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飯野海運 Research Memo(10):株主還元は配当性向40%を基準に、下限配当30円を導入

*13:10JST 飯野海運 Research Memo(10):株主還元は配当性向40%を基準に、下限配当30円を導入
■飯野海運<9119>の成長戦略・サステナビリティ経営

3. 株主還元策
株主還元に関しては安定性・予見性・機動性を備えた株主還元の実現を目指し、新中期経営計画において配当性向40%を基準とした配当の継続を基本としつつ、市況変動の大きい海運業において配当の安定性と予見性を高めるため新たに下限配当30円を導入した。また財務規律を踏まえつつ機動的な自己株式取得を実施し、総合的な株主還元の充実を図る方針としている。この基本方針に基づいて、2026年3月期の配当は前期比1.0円増配の59.0円(中間24.0円、期末35.0円)とした。配当性向は40.6%である。そして2027年3月期の配当予想は同13.0円減配の46.0円(中間23.0円、期末23.0円)としている。予想配当性向は40.2%である。また株主優待制度については、毎年3月末日時点で同社株式500株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じて贈呈(カタログギフトの商品または社会貢献活動への寄付を選択、落語家オリジナル手ぬぐいまたは同社オリジナル商品を抽選で贈呈など)している。


サステナビリティ経営を強化

4. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営に関して、新中期経営計画の非財務数値目標として海運業のGHG削減率目標を掲げるなど取り組みを強化している。具体的には、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同してTCFDコンソーシアムに加入した後、2022年10月に飯野海運グループ腐敗防止方針及び飯野海運グループ人権方針を策定、2023年5月に飯野海運グループ調達方針及びサプライヤー行動規範を策定、同年9月に飯野海運グループ社会貢献方針を策定、2024年2月に飯野海運グループ競争法遵守方針を策定、同年3月に飯野海運グループサステナビリティ基本方針を策定、2025年3月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへ参画してTNFD Adopterへ登録するなど、気候変動への対応にとどまらず、人的資本や人権尊重への対応、サステナビリティに関する取り組みを強化している。脱炭素化戦略は、新中期経営計画の重点施策の1つに位置付けられており、各種施策の着実な推進を通じて、GHG排出量の継続的な削減を目指す。

人的資本の強化では職場・労働環境の整備、多様な人材の確保、人材育成・リスキリングの強化、能力発揮の機会の提供、成果評価・処遇への反映など人材投資とその価値を引き出す戦略を推進し、会社と従業員がともに成長する好循環の確立を目指す。新中期経営計画の人的資本強化の2031年3月期目標(同社単体ベース)としては、エンゲージメント総合スコアA(70点以上)のほか、育児休業取得率100%、総合職(管理職候補)に占める女性比率の2026年3月期実績18.4%比で3%以上増なども掲げている。

こうしたサステナビリティ経営への積極的な取り組みや財務状況改善への取り組みが評価され、2024年7月にはFTSE Blossom Japan Index及びFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄に3年連続で選定されたほか、MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄にも選定された。さらに、同年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定され、JPX日経中小型株指数の構成銘柄にも2年連続で選定された。外部評価においては、2025年5月にEcoVadis(本社:フランス)のサステナブル評価においてシルバー評価(上位15%以内)を取得し、同年12月にはCDP(本部:英国ロンドン)より2023年気候変動質問書においてリーダーシップレベルの「Aマイナス」評価を4年連続で獲得した。また格付に関しても2024年4月にJCRによる格付が「BBB+(ポジティブ)」から「A−(安定的)」に格上げされ、(株)格付投資情報センター(R&I)による格付が「BBB(ポジティブ)」から「BBB+(安定的)」に格上げされた。

5. 弊社の視点
同社は従来から市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げを推進しているほか、海運業では地球環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極投入し、不動産業では収益力強化に向けて海外展開も行っている。そして前中期経営計画で掲げた財務数値目標をおおむね達成したのは、こうした取り組みの成果と弊社では評価している。また新中期経営計画ではテーマに「資本効率と成長投資を両立する変革」を掲げ、成長投資を加速する方針としている。したがって、新中期経営計画による「事業ポートフォリオの深化と稼ぐ力の底上げ」の進展状況に注目したいと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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