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メンタルヘルスT Research Memo(7):2028年12月期に売上高150億円を目指す

*13:07JST メンタルヘルスT Research Memo(7):2028年12月期に売上高150億円を目指す
■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画
メンタルヘルステクノロジーズ<9218>は、2024年12月期から2028年12月期までの5年間を対象とする中期経営計画を推進している。経営方針として「Well-beingサービスのリーディングカンパニーとしてのポジショニング構築」を掲げ、低チャーンレート(解約)ビジネスへの集中投資を通じて、収益逓増型の安定した収益基盤を構築する方針である。

中期経営計画については、足元の事業進捗やインクルードの子会社化などを踏まえ、2026年3月に目標を修正した。当初は2027年12月期を最終年度として売上高100億円、営業利益20~25億円を目標としていたが、目標年度を2028年12月期へ1年延長するとともに、売上高目標を150億円へ大幅に引き上げた。一方、営業利益については20億円とし、従来目標の下限を必達水準として設定している。売上高目標の引き上げには、インクルードのM&Aに加え、メディカルワークシフト事業において短期的な利益率改善よりも売上拡大による利益額の最大化を優先する戦略へ転換したことが反映されている。

主要KPIとしては、2028年12月期に連結売上高150億円、連結営業利益20億円を目標とするほか、2016年12月期から2028年12月期までの連結売上高CAGR約50%、収益逓増型ビジネスへの集中投資によるストック売上比率95%以上を掲げている。なお、150億円の売上高目標はメンタルヘルスソリューション事業とメディカルワークシフト事業の2つの成長エンジンによる内部成長(Organic Growth)を基本としており、今後の新規M&Aによる外部成長(Inorganic Growth)は計画値に織り込まず、アップサイドと位置付けている。

このように、現在の中期経営計画は、メンタルヘルスソリューション事業及びメディカルワークシフト事業を軸とする既存事業の持続的成長によって150億円の売上規模を目指しながら、安定性の高いストック型収益基盤を構築することを基本的な方向性としている。

2. 主な施策
中期経営計画のKPI達成に向けて、同社はメンタルヘルスソリューション事業とメディカルワークシフト事業の2つを成長エンジンとする内部成長に加え、M&Aや新規事業による外部成長を組み合わせる方針である。経営の基本方針を「フリー・キャッシュ・フローの最大化」とし、高い売上高成長率を継続しながら、戦略的M&Aを通じて事業ポートフォリオを拡充することで、長期的な競争優位性の確立を目指している。

メンタルヘルスソリューション事業では、顧客数の拡大と契約単価の向上を両輪として成長を図る。新規ENT顧客については、商品力と関係性価値を軸とした獲得を継続するとともに、既存顧客に対してクラウドサービス等の追加提案を行い、アップセルを進める。特に、クラウド提供によるコスト競争力と、産業医・産業保健師などの専門人材による高付加価値サービスを組み合わせるトータルソリューション戦略を推進する。また、インクルードの子会社化によってリワーク機能を「産業医クラウド」に統合し、メンタルヘルス不調の未然防止・早期発見から休職者の職場復帰まで一貫して支援できる体制を構築する。

メディカルワークシフト事業では、売上規模の拡大と収益力の強化を進める。医療機関向け営業の経験者採用によって営業力を強化し、高単価・高利益率案件の獲得を進めるほか、既存取引先における稼働人数の増加によるアップセルを図る。また、診療報酬改定を契機として現業社員の処遇改善分の価格転嫁を進める。中計策定時にはトップライン拡大による利益額最大化を基本方針としていたが、足元では収益性の低下を踏まえ、低採算案件の整理や高利益率案件へのシフトなど収益性改善を優先する方向へ軌道修正している。

さらに、戦略的M&Aとパートナーシップを成長加速の手段として活用する。M&Aでは、医療・ヘルスケア領域への投資に加え、産業医事務所やリワーク事業など既存事業との親和性が高い領域のロールアップを進める。既に明照会労働衛生コンサルタント事務所、タスクフォース、みらい産業医事務所、インクルードを子会社化しており、M&A後のPMIにも注力している。また、第一生命保険やバリューHR、商工組合中央金庫などとの提携を通じ、提携先が持つ販売チャネルや顧客基盤を活用したサービス拡販も進める。

このように、メンタルヘルスソリューション事業では「顧客獲得×アップセル」、メディカルワークシフト事業では「営業力強化×取引拡大」を進め、その基盤にM&A・新規事業と戦略的パートナーシップを重ねることで、中期経営計画のKPI達成を目指す。特にストック売上比率95%以上という目標に向けては、低チャーンレートで収益逓増が期待できる事業への集中投資を継続し、売上成長と収益基盤の安定化を同時に進めることが重要となる。



■財務戦略
配当と株主優待を実施、成長投資と還元を両立する方針へ
同社は、中長期的な企業価値向上に向けて、営業キャッシュ・フローに加えて借入による資金調達も活用し、成長投資と株主還元を両立する方針である。キャッシュアロケーションでは、メンタルヘルスソリューション事業及びメディカルワークシフト事業の収益力強化に向けた人材・システム投資に加え、M&Aを重要な成長投資と位置付けている。オーガニックな成長による安定した収益基盤の拡大と、M&Aによる非連続的な成長を組み合わせてEPSの拡大を図り、株価上昇によるキャピタルゲインと、配当・株主優待によるインカムゲインの双方を通じて株主還元につなげる考えである。

M&Aについては、メンタルヘルスソリューション事業、メディカルワークシフト事業の周辺領域を中心に、既存事業とのシナジーや顧客基盤の拡大が期待できる案件を対象としている。加えて、金融機関出身者の採用を積極化し、財務戦略や投資判断、PMIの高度化を進めている。対象領域としては、メンタルヘルス関連サービス、人事・労務関連サービス、医療機関向け人材関連サービス、医療機関の省人化・生産性向上に資するHealthcare Techなどを想定しており、新規事業領域も視野に入れながら事業ポートフォリオの強化を図る方針である。特にM&Aに関しては適正なバリュエーションを重視し、高値掴みを避けるとともに、既存事業とのシナジー・補完性やPMI後の成長余力を買収前の段階から精査している。

資本政策では、上場時に高かったVCの保有比率を大幅に低下させる一方、第一生命保険、シグマクシス・ホールディングス<6088>、バリューHRなど事業面での連携が期待できる企業との関係を強化してきた。また、2025年12月期から配当及び株主優待制度を導入し、個人株主層の拡大にも取り組んでいる。同社では、こうした施策によって安定株主基盤を構築するとともに、株式流動性の向上を通じて将来的な資本政策の選択肢を広げる考えである。

株主還元については、成長投資を優先しながらも継続的な還元を実施する方針である。財務体質の改善を優先するというより、借入も活用しながら積極的な成長投資を継続し、同時に株主還元を強化する考えであり、配当性向やDOEなど具体的な還元指標については現在検討中としている。2026年12月期の1株当たり配当は、2025年12月期と同水準の10.0円を予想している。今後も事業成長による利益及びキャッシュ・フローの拡大を基礎として、成長投資と株主還元のバランスをどのようにとっていくかが注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)




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