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習近平の奇策か 「トランプをノーベル平和賞候補」に推薦してイラン攻撃を阻止させる?(2)【中国問題グローバル研究所】
2025/06/23 10:36
*10:36JST 習近平の奇策か 「トランプをノーベル平和賞候補」に推薦してイラン攻撃を阻止させる?(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「習近平の奇策か パキスタンを使い「トランプをノーベル平和賞候補」に推薦してイラン攻撃を阻止させる?(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
◆習近平が「トランプのノーベル和賞候補」の手を使うのは二回目
2月22日の論考<史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?>(※2)で書いたように、習近平が「トランプがノーベル平和賞を欲しがっていることを利用して、トランプを落とそうとした」のは、これが初めてではない。
2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルはExclusive | China Tries to Play the Role of Peacemaker in Ukraine(中国はウクライナに和平をもたらす役割を果たそうとしている) -WSJ(※3)というタイトルで、タイトルからは推測しにくい内容の報道をした。そこには「習近平はトランプがノーベル平和賞を受賞したがっていることを知っているので、ウクライナ戦争の停戦問題をトランプが前面に出て解決してはどうか」という趣旨の提案を水面下で行なっていた」という趣旨のことが書いてある。
事実、トランプ2.0の国家安全保障担当補佐官マイケル・ウォルツは、今年2月21日、「すべてがうまくいくだろう。戦争は終わり、ドナルド・J・トランプの名前の隣にノーベル平和賞が置かれることになる」(※4)と言っている。
また1月23日のダボス会議にオンライン参加したトランプが「私は習近平が大好きだ。ずっと好きだった」と公言している(※5)。従って、習近平は1月20日の就任式までに、すでに水面下での米中間ビッグディールを画策していたのだろうことが、うかがわれる。
実は今般は、6月16日に、駐パキスタンの姜再冬・中国大使が、パキスタンのカマル商務大臣と会談し、二国間の経済・貿易協力の推進について意見交換を行った(※6)。パキスタンのアフザル首相調整官やポール商務省事務次官も出席している。それ以外にも細かな接触があるが、どうも、このあたりで、「習近平の奇策」が話し合われたのではないかと推測される。それが6月18日以降のパキスタン側の行動へとつながったと考えるのが妥当かもしれない。
◆核拡散防止条約も核兵器禁止条約も非合理的だが、イスラエルの横暴は目に余る
そもそも、「アメリカ、フランス、イギリス、中国、ロシア」という核保有5か国だけが核を保有してよく、他の国は核兵器を今後保有してはならないなどという「核拡散防止条約」もナンセンスであるなら、ましてや「核兵器禁止条約」もまた、あまりに核保有国に有利過ぎて、話にならないほど不合理な条約だ。このような不合理な条約に則って、イスラエルがイランに対して「お前は核兵器を製造してはならない」として、ガザに対するのと同じようなジェノサイドを断行しようとすること自体、あまりに非人道的で黙って見ていることが耐えられない。そこにトランプが、自国における選挙のためにユダヤ人ロビーを味方に付けようとしてイラン攻撃に加担するなど、「民主主義制度に基づく選挙」とは何なのかと義憤を感じ得ない。選挙に勝つために他国の無辜の民をゴミのように虐殺する行為と、民主主義制度の精神は一致するのかと、G7の決議にも納得がいかない。
習近平としては、せっかくイランとサウジアラビアの仲を仲介して中東諸国間の「和解雪崩現象」の流れを作ったのに、それを阻害されるのは面白くないだろう。しかし、誰とも敵対せずに、「ノーベル平和賞候補者」という「手」でトランプの戦争への道を防げるのなら、悪くはない選択と思っているかもしれない。
言論弾圧をする国として世界から警戒されている中国ではあるが、トランプ2.0の嵐によって、なにやら相対的に漁夫の利を得ているような感もなくはない。それが功を奏するのか否か、しばらく成り行きを見守りたい。
この論考はYahoo!ニュースエキスパート(※7)より転載しました。
習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/6039
(※3)https://www.wsj.com/world/china-tries-to-play-the-role-of-peacemaker-in-ukraine-6a9175fe
(※4)https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/trumps-hostility-ukraine-creates-conservative-rift-rcna193155
(※5)https://www.youtube.com/watch?v=-R7ax7ZlSdk
(※6)https://www.fmprc.gov.cn/web/zwbd_673032/wshd_673034/202506/t20250619_11653138.shtml
