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ミガロHD Research Memo(4):DX推進事業の先行投資が早期収益化(1)

*11:04JST ミガロHD Research Memo(4):DX推進事業の先行投資が早期収益化(1)
■ミガロホールディングス<5535>の業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期は、売上高57,532百万円(前期比11.3%増)、営業利益3,061百万円(同12.8%増)、経常利益2,347百万円(同10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,434百万円(同3.1%増)で、売上高・営業利益ともに過去最高となった。

売上高はDX推進事業における着実な成長に加え、DX不動産事業の販売単価上昇が寄与し2ケタ増収となった。特にDX推進事業では、先行投資を継続してきた取り組みが想定以上のスピードで収益化し、貢献フェーズへ移行した点が特徴的である。営業利益は、DX推進事業における早期収益化に伴う利益改善に加え、DX不動産事業の収益性向上によって増益となった。DX推進事業の利益貢献が本格化したことにより、これまでの投資先行型の事業構造から、成長と収益性を両立するフェーズへ移行しつつあることが確認できる。

会社予想(2026年2月9日公表値)に対しては、利益進捗が想定以上に順調であったことから、プロジェクト利益最大化を目的として、第4四半期に予定していた一部新築物件の引渡しを翌期へ戦略的に変更した。その結果、売上高達成率は会社予想比95.9%とおおむね想定どおりの着地となった。一方で、利益面ではDX推進事業の黒字化前倒しとDX不動産事業の販売単価上昇が寄与し、各段階利益は予想を上回った。当初は減益予想であった親会社株主に帰属する当期純利益も最終的には増益で着地しており、利益創出力の強さが際立つ結果となった。

事業基盤の拡大も順調に進展した。顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」のマンション導入棟数は376棟となり、前期から171棟増加した。DX不動産会員数も継続的に増加しており、同社が構築を進めるDX不動産経済圏は着実に拡大している。また、賃貸・建物管理戸数も前期を上回って推移しており、同社のDX推進事業とDX不動産事業がシナジーを発揮しつつ、両輪で成長戦略を推進している点に弊社は注目している。

2. セグメント別の事業動向
(1) DX推進事業
DX推進事業は、売上高4,479百万円(前期比19.0%増)、セグメント利益366百万円(同384.0%増)となった。主力サービスである顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」の導入が順調に拡大したことに加え、DX支援案件の受注増加、M&Aを実施したテラ・ウェブクリエイト及びユー・システム・クリエイションの業績寄与も加わり、売上高・セグメント利益ともに大きく伸長した。特にセグメント利益は大幅な増益を達成している。同事業は前期及び当期を積極投資フェーズと位置付け、人材採用やM&Aを推進することで事業基盤の拡大を優先してきた経緯がある。当初は損失を前提としていたものの、これらの先行投資が想定以上に早期に結実し、収益化フェーズへの移行が前倒しで進展した。

特に注目されるのは、継続的な投資を実施しながらも利益成長を実現している点である。通常、成長投資を積極化する局面では利益圧迫要因となるケースが多いが、同社は需要拡大を背景に投資回収スピードを高め、2027年3月期に想定していた黒字化を1年前倒しで達成した。これは「FreeiD」を中心としたサービス競争力や、DX需要拡大の追い風を的確に捉えた結果であると弊社では見ている。今後はグループ会社の統合を進めることで、経営資源の最適化とシナジー創出を図る方針であり、中長期的な収益性向上への寄与が期待される。

同社グループのDXを推進するIT人員は342人まで増加している。この人材の増強こそがDXビジネスの成長エンジンであり、システム開発力を支える重要な強みとなる。IT人員の質・量ともに拡充が進んでいることは、今後の新規サービス開発や顧客企業とのプロジェクト推進においても大きなアドバンテージと弊社では考える。

成長ドライバーである「FreeiD」の2026年3月期末の累計ユーザー数は49,473人(前期末33,623人)と前期末比で約1.5倍、累計ソリューション数(導入デバイス数)は7,773個(同4,494個)と前期末比で約1.7倍となった。また、DI稼働案件数も順調に増加しており、2026年3月期は450件(前期末は302件)と前期末比で約1.5倍となった。連結子会社は様々なリーディングカンパニーをクライアントとして持つが、不動産事業会社ではなく、金融・生命保険・証券・大手銀行等のクライアントを中心としている。今後はより幅広い業種へ提供可能なDX支援サービスを強化する方針だ。日本における顔認証サービスの市場規模は約1.4兆円であり、国内におけるID共通管理・決済プラットフォームの市場規模は約4,000億円である※。そのうち、同社が実際にアプローチできる顧客の市場規模は約500億円を見込んでおり、拡大の余地はまだまだ大きいと同社は見ている。

※ 参考:株式会社富士キメラ総研「デジタルID/認証ソリューションの国内市場調査」「デジタルID/認証ソリューションビジネス市場調査要覧2022」

さらに、同社は「顔ダケで、世界がつながる。」というビジョンのもと、「FreeiD」を単なるマンション向け顔認証システムにとどまらないプラットフォームへ進化させている。品川インターシティで開催された「SHINAGAWA TECH SHOWCASE」では、3年連続で顔認証決済サービス「FreeiD Pay」を実証提供したほか、新たに「顔ダケで、自販機。」の実証も実施した。顔認証を活用した決済・購買体験の高度化を進めることで、生活インフラとしての利用領域拡大を目指している。

AI活用領域では、子会社のアヴァント及びTIEROを通じて「商談分析AI」の無償提供を開始した。同ソリューションは、DX不動産事業の営業現場で培ったノウハウを基に開発されたものであり、議事録作成工数の95%削減やロールプレイング時間の73%削減など、営業効率化に成果を上げている。実際に営業人員1人当たり販売件数増加にもつながっており、自社での成功事例をDX推進事業として外部提供するシナジー創出モデルが進展している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)



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