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富士製薬 Research Memo(3):女性医療特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築

*11:43JST 富士製薬 Research Memo(3):女性医療特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築
■富士製薬工業<4554>の事業概要

1. 女性医療
女性医療は同社の中核事業であり、「長期ビジョン2035」において「女性医療で新たな価値を創出し続ける」と掲げており、同領域を軸とした持続的な価値創出を成長の根幹に据えている。日本では月経困難症、更年期障害などに対する治療率が欧米に比べて低く、市場拡大余地は大きい。女性の健康課題に起因する経済損失は、経済産業省の試算※では月経関連で約6,000億円、更年期関連で約1兆9,000億円とされており、社会的課題の解決と市場拡大の両立が期待される市場である。

※ 経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」令和6年2月より。

同社は月経困難症治療薬「アリッサ配合錠」を成長ドライバーと位置付けており、2029年に売上高100億円規模への成長を見込む。発売2年目を迎えた同製品は計画を上回るペースで伸長しており、月経困難症新規患者における処方シェアは15%に達している。また、「アリッサ配合錠」の薬価ベースで730億円規模とされる月経困難症市場の拡大も追い風となっている。さらに、更年期障害治療薬「エフメノカプセル」もホルモン補充療法(HRT)市場の拡大を背景に成長している。女性医療専任MR約90名とエムスリー<2413>との協業によるデジタルプロモーションを活用した市場シェア拡大、大手メディアと連携した疾患啓発活動を推進している。

同社は約40品目の製品群を有し、月経困難症、避妊、更年期、不妊といった女性のライフステージ全般をカバーすることで、国内外で女性医療領域におけるトップブランドの確立を目指している。また、タイ子会社OLICが既にタイで販売する「Nextstellis(アリッサ配合錠と同成分製品)」の、ASEAN地域への展開を図る。

同社は、2026年2月6日にGedeon Richter Plc.(本社:ハンガリー)との婦人科領域における戦略的協業契約の締結を発表した。同社の開発候補品である子宮内膜症治療におけるファーストインクラスになり得る抗体薬など、有望な新薬候補の開発パイプライン化を加速するねらいがある。

2. バイオシミラー
バイオシミラーは同社の次世代成長事業である。バイオシミラーは先行バイオ医薬品と同等・同質の品質・有効性・安全性を持つ後続品であり、医療費抑制の観点から国策として普及が進められている。

同社は国内で5品目を上市・承認取得済みの国内有数のバイオシミラー企業である。既存製品である抗がん剤などにより減った白血球を回復させる際などに用いる「フィルグラスチムBS」は発売から13年が経過し、薬価が大幅に下落した現在も事業性を確保し安定供給を継続している。また、2024年に発売した乾癬治療薬「ウステキヌマブBS」は後続品として先行発売のアドバンテージを生かし、医療機関採用口座シェア96%を獲得している(同社推計)。さらに、加齢黄斑変性治療薬「アフリベルセプトBS」、関節リウマチ等治療薬「ゴリムマブBS」、骨病変治療薬「デノスマブBS」など新たな製品群の展開も進めている。

加えて、Alvotech傘下のバイオテクノロジー企業Alvotechとの戦略的提携によって抗体医薬品を含む開発パイプラインを拡充し、開発スピードと競争力の向上を図っている。今後同社はAlvotech以外の海外パートナーとの提携も視野に入れ、成分ごとの市場浸透率や適応症の広がりを見極めながら開発候補品選定、開発戦略を構築していく。膨張する医療費の適正化という社会的課題に対応する領域として、高品質な医療提供を実現する事業として中長期的な成長を支える重要な柱となっている。

3. グローバルCMO
グローバルCMO事業は、国内外の製薬企業から医薬品製造を受託する事業であり、収益基盤の安定化と国際展開を担う戦略領域である。同社は富山工場を中心にホルモン剤や注射剤など特殊な製造設備と生産技術力が求められる製剤の受託実績を積み重ねてきた。また、OLICを活用し、「富山×タイ」の2拠点体制によるグローバル生産ネットワークを構築している。OLICは40年以上の歴史を有するASEAN有数の医薬品受託製造企業であり、多数のグローバル製薬企業との取引実績を有する。同事業は受託製造による売上拡大だけでなく、他社製品の製造を通じて最新の製造技術や品質管理ノウハウを獲得し、無形資産を蓄積する役割も担っている。現在は生産能力に一定の余力を有しており、大規模な追加投資を伴うことなく新規受託案件の積み上げが可能な状況にある。

今後はバイオシミラーや高薬理活性製剤など高付加価値分野への展開を進め、開発から製造・品質保証までを一貫して提供するフルスコープ型CDMOへの進化を目指している。グローバルCMO事業は、同社の成長と収益安定化を支える重要な事業基盤となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)



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