(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7f9a19179209d4cb1b57ced9efe7bef140c0ad08
<CS>
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「習近平の奇策か パキスタンを使い「トランプをノーベル平和賞候補」に推薦してイラン攻撃を阻止させる?(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
◆習近平が「トランプのノーベル和賞候補」の手を使うのは二回目
2月22日の論考<史上最大のディール! ウクライナ停戦「米露交渉」案は習近平の「トランプへのビッグプレゼント」か?>(※2)で書いたように、習近平が「トランプがノーベル平和賞を欲しがっていることを利用して、トランプを落とそうとした」のは、これが初めてではない。
2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルはExclusive | China Tries to Play the Role of Peacemaker in Ukraine(中国はウクライナに和平をもたらす役割を果たそうとしている) -WSJ(※3)というタイトルで、タイトルからは推測しにくい内容の報道をした。そこには「習近平はトランプがノーベル平和賞を受賞したがっていることを知っているので、ウクライナ戦争の停戦問題をトランプが前面に出て解決してはどうか」という趣旨の提案を水面下で行なっていた」という趣旨のことが書いてある。
事実、トランプ2.0の国家安全保障担当補佐官マイケル・ウォルツは、今年2月21日、「すべてがうまくいくだろう。戦争は終わり、ドナルド・J・トランプの名前の隣にノーベル平和賞が置かれることになる」(※4)と言っている。
また1月23日のダボス会議にオンライン参加したトランプが「私は習近平が大好きだ。ずっと好きだった」と公言している(※5)。従って、習近平は1月20日の就任式までに、すでに水面下での米中間ビッグディールを画策していたのだろうことが、うかがわれる。
実は今般は、6月16日に、駐パキスタンの姜再冬・中国大使が、パキスタンのカマル商務大臣と会談し、二国間の経済・貿易協力の推進について意見交換を行った(※6)。パキスタンのアフザル首相調整官やポール商務省事務次官も出席している。それ以外にも細かな接触があるが、どうも、このあたりで、「習近平の奇策」が話し合われたのではないかと推測される。それが6月18日以降のパキスタン側の行動へとつながったと考えるのが妥当かもしれない。
◆核拡散防止条約も核兵器禁止条約も非合理的だが、イスラエルの横暴は目に余る
そもそも、「アメリカ、フランス、イギリス、中国、ロシア」という核保有5か国だけが核を保有してよく、他の国は核兵器を今後保有してはならないなどという「核拡散防止条約」もナンセンスであるなら、ましてや「核兵器禁止条約」もまた、あまりに核保有国に有利過ぎて、話にならないほど不合理な条約だ。このような不合理な条約に則って、イスラエルがイランに対して「お前は核兵器を製造してはならない」として、ガザに対するのと同じようなジェノサイドを断行しようとすること自体、あまりに非人道的で黙って見ていることが耐えられない。そこにトランプが、自国における選挙のためにユダヤ人ロビーを味方に付けようとしてイラン攻撃に加担するなど、「民主主義制度に基づく選挙」とは何なのかと義憤を感じ得ない。選挙に勝つために他国の無辜の民をゴミのように虐殺する行為と、民主主義制度の精神は一致するのかと、G7の決議にも納得がいかない。
習近平としては、せっかくイランとサウジアラビアの仲を仲介して中東諸国間の「和解雪崩現象」の流れを作ったのに、それを阻害されるのは面白くないだろう。しかし、誰とも敵対せずに、「ノーベル平和賞候補者」という「手」でトランプの戦争への道を防げるのなら、悪くはない選択と思っているかもしれない。
言論弾圧をする国として世界から警戒されている中国ではあるが、トランプ2.0の嵐によって、なにやら相対的に漁夫の利を得ているような感もなくはない。それが功を奏するのか否か、しばらく成り行きを見守りたい。
この論考はYahoo!ニュースエキスパート(※7)より転載しました。
習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/6039
(※3)https://www.wsj.com/world/china-tries-to-play-the-role-of-peacemaker-in-ukraine-6a9175fe
(※4)https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/trumps-hostility-ukraine-creates-conservative-rift-rcna193155
(※5)https://www.youtube.com/watch?v=-R7ax7ZlSdk
(※6)https://www.fmprc.gov.cn/web/zwbd_673032/wshd_673034/202506/t20250619_11653138.shtml
(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7f9a19179209d4cb1b57ced9efe7bef140c0ad08
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