フィスコニュース


巴川コーポ Research Memo(8):世界シェア90%超の実装用テープを基盤に、新たな成長軸を育成(2)

*15:08JST 巴川コーポ Research Memo(8):世界シェア90%超の実装用テープを基盤に、新たな成長軸を育成(2)
■半導体・ディスプレイ関連事業

(4)光学フィルム ── 車載・OLED向けがけん引、収益性重視の事業運営
巴川コーポレーション<3878>2026年3月期は車載用光学フィルム製品が好調で25.0億円(前期比19.6%増)と2ケタ増収となった。第9次中期経営計画ではOLEDTV向け光学粘着シートやギラツキ解消用ライトコントロールフィルムを新製品として投入する。同ユニットはボラティリティの高い事業であり継続的成長は難しいものの、年度半ばでの新規案件受注も頻繁に発生しており、生産性向上施策の完了により収益性を損なうことなく臨機応変に対応できる体制を整えている。

(5)生産能力増強と設備投資計画の整合性 ── 中期計画の裏付けを設備投資から検証する
第9次中期経営計画では、2029年3月期の新製品売上高120億円のうち、半導体・ディスプレイ関連事業が60億円と全体の半分を占める計画となっている。この中核を担うのがフレキシブル面状ヒーターであり、同計画の達成可否は、ステンレス繊維シートを用いたヒーター部品への加工・量産プロセスの立上げに実質的に規定される構造にある。

取材ベースの推定では、ヒーター部品としての加工・検査・品質保証工程を含む量産体制の整備には、1ライン当たり年間売上高10億円規模に対応するとして、その新設に要する設備投資額は4億円程度と見られる。売上高に対する投資額の比率は概ね0.4倍であり、素材製造業としては相応に投資効率の高い水準と言える。この前提に立てば、2029年3月期に半導体・ディスプレイ関連事業で60億円の新製品売上高を実現するには単純計算でヒーター部品の加工・量産ラインを4ライン程度増設する必要があり、これに対応する設備投資額は16億円程度と試算される。

実際に公表されている設備投資計画を見ると、半導体・ディスプレイ関連事業の投資額は2026年3月期の9億円に対し、2027年3月期は24億円へと15億円増加する計画となっている。この増分は、上記で試算したステンレス繊維シート加工設備4ライン構築分の投資額16億円とほぼ一致する水準であり、2029年3月期の新製品売上高60億円という目標が、単なる希望的目標ではなく具体的な設備投資の裏付けを伴った計画であることを示している。さらに、同事業の設備投資が2029年3月期には11億円へと縮小する計画となっている点も、能力増強投資が2027年3月期に集中的に前倒しされ、その後は維持更新中心へ移行するという設備投資の性格と整合的である。

この観点は、第9次中期経営計画の評価において重要な意味を持つ。前述のとおり同計画は初年度計画の大幅な上方修正により保守性が指摘される一方、生産能力の裏付けという点では実行可能性の高い計画と評価できる。半導体・ディスプレイ関連事業における新製品売上高は2026年3月期の14億円から2029年3月期60億円へ4倍以上の拡大を見込むが、これを支える設備投資は既に発注段階に入りつつあると考えられ、計画の蓋然性は相応に高い。加えて、高性能ヒートシンク(銅繊維シート使用)の積極展開を当面見送る方針が示されたことにより、増設される生産ラインはフレキシブル面状ヒーター向けのステンレス繊維シート加工設備に優先的に振り向けられると考えられ、投資と製品戦略の整合性はより明確になったと言える。

このように、半導体・ディスプレイ関連事業の新製品売上高60億円という目標は、フレキシブル面状ヒーターとOLED向け光学粘着シート及びギラツキ解消用ライトコントロールフィルムの光学フィルムという実質3製品に依存する構図となる。次世代静電チャックは2028年以降へ量産が延期され、高性能ヒートシンクは当面の積極展開が見送られたため、成長ドライバーの分散は限定的である。フレキシブル面状ヒーターの採用が想定どおり拡大するか否かが、同事業ひいては中期経営計画全体の達成度を左右する最大の変数となると見られる。ただし、次世代静電チャックなどは市場も大きく、2029年3月期以降に大きく収益に寄与すると見られる。

なお、同社の課題として、投資の先行は減価償却費の増加として当面の収益を圧迫する。同社の減価償却費は2026年3月期19億円から2027年3月期23億円、2029年3月期には25億円へと増加する計画であり、2027年3月期当初計画における営業利益の減益要因「減価償却費増4.2億円」はこの投資前倒しの直接的な帰結である。すなわち2027年3月期の減益計画は、事業環境の悪化ではなく成長投資の先行負担を主因とするものとも言え、投資回収局面に入る2028年3月期以降の利益成長を前提とすれば、収益構造としては前向きに評価すべきものと言える。設備投資の増加が売上高として結実する時期と、減価償却負担のピークがいつ訪れるかが、今後の業績評価における重要な着眼点となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)




<HN>



 
【重要】株予報/株予報Proを装った偽サイト、偽アカウント、偽広告にご注意ください

株予報/株予報Pro等の当社サービスを装ったり、当社の名を騙った偽サイト、偽アカウント、偽広告が確認されております。

偽サイト及び偽アカウントは、不正サイトへの誘導、個人情報の取得及び悪用、投資詐欺に遭う可能性がございますのでアクセスされないようにご注意ください。

当社では投資勧誘は行っておりません。LINEなどのSNSを利用した投資詐欺にご注意ください。

株予報 トレンドシグナル ®

2026/09/09 15:30 現在

(更新タイミング:翌営業日8時頃)

買い   756 銘柄
2,449 銘柄   売り
 
 
 
8306 三菱UFJFG 売り転換
8316 三井住友FG 売り転換
8766 東京海上H 売り転換
7182 ゆうちょ銀行 売り転換
5803 フジクラ 買い転換



 
本情報の正確性には万全を期しておりますが、情報は変更になる場合があります。 また、第三者による人為的改ざん、機器の誤作動などの理由により本情報に誤りが生じる可能性があります。 本情報は、情報の提供のみを目的としており、金融商品の販売又は勧誘を目的としたものではありません。 投資にあたっての最終決定は利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 本情報に基づいて行われる判断について、株式会社アイフィスジャパンは一切の責任を負いません。 なお、本情報の著作権は、株式会社アイフィスジャパン及び情報提供者に帰属します。 TOPIX及び東証業種別株価指数の指数値及びそれらに係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社の知的財産です。 本情報の転用、複製、販売等の一切を固く禁じております。
IFIS