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シンバイオ製薬 Research Memo(4):BCVは幅広いDNAウイルスに抗ウイルス活性、治療空白領域に期待(2)

*12:04JST シンバイオ製薬 Research Memo(4):BCVは幅広いDNAウイルスに抗ウイルス活性、治療空白領域に期待(2)
■シンバイオ製薬<4582>のBCVの開発戦略

(1) 造血幹細胞移植後のAdV感染症
小児(成人含む)を対象とした造血幹細胞移植後のAdV感染症を適応症としたパイプラインは、2024年前半に国際共同第2相臨床試験が終了し、2025年10月より国際共同第3相臨床試験を開始している。2026年3月に1例目の被験者登録が完了し、8月18日時点での登録数は25症例となっている。本試験は米国及び欧州を中心に81施設で180例の登録を計画しており、このうち2026年末までに69症例の登録を目標としている。現在、臨床試験を実施している医療施設が42施設にとどまっており、今後施設数を増やしていくことで登録ペースも加速するものと見られる。臨床試験の結果が良好であれば、2028年後半に販売承認申請を行い、2030年にも上市する可能性がある。販売についてはグローバルで販売ネットワークを持つ企業とパートナー契約を締結し、進めていくことにしている。

AdVは自然界に存在するウイルスで、呼吸器、目、腸、泌尿器などへの感染によって、咽頭炎、扁桃炎、結膜炎、胃腸炎、出血性膀胱炎等の感染症を引き起こす。健常人が感染しても重篤になるケースは稀だが、造血幹細胞移植後の免疫力が低下した患者が感染すると重篤化するリスクが高く、未だ有効な治療薬もないことから治療薬や予防薬の開発が強く望まれている。日米欧における造血幹細胞移植の件数は年間3.5万件で、このうちAdV感染症を発症する患者数は4,000人以下と見られる。患者数が少ないことから、日欧ではオーファンドラッグ指定を受けており、米国ではファストトラック※の指定を受けている。また、日米欧で用途特許も取得済みとなっており、知財面で事業価値を最大化するための体制は構築済みだ。

※ 重篤な疾患に対する治療薬やアンメットメディカルニーズに対する薬剤をより早く患者に届けることを目的とした制度で、指定を受けた薬剤は、FDAとのミーティングや審査を優先的に受けることが可能となる。承認審査期間は平均で6~10カ月。

第2相臨床試験では安全性、忍容性及び有効性(血中AdV量の変化)を評価し、投与量(0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg※)を分けてそれぞれ週2回投与する群と、0.4mg/kgを週1回投与する群の4グループに分けて試験を実施した。安全性及び忍容性については問題がなく、有効性についても週2回0.4mg/kg投与群(10例)において、すべての患者で血中AdVが消失し、そのうち90%の患者で治療後4週間以内にウイルス消失が確認されるなど想定を上回る好結果を得られ、ヒトでのPOCを確立した。

※ 体重50kg以上の場合は投与量10mg、15mg、20mg。

第3相臨床試験では、180例中、120例にBCV、60例に現在治療用として使用されているCDVを投与し(4~12週間※)、主要評価項目である血中におけるアデノウイルスの不検出割合を比較する。また、治療後24週間は安全性を見るフォローアップ期間とし、安全性のエンドポイント(全死因死亡率、非再発による死亡率)を確認することになる。第2相臨床試験の結果から、BCVは高い抗ウイルス効果が確認されていること、安全性の面においてもCDVが持つ腎機能障害や骨髄抑制の副作用はないことから、有意差を得られる可能性は極めて高いと弊社では見ている。

※ 血中のアデノウイルス量が連続2回不検出となった場合は、最短で4週間となる。

(2) 進行性多巣性白質脳症(PML)
指定難病に指定されているPMLを適応症としたパイプラインは、2026年2月にNIH/NINDSと共同開発契約(CRADA)を締結し、同契約に基づきNIH内の臨床センターにて医師主導第2相臨床試験を開始、同年6月に1例目の被験者登録が完了した。予定症例数は18例だが、同年7月末時点で5症例の登録が完了するなど順調に進んでおり、2027年内の試験完了が見込まれている。結果が良好であれば、Accelerated Approval(迅速承認)制度を活用して2028年に販売承認申請を行い、早期の上市を実現したい考えだ。

PMLとは、多くの人が潜伏感染または持続感染しているJCV(JCウイルス)が、免疫力の低下した状況で再活性化することで、脳内に多発性の病巣をきたす疾患のことで、年間の患者数は日米欧で4,000人以下とされている。初期症状としては、四肢麻痺や認知機能障害、視覚異常などが現れ、症状が進行すると不随意運動や脳神経麻痺、寝たきり状態となり、致死率が高く診断から病気の進行・死亡に至るまでの時間が短いことが知られている。共同研究先であった米ペンシルベニア州立大学で実施した動物実験で、BCVがポリオーマウイルス(JCウイルスはポリオーマウイルスの一種)に対して増殖抑制効果を示したことが確認されており、PMLの予防または症状の進行を抑制する効果が期待されている。

(3) 悪性脳腫瘍(膠芽腫)
がん領域のパイプラインとして膠芽腫を適応症とした開発が進められている。膠芽腫は脳腫瘍のなかでも最も悪性度の高い疾患で日米欧合わせて年間約3.5万人が発症している。膠芽腫の標準的治療法は外科手術、放射線治療及び化学療法(テモゾロミド)となるが、診断後の中央生存期間が2~18ヶ月と短く、5年生存率も5%以下と極めて低いため、有効な治療薬の開発が強く望まれている領域となる。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校脳腫瘍センターとの共同研究の成果として、マウスモデルを用いた動物実験において、BCV単剤による腫瘍の増殖抑制及び生存延長効果が確認されたこと、また、BCVと標準治療法(放射線及びテモゾロミド)との併用により、これらの効果がより顕著となったことが2025年11月開催の米国神経腫瘍学会で発表された。

こうした研究成果を踏まえて同社では、標準治療法(放射線+テモゾロミド)との併用療法による医師主導第2相臨床試験を進めていく考えだ。安全性及び有効性を確認し、結果が良好であれば第3相臨床試験に移行して上市を目指す。現在、臨床試験開始に向けた準備段階に入っている。また、第3相臨床試験を行うための共同開発パートナーの探索も併せて開始している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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