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富士紡HD Research Memo(8):配当性向40%へ。株式分割と定常収益ベースの連続増配で資本効率を追求

*13:08JST 富士紡HD Research Memo(8):配当性向40%へ。株式分割と定常収益ベースの連続増配で資本効率を追求
■株主還元策

1. 流動性向上をねらう株式分割の実施
富士紡ホールディングス<3104>は、より幅広い投資家層への拡大と株式の流動性向上を目的として、2026年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施した。この施策により、投資単位当たりの金額が引き下げられ、市場における取引の活性化と株主構成の多様化が期待される。

2. 配当性向40%への引き上げと「定常収益ベース」による安定還元の確約
株主還元策において、新中期経営計画の開始に合わせて、配当性向の目標水準を従来の35%から40%へと大幅に引き上げた。2027年3月期の年間配当予想は、株式分割後の新基準で1株当たり78円(中間39円、期末39円)と発表された。株式分割前の基準に引き直して換算すると年間234円となり、前期実績の180円から実質54円もの大幅な増配となる。さらに、配当の原資について、減損損失や特別利益など、一過性の要因による変動を排除した定常収益をベースにして算出する方針を提示した。定常収益ベースの配当方針は、企業がアグレッシブに成長投資や事業再編を行う際に生じがちな一時的な会計リスクから、株主還元を切り離すインカムゲインの強力な下値支持線として機能する。2026年3月期に発生したIPMの減損(約6億円)のような非資金性の会計上の特別損失が発生したが、それにより機械的に配当を減額する算出は行わないという意図が見受けられる。

3. 「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた取り組み
同社のPBRは足元で2.3倍〜2.4倍程度と、東京証券取引所がプライム市場企業に要請する1倍を大幅に上回る水準で推移している。過去の業績低迷期(10期連続無配の苦境期)から完全に脱却し、株価も対前年期末比で2.4倍に上昇するなど、株式市場からの再評価は着実に進行している。高い成長投資によるPERの拡張と、バランスシート・コントロールによるROEの持続的向上を掛け合わせることで、さらなる企業価値の最大化を図る構えである。

4. 安定配当の継続
同社は過去17年間にわたり減配を行うことなく、安定的な配当の維持と増配を継続している。過去最高益を記録した2026年3月期は、前期実績から50円の大幅増配となる年間180円を実施した。2027年3月期についても、株式分割後の新基準で年間78円(分割前換算で年間234円)と実質54円の連続増配を見込んでおり、業績拡大に伴う株主への利益還元を推進する姿勢がうかがえる。



■サステナビリティへの取り組み

「成長性」「収益性」「社会貢献」「誠実さ」に立脚した公正で透明性のあるサステナビリティ経営を推進

同社グループは、サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れた「サステナビリティ経営」を実践している。同社グループのサステナビリティ経営は、「儲ける」こと、「成長性」「収益性」「社会貢献」「誠実さ」に立脚した公正で透明性のあるSDGs経営をバランス良く実行していくことで、サステナビリティを実現していく点がポイントである。

「環境(E)」対応については、2030年度温室効果ガス(GHG)30%削減(2023年3月期比)、2050年には実質ゼロという目標に向けて、実効性の高い太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用を推進する。「社会(S)」対応については、人事制度の見直し等を通じて人的資本投資を更に強化していく。「ガバナンス(G)」面では、業績連動型の役員報酬制度を導入するとともに、取締役会・経営会議の更なる機能強化に向けて、機関設計の在り方についての検討にも取り組んでいく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)



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