長の次なる起爆剤としている。汎用品や低グレード市場での価格競争には巻き込まれず、他社が先行する既存市場の中でも最先端プロセス領域にターゲットを絞り、同社の持つ技術的信頼性を武器に顧客のスイッチングを促す戦略を採っている。具体的な顧客との開発案件も既に進行しており、2027年3月期下期にはハードパッドの売上が一部計上され始める見通しである。さらに、480億円の投資枠の内訳として、50億円を上限とするM&Aの実施を予定している。研磨材や化学工業品領域において、自社の技術や設備を補完・拡張できる有力な企業をターゲットとしており、オーガニックな成長に加え、非連続な成長機会を追求していく構えである。

5. 「資本コストや株価を意識した経営」の実現
同社は「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向け、株主還元の抜本的強化と並行して独自のROIC経営の実践を徹底している。重点領域へ経営資源を最適配分し、中長期的な企業価値向上に直結するアグレッシブな成長投資を推し進めるとともに、資本コスト低減をねらう情報開示の充実を図ることで、PBRやROEの持続的な改善を追求する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)



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