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KaizenPF Research Memo(5):競合優位性はノウハウ・スピード・コスト、高付加価値な事業モデルを構築

*11:05JST KaizenPF Research Memo(5):競合優位性はノウハウ・スピード・コスト、高付加価値な事業モデルを構築
■Kaizen Platform<4170>の事業概要

3. ビジネスモデルの特徴と競合優位性
同社のビジネスモデルは、「クラウドサービス」の提供と、専門人材による「プロフェッショナルサービス」の提供という2軸をワンストップで展開する点に最大の特徴がある。独自のプラットフォーム上にUX改善のための実行環境(ツール)、蓄積されたデータ、そして「パートナー」と呼称するグループ内外のデジタル専門人材のネットワークを統合しており、企業のDX課題を解決するアセットが揃っている。

顧客企業の課題やニーズに対しては、同社従業員がプロジェクトマネジメント(PM)及びサポートやディレクションに徹し、その下で専門領域や得意分野に応じて最適なパートナーを集めたチームを組成する。パートナーネットワークには制作会社、人材派遣会社、コンサルティング会社、個人のエンジニアやクリエイターなどが含まれ、法人・個人あわせて約400件、総勢15,000人超の専門人材基盤を形成している。これらの人材をフルリモートで機動的に活用することで、案件ごとに最適化された体制を構築している。

収益構造においては、顧客企業からサービス対価を受け取り、パートナーに対してはプロジェクト単位の成果連動型報酬を支払うモデルを採用している。2026年12月期中間期末時点のグループ連結従業員数は134名であるが、実質的な稼働リソースはパートナーネットワークによって支えられている。この体制により人件費の変動費化を徹底し、固定費を抑制しながら高い生産性を維持している。顧客企業に対してはリードタイムとコストを抑えたDX支援を提供し、パートナーに対しては高付加価値案件への参画機会と高報酬を実現する仕組みである。

競合優位性は、主に「ノウハウ」「スピード」「コスト」の3点である。第1に、1,500社以上の改善実績データと知見に裏打ちされた高度なコンサルティング能力(ノウハウ)である。第2に、既存のレガシーシステムを迂回し、大規模改修することなく新たな機能を実装できるクラウド基盤により、導入スピードを確保している点である。第3に、豊富な専門人材を活用し、変動費ベースで柔軟にチームを構築することでコストを最適化している点である。

また、情報システム部門の介在を最小限にとどめ、現場のビジネス部門主導で迅速に施策を実行できる点や、Meta、Google、YouTube、Amazon、Yahooといった主要プラットフォーマーから公式パートナーの認定を受け、API(Application Programming Interface=プログラム同士をつなぐインターフェイス)によるデータ連携を実現している点なども競合優位性につながっている。こうした独自のプラットフォーム戦略により、同社はあらゆるユーザー接点における摩擦を解消し、企業の事業成長を加速させている。

4. 事業セグメント
同社は事業セグメント区分を「プロフェッショナル」及び「クラウド」としている。プロフェッショナルサービスは、15,000人超の専門人材ネットワークから顧客課題に応じて最適なチームを編成し、コンサルティング、開発・SES、クリエイティブ制作、マーケティング支援までをワンストップで提供する。一方、クラウドサービスは「Kaizen Engine」や「Kaizen AI Cloud」など、顧客体験の向上に不可欠な基盤機能を提供する。

売上高構成比は、2025年12月期がプロフェッショナル89.8%、クラウド10.2%、2026年12月期中間期がプロフェッショナル86.8%、クラウド13.2%となった。生成AI機能や成果報酬型プランの提供によって、収益性の高いクラウドサービスの売上構成比が上昇基調である。今後もクラウドサービスの拡大に注力し、全体収益の向上を目指す。

5. KPI
同社はDXを推進する顧客企業に対して最適なサポートを提供することで、高付加価値な事業モデルの構築を目指している。この収益モデルは「取引アカウント数×ARPU」で決定される。新規顧客獲得においては、制作や分析などの単発受注を入口とし、特に大手企業へのクロスセル・アップセルを通じてSaaS型プロフェッショナルサービスへ展開することにより、リカーリング売上拡大とARPU向上を図る戦略である。

2025年12月期の取引アカウント数(対象期間内の売上計上顧客数、米国を除く連結ベース)は前期比91件減の545件となった。取引アカウント数は2023年12月期の699件をピークとして減少しているが、これは主に、中小型案件が多かった子会社ディーゼロにおいて大手企業にフォーカスする戦略に転換したためである。一方で年間ARPUは同851千円増の7,706千円に達した。2021年12月期を底として増加基調を維持し、2期連続で過去最高となった。また2025年12月期のリカーリング売上は3,510百万円、同比率は80.6%となった。リカーリング売上構成比については、2022年12月期からディーゼロが集計対象に加わった影響などにより70%台前半に低下したが、2023年12月期以降はおおむね80%台で安定的に推移している。このように、大手企業へのクロスセル・アップセルを推進するグループ戦略の成果として、リカーリング売上拡大とARPU向上がみられる。これは、中長期的な契約継続を前提とした収益基盤が構築されていることを示している。

取引実績として直近では、MTG<7806>、SUBARU<7270>、三井住友海上あいおい生命保険(株)、(株)足利銀行、(株)タカラレーベン、東急不動産ホールディングス<3289>、アインホールディングス<9627>、東海理化<6995>、(株)オーネット、(株)USEN Media、野村不動産ソリューションズ、センコーグループホールディングス<9069>、西日本電信電話(株)(NTT西日本)、オリエントコーポレーション<8585>、SBI損害保険(株)、(株)ハンズ、山陰合同銀行<8381>、ビー・エム・ダブリュー(株)(BMW)などがある。同社は大手企業との取引が多いことが特徴であり、同社のプラットフォーム基盤及び専門人材モデルの信頼性を示すものと言える。

6. リスク要因と課題・対策
DXソリューション関連業界の一般的なリスク要因としては、景気変動などによる企業のDX投資抑制、競合激化、製品・サービスの陳腐化や技術革新への対応遅れ、システムトラブル、法的規制などが挙げられる。企業のDX投資については、短期的には景気動向による抑制・停滞の可能性があるものの、中長期的には一定の需要が見込まれる。また、拡大するDX関連市場への競合参入については、DXのボトルネックである専門人材不足が引き続き業界全体の制約要因となる可能性がある。この点において同社は、独自のプラットフォーム上に15,000人超の専門パートナーネットワークを構築している強みがある。今後もさらなるサービスの拡充やAIインテグレーターとしての機能強化、パートナーネットワークの拡大、積極的なマーケティング活動などによって、競争力の強化を図る方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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